いずれも稀だが、見逃すと後遺症・死亡につながりうるため必ず問診・視診でスクリーニングする。
- 口腔痛による摂取不良からの脱水(★最重要・最も頻度が高い見逃し): 啼泣時涙なし、尿量減少(従来「半日以上排尿なし」としていたが、乳児では6〜8時間以上排尿なしを目安に評価を始める方が安全側。手足口病・ヘルパンギーナは口の痛みで飲めなくなりやすいため、あえて早めの基準にしている(他疾患で目安とされる「半日≒12時間」より意図的に短く設定)。月齢の低い児ではさらに早期の評価が望ましい。この時間閾値は複数の医療機関解説の一致に基づく目安であり、単一の一次GL数値としては[要確認])、口唇・口腔粘膜乾燥、活気低下、体重減少。手足口病・ヘルパンギーナの受診理由の大半は発疹自体ではなく「痛くて飲めない」であり、外来での脱水評価を必ず行う[1][2]
- 意識障害・嗜眠・呼びかけへの反応不良、ぐったりして視線が合わない: EV71関連の脳幹脳炎・中枢神経合併症の初期像。入眠時の一瞬のビクツキ(ミオクローヌス様体動)は早期に出現しやすい特異的サインとして知られる[3][6]
- けいれん: 髄膜炎・脳炎の合併を疑う[3][6]
- 頻呼吸・努力呼吸・チアノーゼ、蒼白・冷汗: 心筋炎、神経原性肺水腫を疑う所見。EV71重症例で報告される[3][6]
- 頻脈・末梢循環不良(毛細血管再充満遅延): 心筋炎による循環不全の徴候[3][6]
- 四肢の脱力・歩行障害・突然の跛行: 急性弛緩性麻痺(AFP)を疑う。稀だがEV71関連で報告あり[3][6]
- 高熱の遷延(3日以上)・解熱後の再上昇: 通常は手足口病1〜3日、ヘルパンギーナ2〜4日で解熱するため、これを超える発熱は再評価対象[4][5]
- 生後3か月未満、免疫不全・慢性心肺疾患などの基礎疾患保有児: 非典型・重症化リスクが相対的に高い。特に若年乳児の発熱では「手足口病様の皮疹があるから安心」と即断せず、月齢に応じた標準的な発熱児ワークアップ(重篤細菌感染症=敗血症・尿路感染・髄膜炎の除外)の原則を優先する。目安として生後28日未満は原則精査・入院対象(うち22-28日は検査結果と24時間フォロー体制により外来管理を検討しうる)、生後1〜3か月は重症感や検査値により腰椎穿刺等の要否を判断するのが一般的な考え方であり、皮疹の存在はこの原則を免除しない[13]
- 発熱の遷延(3〜5日以上)+発疹+眼球結膜充血・口唇口腔粘膜変化・四肢末端の変化・頸部リンパ節腫脹のいずれかを伴う場合は川崎病を鑑別に挙げる: 手足口病・ヘルパンギーナは典型像では鑑別が容易だが、非典型例・発疹先行例では不全型川崎病との混同が臨床上起こりうる。症状数が4つ以下でも川崎病を否定しない(川崎病診断の手引き改訂6版)[12]
補足: 上記のうち意識障害・けいれん・呼吸循環不全・AFPはEV71型に多いとされるが、日本国内での大規模な重症化流行(1998年台湾、2008年中国のような数十〜百例規模の急性死)は稀であり、過度に不安を煽らず「頻度は低いが見た時に見逃さない」構えで対応する[6][7]。