とびひ(伝染性膿痂疹)

とびひ(伝染性膿痂疹)

アレルギー・皮膚β版・逐条レビュー継続中

2026-07-31更新
β版用量は適用前に一次資料と院内採用を確認。このβ版について

家族説明を開く

当院は当直帯でも小児科病床に入院を受けられる(2026-09-14 確認)。縫合はできない。夜間の画像・鏡検は無い。
とびひ自体は当直帯で扱える。SSSS(ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群)を疑ったら、入院そのものは当院で可能。皮膚科コンサルトの動線は要確認。

30秒要約

  • とびひ(伝染性膿痂疹)。家族説明と同じ受診サインで切る。
  • まず毒性・気道・循環を見る。迷ったら上級医。
  • 家族には説明ページを渡し、様子見の自己判断を止めさせる。

レッドフラグ

所見があったときにどれだけ急ぐかと、家族に何を伝えるかの対応表。3列目の文言は家族説明ページに同じ言葉で載っているので、画面を見せながら渡せる。

緊急度所見家族に伝えること
当日熱が出てきた・機嫌がどんどん悪くなる、患部が急に広がっている家族ページの「受診の目安」に載っている。画面を見せて指差しで渡す
当日口・目・鼻のまわりの皮膚が急に赤くなり、軽くこすっただけで皮がめくれるように広がる(熱を伴うことが多いです)家族ページの「受診の目安」に載っている。画面を見せて指差しで渡す
当日目のまわりに強い目やに・充血があり、見え方がおかしいと感じる家族ページの「受診の目安」に載っている。画面を見せて指差しで渡す
当日もともと湿疹(アトピー性皮膚炎など)のあるお子さんで、急に痛みを伴う水ぶくれが増え、熱も出てきた家族ページの「受診の目安」に載っている。画面を見せて指差しで渡す
当日塗り薬を数日使っても良くならない、むしろ広がっている家族ページの「受診の目安」に載っている。画面を見せて指差しで渡す
当日のどの痛みや強いだるさが目立つ(かさぶたタイプで細菌がのどにも関わっている可能性があります)家族ページの「受診の目安」に載っている。画面を見せて指差しで渡す
緊急ぐったりしている、水分や食事がとれない家族ページの「受診の目安」に載っている。画面を見せて指差しで渡す
当日生まれて間もない赤ちゃん(新生児)にとびひのような症状が出た家族ページの「受診の目安」に載っている。画面を見せて指差しで渡す
当日もともと免疫に関わる治療を受けているお子さんで、急に広がった・なかなか良くならない家族ページの「受診の目安」に載っている。画面を見せて指差しで渡す
当日とびひが治ったあと、1か月くらいの間に、顔やまぶたのむくみ、尿の色が濃くなる、尿の量が減るといった様子がみられた家族ページの「受診の目安」に載っている。画面を見せて指差しで渡す

問診チェック

初期プラン(コア)

  1. ABC と毒性を先に見る。
  2. 上のレッドフラグで 119 / 今日受診 / 説明して帰宅 を分ける。
  3. 検査・薬は施設プロトコル。用量は書かない。
  4. 家族説明を渡す。

家族に渡す一文

この説明ページに、今日の判断と受診の目安がまとまっています。当てはまるサインがあれば様子を見続けずに連絡してください。
https://ampl-kids-health-guide.pages.dev/patient/とびひ(伝染性膿痂疹)について_患者説明_2026-07-31.html

エスカレーション

  • レッドフラグ、判断に迷う → 上級医

出典

  • Family Guide impetigo と整合

処方

処方

処方の考え方

限局・軽症は外用抗菌薬が第一選択。内服が必要になるのは広範囲・多発、発熱等の全身症状を伴う、外用で数日みても改善しないとき。処方前にβラクタム系のアレルギー歴(即時型か非即時型か)を必ず確認する。

病型

  • 正本は「具体的な力価・分割回数・上限はGL・添付文書間でも幅があるため、個別のmg/kg値は本ファイルに記載しない」としている。ここで内服の用量を出さないのはそのためで、最新添付文書・院内フォーミュラリで確認する。
  • ムピロシン軟膏を皮膚適応で使わない(国内承認は鼻腔用のみでMRSA鼻腔除菌に限られ、とびひへの保険適用はない)。抗菌薬を伴わないステロイド外用単独は感染拡大を助長しうる。
この数字の意味

体重換算の考え方であって処方箋ではない。実際の剤形・力価(ドライシロップ10%/20%等)と採用薬は施設ごとに違い、本シートの「院内ローカルルール」(§6)は未確定のまま。g・包数への換算は院内採用を確認したうえで行う。

薬剤名だけで用量が出ないものは、正本にその記載が無いということ。推測の数字は出さない。

参考計算・参考判定です。適用は添付文書・現行ガイドライン・院内採用・患者個別要因を確認のうえ医師が判断してください。

詳細リファレンス8章(正本より)

出所: 正本「伝染性膿痂疹_とびひ_2026-07-31.md」(起草→敵対的検証→一次資料照合→独立再検証済み)。同期日: 2026-08-14。
用量・基準は「考え方」の記載であり、適用前に一次資料と院内採用・添付文書を確認すること。「医師確認事項」に残る論点は未確定。

  • 区分: 外来編/疾患別ワークフロー
  • 記録日: 2026-07-31
  • 状態: 下書き(要・本人確認)
  • 対象: 小児外来(愛育病院)

⚠ 本ファイルはAIが最新の文献・ガイドラインをWeb検索して起草した下書き。最終的な臨床判断は医師(岡本)が確認して確定する。用量は体重換算の「考え方」のみ・個別処方値や患者情報は書かない。

0. 一目でわかるフロー
受診(水疱・びらん・蜜色痂皮を主訴/夏季・乳幼児〜学童に多い)
  │
  ├─ ① レッドフラグ評価(§1)
  │     口囲/眼囲/鼻周囲から急速に紅斑→表皮剥離+発熱(SSSS疑い)
  │     広範囲+全身状態不良/新生児発症/免疫不全背景/
  │     痂皮性型後の浮腫・血尿(腎炎)/AD児の急な有痛性水疱+発熱(HSV重複疑い)
  │     → あれば入院・専門科紹介ルートへ(外来外用治療より優先)
  │
  ├─ ② 病型・重症度の判定(§2)
  │     水疱性(黄色ブドウ球菌・弛緩性水疱・全身症状少ない)か
  │     痂皮性(主にA群溶連菌・厚い痂皮・発熱/咽頭痛/リンパ節腫脹を伴いやすい)か
  │     範囲・数・発熱の有無で軽症/中等症〜重症を判定
  │
  ├─ ③ 検査(§3)
  │     通常は視診で臨床診断。培養は難治・再発・MRSA疑い・集団発生疑いのみ
  │
  ├─ ④ 治療(§4)
  │     限局・軽症:外用抗菌薬+患部被覆(掻破・接触拡大の防止)
  │     広範囲/発熱/外用で数日改善なし:内服抗菌薬(処方前に薬剤アレルギー歴を確認)
  │       水疱性→抗ブドウ球菌薬(セフェム系等) 痂皮性→ペニシリン系(アレルギーがあれば代替薬を検討)
  │     無効時:市中感染型MRSA(CA-MRSA)を疑い薬剤変更を検討
  │
  └─ ⑤ 再診・保護者説明(§5)
        爪切り・シャワー主体の清潔保持・患部被覆で拡大予防
        登園は病変を覆えれば可・プールは治癒まで見合わせる
        → 悪化・SSSS・腎炎を疑うサインを提示して終診
1. レッドフラグ(見逃し厳禁)

このサインがあれば「とびひの通常経過」として外来外用治療のみで様子見せず、入院・専門科紹介を検討する。

  • 口囲・眼囲・鼻入口の発赤→急速な表皮剥離+発熱・不機嫌:ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)を疑う。黄色ブドウ球菌の産生する表皮剥脱毒素(ET)がデスモグレイン1を分解し、遠隔部位を含む全身の表皮が顆粒層レベルで広範囲に剥離する。Nikolsky現象(軽い擦過で表皮が剥離)を呈し、口腔粘膜疹を伴わない点がTEN/SJSとの鑑別点になる。通常は新生児・乳幼児に多いが、年長児・成人(腎不全・免疫抑制背景)にも生じうる。治療は原則入院で全身管理が必要[2]。
  • 広範囲病変+全身状態不良(ぐったり・経口摂取不良・活気低下):単純なとびひの拡大ではなく蜂窩織炎・敗血症への進展を除外する。
  • 新生児期の発症:重症化・菌血症のリスクが高く、通常の外来外用治療を第一選択とせず小児科・NICU連携を検討する。
  • 免疫不全(先天性免疫不全、免疫抑制薬使用中、糖尿病等)を背景に持つ児での急拡大・難治例:通常経過として様子見しない。
  • 痂皮性膿痂疹(A群溶連菌)治癒後3〜6週間(皮膚感染由来のPSAGNは、咽頭炎後の潜伏期1〜2週間より長い)での浮腫・血尿・褐色尿・尿量減少:溶連菌感染後急性糸球体腎炎(PSAGN)を疑う所見。とびひは咽頭炎と並ぶ先行感染源になりうる[2]。週数の目安は[7]による([2]原文には「感染後、腎炎をおこす可能性がある」との記載のみで具体的週数の記載はない)。
  • アトピー性皮膚炎児での急な有痛性水疱形成+発熱:とびひの通常経過ではなく、カポジ水痘様発疹症(単純ヘルペスの重複感染)を疑う(§2鑑別参照)。
  • 眼囲病変+強い眼脂・充血・視力への影響の訴え:眼科的評価を考慮する。
  • 非典型的な分布・パターン、保護者の説明と所見の乖離を伴う水疱性/びらん性病変(線状・境界明瞭な熱傷様パターン、体幹の対称配列、説明されない受傷機転等):「とびひの通常経過」として片付けず、身体的虐待(熱傷・掻爬痕を含む)を鑑別に入れる[9]。乳幼児の緊満性水疱で臀部・陰部周囲や下腹部に環状配列(string of pearls様)を呈し治療反応が乏しい場合は、Linear IgA bullous dermatosis of childhood(小児慢性水疱性皮膚症、自己免疫性水疱症)も鑑別に挙げ皮膚科紹介を検討する[10]。
2. 重症度・病型の判定
  • 病型
  • 水疱性膿痂疹(黄色ブドウ球菌):乳幼児〜学童期に好発、夏に多い。四肢・顔面など露出部に多い。小外傷や虫刺症が誘因となり、弛緩性水疱→破れて浅いびらん→乾燥して鱗屑状の痂皮を形成。局所で増殖した黄色ブドウ球菌の産生する表皮剥脱毒素がデスモグレイン1を分解し弛緩性水疱を生じさせ、隣接部位へ伝播して「飛び火」していく。全身症状はほとんど伴わない[2]。
  • 痂皮性膿痂疹(主にA群溶連菌、時に黄色ブドウ球菌との混合):年齢・季節を問わず発症。周囲の発赤を伴う膿疱が急速に出現し、急速に痂皮化。痂皮は厚く堆積し皮膚にめり込むようにみえ、下床には膿汁が溜まる。咽頭痛・発熱・所属リンパ節腫脹などの全身症状を伴うことが多く、水疱性膿痂疹に比べ強い全身症状を伴って受診することが特徴。アトピー性皮膚炎に合併することがある。A群以外のレンサ球菌(B・C・G群)や肺炎球菌が分離されることもある[2]。
  • 重症度の目安
  • 軽症:限局(1〜数か所)、発熱なし、全身状態良好 → 外用のみで対応可能なことが多い。
  • 中等症〜重症:多発・広範囲、発熱・リンパ節腫脹あり、または痂皮性型 → 内服抗菌薬の併用を検討。
  • 最重症:SSSS疑い、または全身状態が悪化している → §1の入院閾値を適用。
  • 年齢因子:水疱性は乳幼児〜学童に好発、痂皮性は年齢を問わない。近年MRSAによる膿痂疹の増加が指摘されているが、[2]原文では「報告では黄色ブドウ球菌全体の20〜40%に留まっている」とされており、院内感染型MRSAと異なり多くの抗菌薬に感受性が残っていることが多い[2]。ただしこの数値は2012年の総説によるもので、MRSA疫学は経年変化しうるため、運用前により新しい調査(直近5年以内)での数値確認が望ましい[要確認]。
  • 鑑別上の注意(見逃しやすい他疾患):初期の水疱性病変では水痘(早期水疱期)、痂皮化・瘙痒の強い病変では疥癬(重症型では痂皮型/ノルウェー疥癬様)も鑑別に挙がる。視診のみで即断せず、水疱内容・分布・痒みの有無・周囲曝露歴を確認する。虐待・自己免疫性水疱症の鑑別は§1参照。
3. 検査
  • 必要:
  • 通常例は視診のみで臨床診断可能(水疱/びらん/蜜色痂皮の性状・分布・季節・年齢から判断)。
  • 難治・再発・多発例、抗菌薬治療に反応しない例、集団発生(保育園等)疑い:病巣からの細菌培養・薬剤感受性検査(MRSA・耐性菌の確認)[2]。
  • 痂皮性膿痂疹で強い咽頭症状を伴う場合:A群溶連菌の関与評価として咽頭迅速抗原検査・咽頭培養を検討(先行感染としての位置づけと、続発性糸球体腎炎リスク評価の一助)。皮膚病変そのものからの迅速抗原検査は国内キットの適応対象外である点に注意[要確認:皮膚病変スワブでの溶連菌迅速検査の運用可否]。
  • SSSS疑い:血液培養、炎症反応(CRP・WBC)。重症・非典型例では表皮剥離のレベル確認とTENとの鑑別のため皮膚生検を専門科と相談。
  • 不要・過剰になりがち:
  • 典型的な軽症・限局例へのルーティン血液検査・画像検査。
  • 初診・軽症例での定型的な細菌培養(治療方針を変えないことが多い)。
  • 外用開始後、順調に改善している症例への追加培養。
4. 治療
  • 第一選択:
  • 外用抗菌薬(限局・軽症例の第一選択):フシジン酸ナトリウム、ゲンタマイシン、ナジフロキサシンなどのキノロン系・アミノグリコシド系・フシジン酸系外用抗菌薬を1日1〜2回、患部に塗布する[2][3]。ナジフロキサシンの添付文書上の適応菌種はブドウ球菌属・アクネ菌が中心で、連鎖球菌属は明記されていないため、痂皮性膿痂疹(溶連菌主体)では効果が不十分な可能性があり、水疱性膿痂疹(黄色ブドウ球菌主体)向けと考えた方が無難[4]。オゼノキサシン(ゼビアックスローション2%)は国内使用成績調査で伝染性膿痂疹に対する有効率84.7%(13歳未満に限ると87.6%)と報告されているが、国内治験対象は13歳以上の尋常性痤瘡・毛包炎であり、13歳未満・伝染性膿痂疹への使用は治験対象外での実臨床データという位置づけ[4]。
  • 患部の被覆:ガーゼ等で覆い、滲出液を介した接触感染・自己拡大(掻破による「飛び火」)を防ぐ。可能な部位は包帯・ガーゼで覆う[2][5]。
  • 爪を短く切る/シャワーで清潔保持:掻破による拡大を防ぐための基本的家庭ケアとして必ず指導する(詳細は§5)[1][5]。
  • 内服抗菌薬が必要になる基準:広範囲・多発、発熱等の全身症状を伴う場合、外用薬で数日経過をみても改善しない場合[1][2][3]。
  • 処方前に薬剤アレルギー歴を必ず確認する:ペニシリン系・セフェム系を含むβラクタム系薬剤へのアレルギー歴(発疹・蕁麻疹・アナフィラキシー等、非即時型か即時型か)の有無を確認してから内服薬を選択する(§0④参照)。
  • 水疱性(黄色ブドウ球菌標的):セフェム系・ペネム系(第一世代セフェムであるセファレキシン、セファクロル等)またはβラクタマーゼ阻害薬配合ペニシリン(アモキシシリン/クラブラン酸等)から選択する[3][2]。[2]はマクロライド系も選択肢として挙げているが、国内のブドウ球菌・溶連菌のマクロライド耐性率の高さを踏まえ本ワークフローでは第一選択に含めない(他薬が使えない場合の選択肢として院内方針で検討)。ペニシリンアレルギーがある場合:IDSA皮膚軟部組織感染症GL(2014年改訂)では黄色ブドウ球菌標的の代替薬としてクリンダマイシン等が挙げられている[11]。
  • 痂皮性(A群溶連菌標的):ペニシリン系抗菌薬が第一選択。レンサ球菌にも黄色ブドウ球菌にも抗菌力の優れたβラクタマーゼ阻害薬配合ペニシリン、セフェム系、ペネム系からも選択しうる。10日間程度の治療期間が目安(レンサ球菌感染後の腎炎リスクを踏まえた除菌の考え方)[2][3]。ペニシリンアレルギーがある場合:非即時型(遅発性の軽い発疹等)で交差反応性の低い第一世代セフェム系(セファレキシン等)は選択肢になりうるが、即時型(アナフィラキシー等)の既往がある場合は避ける。即時型/重症アレルギーの既往がある場合はマクロライド系・クリンダマイシンが代替候補となるが、国内のA群溶連菌はマクロライド系・クリンダマイシンへの耐性が一定割合報告されており([要確認:院内・地域の最新耐性率])、有効性が保証されない点に留意し、可能な範囲で薬剤感受性を確認する[8]。ST合剤(トリメトプリム/スルファメトキサゾール)はA群溶連菌には信頼性が低く、痂皮性型の代替としては推奨しない。
  • 体重換算の考え方:小児の経口セフェム系・ペニシリン系抗菌薬は体重(kg)あたりのmg/kg/日で処方設計し、1日を数回に分割して経口投与するのが一般的な考え方。具体的な力価・分割回数・上限はGL・添付文書間でも幅があるため、個別のmg/kg値は本ファイルには記載しない。運用前に最新添付文書・院内フォーミュラリで確認する[要確認]。
  • 第二選択・無効時:
  • 標準治療(第一選択の外用/内服)で数日〜1週間程度みても改善しない場合、市中感染型MRSA(CA-MRSA)を疑う。院内感染型MRSAと異なり多くの抗菌薬に感受性が残っていることが多い。ホスホマイシン単独または併用、(小児での副作用プロファイルを考慮した上で)ミノサイクリンやニューキノロン系への変更が選択肢として挙げられている。ただし、βラクタム系のまま継続しても軽快することが多く、MRSA検出の有無で治療期間に有意差が認められなかったとの報告もある[2]。
  • 遷延例:抗菌薬の変更だけでなく、十分な洗浄、湿疹(アトピー性皮膚炎等の基礎皮膚バリア機能低下)の治療併用など局所処置の見直しを行う[2]。
  • やってはいけない/非推奨:
  • ムピロシン軟膏(バクトロバン)の皮膚適応での使用:現在日本で承認されているムピロシン製剤は「バクトロバン鼻腔用軟膏2%」のみで、適応はMRSA鼻腔内除菌(易感染患者・医療従事者対象)に限られ、とびひなど皮膚感染症への保険適用はない。海外GL(米国AAP等)の「限局例には局所ムピロシンを第一選択に」という記載をそのまま国内診療に当てはめない[要確認:過去に国内で皮膚用ムピロシン製剤が存在した経緯・販売中止時期]。
  • 抗菌薬なしでステロイド外用単独による経過観察:湿疹反応を伴う場合の抗菌薬との併用は選択肢になりうるが、抗菌薬を伴わないステロイド単独は感染拡大を助長しうる[3]。
  • プール・入浴時に水疱・痂皮をこすり洗いする、水疱を意図的に潰す:感染拡大・疼痛を招く。石けんを泡立てて優しく洗い、よくすすぐ方針で統一する[1][5]。
  • 「軽症だから」と痂皮性膿痂疹(溶連菌主体)にも一律で抗ブドウ球菌薬のみを選択し続ける:病型に応じた薬剤選択(§4第一選択)を怠らない。
5. 再診・帰宅指導・保護者説明
  • 再受診すべきサイン(保護者に伝える):
  • 発熱・不機嫌の出現/増悪、患部の急速な拡大。
  • 口囲・眼囲・鼻周囲の広範な赤み→皮がむけるような表皮剥離(SSSSを疑うサイン)。
  • 外用薬を数日使っても良くならない、むしろ拡大している。
  • 咽頭痛・強い倦怠感(痂皮性型で溶連菌感染合併の可能性)。
  • 治療終了後3〜6週間ほど(皮膚感染後のPSAGNは咽頭炎後の1〜2週間より潜伏期が長い)での顔や瞼のむくみ、尿の色が濃くなる・尿量が減る(急性糸球体腎炎を疑うサイン。特に痂皮性膿痂疹後は念頭に置く)[2][7]。治療終了直後に症状がなくても安心せず、1か月前後は気をつけるよう保護者に伝える。
  • 経過の見通し・登園/登校の目安:
  • 適切な治療で通常は数日〜10日程度で改善傾向となる(水疱性は比較的早期に改善しやすく、痂皮性は10日程度の治療を要することもある)[2][3]。
  • 「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版・2023年5月一部改訂)」では、伝染性膿痂疹(とびひ)は医師の意見書や登園届の提出を必須とする感染症には分類されておらず、病変部を外用薬で処置し、浸出液がしみ出ないようガーゼ等で覆ってあれば通園可能とされている。子ども同士でタオル・寝具は共用せず別々にする[5]。広範囲でガーゼ等での被覆が困難な場合は休むことも検討するよう保護者に伝える[1]。
  • 学校保健安全法施行規則(第18・19条)上、とびひは第一種〜第三種のいずれにも疾病名として明記されておらず「その他の感染症」の扱いとなる。学校で通常見られない規模の流行が起きた場合に限り、校長が学校医の意見を聞いて第三種相当の出席停止措置を緊急的に取りうる、という位置づけで、個別の出席停止日数の法的基準そのものは存在しない[6]。
  • プールは、水を介した感染は起こらないとされるが、掻破による病変の悪化や接触感染のリスクがあるため、治癒するまで水遊び・水泳は見合わせるよう伝える[1][5]。
  • 爪は短く切り、1日1回以上シャワーで全身を洗浄して患部を含め皮膚を清潔に保つ(湯船の共用は避ける)よう家庭ケアとして具体的に指導する[1][5]。
  • 紹介・入院の閾値:
  • SSSS疑い(口囲・眼囲・鼻周囲の紅斑から急速な表皮剥離、発熱・不機嫌)→ 原則入院、皮膚科・小児科連携で全身管理[2]。
  • 広範囲病変で外来内服治療が奏効しない、または経口摂取不良・脱水を伴う → 入院加療を検討。
  • 免疫不全(先天性免疫不全、免疫抑制薬使用中等)を背景に持つ児での急拡大・難治例 → 皮膚科・感染症科等の専門科へ紹介。
  • 痂皮性膿痂疹後に浮腫・血尿等の腎炎を疑う所見 → 腎臓専門医へ紹介し尿検査フォローを行う。
  • 反復・難治性のとびひで基礎の皮膚バリア機能異常(アトピー性皮膚炎の管理不良等)が疑われる → 皮膚科と併診し湿疹コントロールを見直す。
6. 院内ローカルルール(愛育・要確認)
  • 要確認:院内フォーミュラリでの第一選択外用抗菌薬(フシジン酸/ゲンタマイシン/ナジフロキサシン/オゼノキサシンのいずれを採用しているか、病型による使い分けの院内方針)。
  • 要確認:内服抗菌薬(水疱性・痂皮性それぞれ)の院内標準処方・体重換算表の有無。
  • 要確認:溶連菌迅速抗原検査キットの咽頭以外(皮膚病変)への適用可否と、痂皮性膿痂疹疑い時の院内検査フロー。
  • 要確認:SSSS疑い時の入院受け入れ体制(小児科病棟での全身管理、皮膚科コンサルトのタイミング)。
  • 要確認:痂皮性膿痂疹後の腎炎フォロー(尿検査の実施タイミング・実施場所、フォロー期間)の院内標準運用。
  • 要確認:園・学校から求められる「登園(許可)届」等の様式提出への当院としての標準対応文言。
7. 出典(日本のGL優先・URL+版年)
  • [1] 日本小児皮膚科学会「とびひ(伝染性膿痂疹)について」Q&A(日本臨床皮膚科医会・日本小児皮膚科学会 統一見解 2010年11月17日制定/2013年5月22日改訂) https://jspd.umin.jp/qa/02_tobihi.html (運用前に最新版確認)
  • [2] 山﨑修(岡山大学病院)「小児の皮膚細菌感染症」(皮膚科セミナリウム 第86回 皮膚細菌感染症)日本皮膚科学会雑誌 122巻7号 1743-1746, 2012年(平成24年) https://www.jstage.jst.go.jp/article/dermatol/122/7/122_1743/_pdf/-char/ja
  • [3] 門野岳史(聖マリアンナ医科大学皮膚科学講座主任教授)「伝染性膿痂疹(とびひ)[私の治療]」Web医事新報(日本医事新報社)2023年6月2日登録/2026年2月21日更新 https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=22050
  • [4] 常深祐一郎・森直子・内方由美子・可児毅・松井慶太「表在性皮膚感染症に対するオゼノキサシンローション(ゼビアックスローション2%)の使用成績調査による有効性および安全性の検討」日本臨床皮膚科医会雑誌 38巻6号 906-914, 2021年(令和3年) https://www.jstage.jst.go.jp/article/jocd/38/6/38_906/_pdf/-char/ja
  • [5] こども家庭庁(策定時:厚生労働省)「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)」2018年3月策定・2023年5月一部改訂、伝染性膿痂しん(とびひ)の項(p.69) https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e4b817c9-5282-4ccc-b0d5-ce15d7b5018c/c60bb9fc/20230720_policies_hoiku_25.pdf
  • [6] 「学校感染症と出席停止期間の基準(学校保健安全法施行規則第18・19条、2023年5月時点)」東京都立学校公開資料(施行規則本文の要約表。とびひは表中の第一〜第三種いずれにも疾病名として記載なし=「その他の感染症」扱い) https://www.metro.ed.jp/sakuramachi-h/assets/学校感染症と出席停止期間の基準(2023年5月).pdf
  • [7] StatPearls(NCBI Bookshelf)"Infection-Related Glomerulonephritis"(PSGN発症までの潜伏期:咽頭炎後1〜2週間、皮膚感染〈膿痂疹〉後6週間との記載を確認。国内の複数の腎臓内科・小児科解説でも皮膚感染後は3〜6週間・平均約20日とされ整合的) https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK538255/ (参照日2026-08-01・運用前に最新版確認)
  • [8] CDC「Clinical Guidance for Group A Streptococcal Pharyngitis」(A群溶連菌感染に対するペニシリンアレルギー時の代替薬の考え方:非即時型は第一世代セフェム系、即時型はマクロライド系・クリンダマイシン。ただし地域・時期により耐性率が変動しうる旨の注記あり) https://www.cdc.gov/group-a-strep/hcp/clinical-guidance/strep-throat.html (咽頭炎向けGLの記載を皮膚感染症へ準用・国内耐性率は別途確認要)
  • [9] MSDマニュアル プロフェッショナル版「小児虐待の概要」(水疱形成・皮膚剥離を伴う病変はブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群等との鑑別を要する皮膚科的緊急事態となりうる旨の記載) https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/19-小児科/小児虐待/小児虐待の概要 (運用前に最新版確認)
  • [10] DermNet NZ「Linear IgA Bullous Disease」(小児型は緊満性水疱・環状配列を呈し臀部・下腹部に好発する自己免疫性水疱症であるとの解説) https://dermnetnz.org/topics/linear-iga-bullous-disease (運用前に最新版確認)
  • [11] IDSA「Practice Guidelines for the Diagnosis and Management of Skin and Soft Tissue Infections: 2014 Update」(黄色ブドウ球菌による膿痂疹の第一選択はジクロキサシリン・セファレキシン、ペニシリンアレルギー時はドキシサイクリン・クリンダマイシン・ST合剤等が代替候補との記載。ドキシサイクリンは8歳未満では原則非使用) https://academic.oup.com/cid/article/59/2/e10/2895845 (運用前に最新版・小児適応確認)
  • 公益社団法人日本皮膚科学会「一般公開ガイドライン」一覧(2026年7月時点で伝染性膿痂疹単独の診療ガイドラインは同学会の公開ガイドライン一覧に収載されていないことを確認。表在性皮膚感染症全般のGLとしては化膿性汗腺炎診療ガイドライン等が存在するが膿痂疹専用ではない)https://www.dermatol.or.jp/medical/guideline/4742/ [要確認:非公開・会員限定のGLが別途存在する可能性]
  • ゲンタシン軟膏0.1%・アクアチムクリーム1%の効能・効果(表在性皮膚感染症、適応菌種の範囲):添付文書情報(医薬品医療機器総合機構PMDA・各社添付文書。運用前に最新版確認)
  • バクトロバン鼻腔用軟膏2%の適応(MRSA鼻腔内除菌に限定):添付文書情報(グラクソ・スミスクライン、運用前に最新版確認)

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