頭を打ったとき(頭部打撲)

頭を打ったとき(頭部打撲)

救急・外傷・中毒β版・逐条レビュー継続中

2026-07-31更新
β版用量は適用前に一次資料と院内採用を確認。このβ版について

家族説明を開く

施設プロファイル: 二次救急/当直帯は頭部CT・MRIが撮れない/脳神経外科の常駐なし/夜間入院はできる(2026-09-14 確認)。

30秒要約

  • 多くは経過観察でよい。まれな悪化サインを家族に渡して帰宅させるのが仕事。
  • けいれん、反応不良、反復嘔吐、進行性頭痛、CSF/出血、陥没は画像・観察側。
  • 赤ちゃんが授乳時間になっても起きない、は重要なサイン。
  • 当直帯の当院で頭部CTは撮れない。だがPECARNはほとんど壊れない——PECARNはもともとCTを減らすための基準だから。低リスクは帰宅(CT不要)、中間リスクは経過観察を選べる(当院は夜間入院ができる)。変わるのは高リスクだけで、そこは「CT推奨」=当院では撮れない=その時点で搬送になる。
  • ただし1つだけ危ない穴がある。中間リスクで院内経過観察を選んだとき、正本は「悪化したらただちにCTに切り替え」と書いている。当院はその切り替えができない。切り替え先は撮影ではなく搬送で、搬送には時間がかかる。だから当院で経過観察に倒すときの閾値は、CTのある施設より低くしておく。迷ったら観察ではなく、最初から送る。

レッドフラグ

所見があったときにどれだけ急ぐかと、家族に何を伝えるかの対応表。3列目の文言は家族説明ページに同じ言葉で載っているので、画面を見せながら渡せる。

緊急度所見家族に伝えること
緊急けいれん、反応不良、片麻痺、反復嘔吐、進行性頭痛家族ページの「受診の目安」に載っている。画面を見せて指差しで渡す
緊急耳鼻からの透明液・出血、陥没や大きな軟らかい腫脹家族ページの「受診の目安」に載っている。画面を見せて指差しで渡す
緊急乳児が授乳時間でも起きない、ぐったり、複視家族ページの「受診の目安」に載っている。画面を見せて指差しで渡す

問診チェック

初期プラン(コア)

  1. ABC・神経所見。レッドフラグは観察入院/画像の施設ルールへ。
  2. 低リスクは帰宅観察。家族に「夜中でもこのサインで戻る」を渡す。
  3. CT適応と判断した時点が、当直帯では搬送の判断になる(当院で撮れない)。低リスクへのルーチンCTは元から不要なので、そこは何も変わらない。
  4. 中間リスクで院内観察にするなら、悪化時はCTではなく搬送になることを先に家族へ伝え、受け入れ先の目星を先につけておく。
  5. 虐待を疑う所見があれば、頭部CT・全身骨X線・眼底検査・MRIはいずれも当直帯の当院では出せない。当直帯にできるのは記録・多職種への連絡・通告の判断で、画像は搬送先に委ねる。
  6. 家族説明 → Family Guide「頭を打ったとき」。

家族に渡す一文

「頭を打つケガの多くはおうちで見て大丈夫です。けいれん、呼びかけへの反応が鈍い、何度も吐く、頭痛が強くなる、耳や鼻から血や透明な液、頭がへこんでいるときは、昼夜問わずすぐ受診してください。」
https://ampl-kids-health-guide.pages.dev/patient/頭を打ったとき(頭部打撲)について_患者説明_2026-07-31.html

エスカレーション

  • 意識障害、巣症状、乳児の覚醒不良、開放/陥没 → 上級医 / 救急
  • 確定(2026-09-14):当直帯に頭部CT・MRIは撮れない。PECARN高リスク=搬送として運用する
  • 要確認:夜間・休日の脳神経外科の搬送先(下の「院内ローカルルール」は正本側の自動生成で、当院の答えはここに置く)

出典

  • Family Guide head-injury(2026-07-31)と整合

計算

kgこのシートの計算すべてに反映。タブを閉じるまで保持されるので、患者が変わったらクリアする。
判定

PECARN 頭部CT判定(軽症頭部外傷)

対象: 鈍的頭部外傷・GCS14〜15点。ごく軽症の受傷機転(転倒のみ等)とGCS13点以下は対象外(重症プロトコルへ)。

高リスク項目

中間リスク項目

低リスク: CT推奨しない(帰宅可・観察指導へ)

PECARNは虐待の検出には鋭敏でない。低リスク判定でも虐待を疑う所見が別途あれば精査に進む(本シート§1・虐待鑑別参照)。

いつ使う

鈍的頭部外傷でGCS14〜15点の小児(18歳未満)のCT適応判断。層別の前に、本シート§1のレッドフラグ(頭蓋底骨折徴候・受傷後けいれん・局所神経所見等)があれば即時対応を優先する。

落とし穴
  • 「GCS14」は原文ではGCS<15の意(本ルール対象がGCS14〜15のため実質14点)
  • 乳児はGCSの言語・運動評価基準が成人と異なる(乳児版E/V/M表で評価)
  • 2歳未満の中間リスクでは生後3か月未満をCT寄りに判断する考慮因子に含める
次の一手

高リスク→CT。中間リスク→経過観察(おおむね6時間目安)またはCT(担当医裁量・所見が複数か・症状悪化・保護者の要望を考慮)。帰宅時は観察期間の目安: 1歳以上24時間・1歳未満48時間(本シート帰宅指導参照)。

出典

日本小児神経学会「小児頭部外傷時のCT撮像基準の提言・指針」2019 / PECARN原著(Kuppermann 2009)。性能: 原著で2歳未満NPV100%・2歳以上NPV99.95%、本邦6施設6,585例の前方視的検証でNPV99.96%(95%CI 99.86-100)。詳細は本シート詳細リファレンス§2の出典参照。

参考計算・参考判定です。適用は添付文書・現行ガイドライン・院内採用・患者個別要因を確認のうえ医師が判断してください。

処方

処方

処方の考え方

頭部外傷でCT適応外・経過観察となった場合の対症療法。疼痛にはアセトアミノフェン10〜15 mg/kg/回を体重換算で使用し、頭蓋内出血が否定できない間はNSAIDs回避も選択肢として院内で確認する。悪心・嘔吐時の制吐薬は個別の処方値をガイドラインが示していない。

対症療法

この数字の意味

体重換算の考え方であって処方箋ではない。実際の剤形・力価(ドライシロップ10%/20%等)と採用薬は施設ごとに違い、本シートの「院内ローカルルール」(§6)は未確定のまま。g・包数への換算は院内採用を確認したうえで行う。

薬剤名だけで用量が出ないものは、正本にその記載が無いということ。推測の数字は出さない。

参考計算・参考判定です。適用は添付文書・現行ガイドライン・院内採用・患者個別要因を確認のうえ医師が判断してください。

詳細リファレンス9章(正本より)

出所: 正本「頭部打撲_PECARN_2026-07-31.md」(起草→敵対的検証→一次資料照合→独立再検証済み)。同期日: 2026-08-14。
用量・基準は「考え方」の記載であり、適用前に一次資料と院内採用・添付文書を確認すること。「医師確認事項」に残る論点は未確定。

  • 区分: 外来編/疾患別ワークフロー
  • 記録日: 2026-07-31
  • 状態: 下書き(要・本人確認)
  • 対象: 小児外来(愛育病院)

⚠ 本ファイルはAIが最新の文献・ガイドラインをWeb検索して起草した下書き。最終的な臨床判断は医師(岡本)が確認して確定する。用量は体重換算の「考え方」のみ・個別処方値や患者情報は書かない。

準拠GL: 「小児頭部外傷時のCT撮像基準の提言・指針」(日本小児神経学会・頭部外傷におけるCT撮影基準の提言作成ワーキンググループ、日本小児神経外科学会・日本小児救急医学会・日本小児放射線学会協力、2019年11月)[1]。同提言はPECARN・CATCH・CHALICE(NICE2014)の3基準を併記し「実臨床では現状に即してどの基準を適応するか選択することが望ましい」とする立場だが、本ワークフローは指示に従いPECARNを主軸に構成。虐待鑑別は日本小児科学会「子ども虐待診療の手引き」該当章[2][3]に準拠。

医師確認事項(要・岡本判断)
  1. GL[1]の最新性: 2019年11月発表。日本小児神経学会サイトの解説ページ(childneuro.jp/about/6419)を2026-08-01時点で再確認したが、発表年は「2019年11月」の記載のみで改訂版に関する記載はなし。一方でjspr-net.jpに"revised"を含むファイル名のPDFが別途存在し(画像スキャンPDFでOCR抽出不能なため中身は未確認)、改訂版の有無は依然として断定できない。運用前に日本小児神経学会へ直接問い合わせて最新版の発表年を確認[要確認]。
  2. 院内でどの基準を標準採用するか: GL[1]はPECARN/CATCH/CHALICEのいずれも「有用」としており一本化を求めていない。愛育病院としてPECARN一本化か医師裁量かは6.で要確定。
  3. TEN-4-FACESp(非接触部位あざルール)[6]の位置づけ: 米国発のスクリーニングルールで、日本の公式GL([2][3])には明示的に採用されていない。国内小児科診療での参照可否・院内虐待対応チームでの位置づけは要確認。
  4. アセトアミノフェンの体重換算目安(10〜15mg/kg/回): 一般的な小児科の教科書的知見であり本疾患専用のGL明記ではないため、頭部外傷例への適用(NSAIDs回避の要否含む)は院内方針として要確認。
0. 一目でわかるフロー
受診(頭部打撲・受傷機転の聴取)
  → レッドフラグ評価(意識障害進行・活動性けいれん・開放骨折等は即・二次評価/搬送)
  → 虐待の視点でのスクリーニング(病歴と所見の整合性・受診遅延・非接触部位の血腫等)
  → PECARNルールで層別(年齢2歳未満/2歳以上 × 高リスク/中間リスク/低リスク)
  → 検査判断
      高リスク  → 頭部CT推奨
      中間リスク → 経過観察(おおむね6時間目安) または CT(医師裁量・複数所見・症状悪化・生後3か月未満・保護者希望を考慮)
      低リスク  → CT推奨しない・帰宅
  → 治療(大半は対症療法。異常所見があれば脳神経外科コンサルト)
  → 帰宅指導(観察期間の目安:1歳以上24時間・1歳未満48時間)・再診/紹介基準
1. レッドフラグ(見逃し厳禁)

PECARNの層別に入る前に、以下があれば即座に二次評価・上位施設連携を検討する。

  • 意識障害の進行・GCS低下、もうろう状態、興奮状態、同じ質問を繰り返す等の意識状態の変容
  • 頭蓋骨骨折を触知(陥没・段差)、大泉門膨隆(乳児)、開放性・陥没骨折の疑い
  • 頭蓋底骨折の徴候: 髄液耳漏・髄液鼻漏、パンダの目徴候(眼窩周囲皮下出血)、バトル徴候(乳様突起部皮下出血)、鼓室内出血・鼓膜下血腫
  • 局所神経学的所見(片麻痺・瞳孔不同・眼球運動障害等)→ PECARNの必須3項目には明記されないが、CHALICE等の他基準・実臨床では単独でCT適応とされる所見[1]
  • 受傷後のけいれん
  • 5秒以上の意識消失(2歳未満)/意識消失(2歳以上、特に長時間)
  • 繰り返す嘔吐(増悪傾向)、★悪化する頭痛 → 2歳以上のPECARN中間リスク項目だが、頻度・程度が強い場合は閾値を下げてCTを検討
  • 高エネルギー外傷(PECARN定義: 車外放出・同乗者死亡・車の横転事故・ヘルメット非着用での自転車/歩行者対自動車事故、高所転落[2歳未満は3フィート=約0.9m以上、2歳以上は5フィート=約1.5m以上からの転落]、強い衝撃を伴う打撲)[1]
  • 虐待を疑う所見(詳細は下記): 病歴と外傷の程度・受傷機転が一致しない、受診の遅れ、月齢に対して外傷機転が非典型(自力で寝返り・移動できない乳児の「転落」「打撲」)、非接触部位(体幹・耳介・頸部・大腿内側・臀部)のあざ・血腫生後5か月未満児の理由不明のあざ(自力移動できない月齢での外傷は基本的に説明不能)、パターン化した外傷(咬痕・手形・線状痕)[2][3][6]

虐待鑑別(AHT: Abusive Head Trauma)のポイント

  • 頭部外傷入院例に占める虐待関連の割合は年齢区分により報告値が異なる。2歳未満ではDuhaimeらの検討で24%、国立成育医療研究センター/兵庫県立こども病院の外傷性脳障害入院例68例の検討で37%。3歳未満まで含めるとReeceらの検討で26%、青木ら(疑い例を含む)の検討で40%との報告があり[2]、いずれの年齢区分でも稀な事象ではない
  • 硬膜下血腫は交通外傷以外での発症は少なく虐待の関与が圧倒的に多い一方、硬膜外血腫は偶発事故でも起こりやすく虐待とは限らない[3]
  • 帽状腱膜下血腫は新生児期は吸引分娩等の分娩外傷が主因(頻度は分娩全体で1万例に4例、吸引分娩で1万例に59例)だが[要確認]、乳幼児期に骨膜下血腫(頭血腫)ではなく可動性のある広範な帽状腱膜下血腫を認め、かつ受傷機転の説明が不十分な場合は虐待の除外を要する[要確認:本邦GLでの明示的な位置づけは今回の検索範囲では確認できず、産科領域の分娩外傷情報からの類推]
  • PECARN高リスク項目にはない補助所見として、後頭部・頭頂部・側頭部の頭皮血腫(2歳未満のPECARN中間リスク項目④)は、前頭部(転倒時に接触しやすい部位)と異なり自力での接触が生じにくい部位であることから、虐待スクリーニングの文脈でも注視される[1]
  • TEN-4-FACESp(Torso・Ear・Neckのあざ、Frenulum・Angle of jaw・Cheeks・Eyelids・Subconjunctivaeの外傷、生後4.99か月以下でのあらゆるあざ、Patterned bruising): 4歳未満2,161例の多施設研究で感度95.6%・特異度87.1%と報告される虐待スクリーニングルール[6]。診断確定用ではなくスクリーニング用であり、該当時は追加評価(全身骨X線・眼底検査等)のトリガーとする
  • 日本のGLでは「PECARNは虐待事例の検出には鋭敏ではないので注意を要する」と明記されている(単一施設2013年検討で感度85.7%・特異度73.5%だが虐待検出には非鋭敏)[1]。PECARNで低リスクと判定されても、虐待を疑う所見が別途あればPECARNの結果だけで安心せず精査に進む
2. 重症度・病型の判定

PECARNルールの適用条件[1][4]

  • 対象: 鈍的頭部外傷、受診時GCS 14〜15点(GCS13点以下は重症例として本ルールの対象外=別途の重症頭部外傷プロトコルで対応)
  • 除外条件: ①受傷機転が転倒のみ・静止している物体にぶつかった等のごく軽症の頭部外傷、②GCS13点以下の重症例
  • 年齢で2歳未満2歳以上18歳未満に分岐し、それぞれ高リスク・中間リスク・低リスクの3群に層別する(PECARN原著[1][4]の適用年齢上限は18歳未満。思春期以降の患者を含む外来運用時は上限を意識すること)

2歳未満の場合

リスク群該当項目(いずれか1つで該当)対応
高リスク①GCS14(15点満点中14点=正常評価から低下) ②意識状態の変容 ③頭蓋骨骨折を触知頭部CTを推奨
中間リスク④後頭部・頭頂部・側頭部の皮下血腫 ⑤5秒以上の意識消失 ⑥高エネルギー外傷 ⑦親からみて普段と違う以下を考慮して経過観察 or CT:担当医の裁量/所見が複数か単一か/症状悪化/生後3か月未満/保護者の要望
低リスク上記すべて該当なしCT推奨しない(帰宅可)

2歳以上の場合

リスク群該当項目(いずれか1つで該当)対応
高リスク①GCS14 ②意識状態の変容 ③頭蓋底骨折の徴候頭部CTを推奨
中間リスク④意識消失 ⑤嘔吐 ⑥高エネルギー外傷 ⑦激しい頭痛以下を考慮して経過観察 or CT:担当医の裁量/所見が複数か単一か/症状悪化/保護者の要望
低リスク上記すべて該当なしCT推奨しない(帰宅可)

性能: 原著[4]では2歳未満でNPV 100%・感度100%、2歳以上でNPV 99.95%・感度96.8%。本邦6施設6,585例(2歳未満2,237例・2歳以上4,348例)の前方視的検証でもciTBI(外科的介入や2日以上の入院を要した頭蓋内病変)の低リスク5,041例中2例(0.04%)のみciTBI発生、NPV 99.96%(95%CI 99.86-100)と報告され、日本人小児にも安全に適応できると考えられている[1][5]。

参考: GCSの年齢調整(乳児・小児)[1]

乳児は言語反応(V)・運動反応(M)の評価基準が成人と異なる。PECARNのGCS14基準を正しく適用するため、年齢に応じたGCS評価(乳児版E/V/Mスコア)を用いる(詳細はGL[1]添付の乳児・小児GCS表を参照)。

※ 上表の「GCS14」は原文(出典[1]、PECARN原著[4])では「GCS<15」(15点満点未満、すなわち14点以下)と表記される。本ワークフローの対象自体がGCS14〜15点に限定されるため実質的にGCS14点のみを指すが、「GCS14」の表記のみで独立した基準と誤読しないよう注意する。

3. 検査
  • 必要:
  • 高リスク群 → 頭部CT
  • 中間リスク群 → 経過観察(院内でおおむね6時間を目安。出典[1]に「4時間」の記載はなく「明確なエビデンスはないがおおむね6時間を目安とする」と明記)または頭部CT。複数所見が重なる/症状が悪化する/生後3か月未満/保護者が強く希望する場合はCTに傾ける[1]
  • 虐待を疑う所見がある場合の追加検査: 全身骨単純X線(2歳未満は虐待疑い例で全例施行、2〜5歳は虐待による骨折が既にある場合に施行、5歳以上は不要)、眼底検査(眼科医による所見の検索と写真撮影。眼底出血は虐待による特異度94%と報告)、頭部CT搬入時速やか撮影+48時間以内のMRI1週間後の再検査[2][3]
  • 不要・過剰になりがち:
  • ★低リスク群への"念のため"CT。小児頭部CTの平均実効線量は1〜3.5mSvだが、低線量域でも有意ながんリスク上昇を示すコホート研究があり、10mSvあたり固形がんで数%〜30%程度・白血病で40%前後の生涯リスク上昇と推定されている(出典[1]はこれに続けて、国立がん研究センター最新がん統計を引用元として「生涯がん死亡リスクは男性25%[うち白血病0.6%]・女性16%[うち白血病0.4%]」を併記)。★注意: 「男性25%/女性16%」は一般集団(日本人)の生涯がん死亡確率の統計であり、CT1回による上乗せリスク分ではない。家族への説明時にこの2つの数値を混同すると「1回のCTでがん死亡リスクが25%上がる」という誤解を招くため、口頭・文書とも両者を明確に切り分けて説明すること。不要な頭部CTは可能な限り控えるべきというのがGL[1]の基本姿勢
  • 他の危険因子を伴わない単発の嘔吐・軽度の頭痛のみでのCT
  • 頭部単純X線単独での判断(骨折の有無だけでは頭蓋内病変の除外にならない。虐待評価目的の全身骨検索以外では基本的に推奨されない)
  • 症状が安定しているのに反復して行うルーチンCT(新規症状・悪化がなければ不要)
4. 治療
  • 第一選択:
  • CT適応外(低リスク群、または中間リスク群で経過観察のみ選択した場合)は対症療法が中心。多くは特別な治療を要さず自然軽快する
  • 疼痛にはアセトアミノフェンを体重換算(一般的目安として10〜15mg/kg/回。GL値の一般論であり個別の処方値は書かない)で使用。頭蓋内出血が否定できない間はNSAIDs(出血助長の懸念)を避ける運用も選択肢として院内で確認[要確認]
  • 悪心・嘔吐があれば必要に応じ制吐薬を体重換算で考慮(個別処方値は書かない)
  • 経過観察中は鎮静性の強い薬剤(抗ヒスタミン薬等)の使用を避ける。意識レベル・神経学的所見の評価を妨げ、悪化サインの発見が遅れるリスクがある
  • 第二選択・無効時:
  • CTで頭蓋内出血・陥没骨折等の異常所見 → ただちに脳神経外科医にコンサルト、緊急手術適応の判断・高次医療機関への搬送を検討(開頭術・陥没骨折整復術・頭蓋内圧センサー留置術・気管内挿管処置等の脳神経外科的治療介入はCATCH基準の高リスク群定義そのものでもある[1])
  • 中間リスク群で経過観察中に意識レベル低下・嘔吐増悪・新規神経症状が出現 → ただちにCT撮影に切り替え
  • やってはいけない/非推奨:
  • ★低リスク群への"念のため"CT撮影(被曝の観点から不要。GL[1]の基本姿勢)
  • 経過観察中の意識評価を妨げる安易な鎮静
  • 虐待を疑う所見があるにもかかわらず、保護者の説明のみで経過観察を終了し、多職種評価・通告のプロセスを省略すること
  • CTが正常であることのみをもって「今後は絶対に大丈夫」と保証すること。GL[1]の家族向け説明例にも「基準を用いてCTをとらないと判断された場合も100%安心できるものではない」と明記されている
5. 再診・帰宅指導・保護者説明
  • 再受診すべきサイン(保護者に伝える。GL[1]の家族向け説明文例に基づく):
  • けいれんする
  • 赤ちゃんがミルクの時間になっても起きない
  • 手足や体の動きがおかしい
  • 繰り返し吐く
  • 顔色が悪い、非常に機嫌が悪い
  • 普段と違う様子(元気がない、反応が鈍い等)
  • 頭や首の痛みが悪化する
  • 経過の見通し・登園/登校の目安:
  • ★帰宅後の観察期間の目安は1歳以上で24時間、1歳未満児で48時間程度[1]。この間は上記サインの出現・状態悪化に注意するよう説明する
  • 院内での経過観察(中間リスク群でCTを行わず様子をみる場合)は明確なエビデンスはないがおおむね6時間を目安とする[1]
  • 登園・登校・スポーツ再開は、上記観察期間を経て症状が消失していることを確認したうえで段階的に判断する。頭部CTの所見が正常でも、後から頭蓋内出血や脳実質損傷が明確化するケースがあることに留意する[1]
  • 紹介・入院の閾値:
  • CTで異常所見(頭蓋内出血・陥没骨折等)→ 脳神経外科医へ即紹介
  • 中間リスク群で院内経過観察中に症状増悪
  • 生後3か月未満の頭部外傷は閾値を下げて評価(PECARN中間リスク群における考慮要素の一つ[1])
  • 虐待を疑う所見がある場合 → 院内の虐待対応窓口(要確認)を通じ多職種評価を行い、必要に応じて全身骨X線・眼底検査を追加、児童相談所への通告を検討[2][3]。予断を与えない形で保護者からの説明を聴取し記録する[3]
6. 院内ローカルルール(愛育・要確認)
  • 要確認:院内でのCT適応基準の標準運用(PECARN/CATCH/CHALICEのいずれを主軸とするか、医師裁量の範囲)
  • 要確認:頭部CT撮影時の被ばく低減プロトコル(必要最低限の撮影範囲・スライス厚/ピッチファクタ・被ばく低減用フィルタ・自動照射制御機構[CT-AEC]の有無)[1]
  • 要確認:夜間・休日帯の脳神経外科オンコール体制、緊急CT読影医・搬送先(高次医療機関)
  • 要確認:虐待対応チーム(CPT等)の院内窓口、全身骨X線・眼底検査の依頼フロー、児童相談所との連携窓口
  • 要確認:帰宅時の家族向け説明書(観察期間・再受診サイン)の院内定型フォーマットの有無(GL[1]添付の説明書例を院内向けに改変して活用することを推奨)
7. 出典(日本のGL優先・URL+版年)
  • [1] 日本小児神経学会(頭部外傷におけるCT撮影基準の提言作成ワーキンググループ:日本小児神経外科学会・日本小児救急医学会・日本小児放射線学会協力)「小児頭部外傷時のCT撮像基準の提言・指針」2019年11月.

原本PDF: childneuro.jp(pdftotextで本文照合済・2026-08-01)/ 改訂版と見られるPDF: jspr-net.jp(画像スキャンPDFでOCR抽出不能・中身未確認)/ 解説ページ: childneuro.jp/about/6419(2026-08-01再確認:発表年「2019年11月」の記載のみで改訂の記載なし)※改訂版の発表年・内容は依然未確認、運用前に学会へ直接照会を要確認

  • [2] 日本小児科学会 こどもの生活環境改善委員会「子ども虐待診療の手引き」16. 頭部CT&MRIにおける注意点, 2014年3月.

URL: jpeds.or.jp/uploads/files/abuse_16.pdf(pdftotextで本文照合済・2026-08-01。Duhaime 2歳未満24%/Reece 3歳未満26%/青木 3歳未満40%[疑い例含む]/国立成育医療研究センター・兵庫県立こども病院68例37%を確認) ※「子ども虐待診療の手引き」全体は初版2007年・第2版2014年・第3版2022年3月改訂とされ、本章が第3版でどう改訂されているかは今回も接続確認できず未解決[要確認]

  • [3] 日本小児科学会 子ども虐待問題プロジェクト「子ども虐待診療の手引き」4. 乳幼児の頭部外傷(Shaken Baby Syndromeを中心に), 2006年4月.

URL: jpeds.or.jp/uploads/files/abuse_4.pdf ※同上、最新版での改訂確認が必要[要確認]

  • [4] Kuppermann N, Holmes JF, Dayan PS, et al; Pediatric Emergency Care Applied Research Network (PECARN). Identification of children at very low risk of clinically important brain injuries after head trauma: a prospective cohort study. Lancet. 2009;374:1160-1170.
  • [5] 井手健太郎、植松悟子、早野駿ら「軽症頭部外傷小児に対するPECARNルールの安全性の検討・多施設共同前方視的観察研究」日本救急医学会雑誌. 2018;29:502.(原著: Ide K, Uematsu S, Tetsuhara K, et al. External Validation of the PECARN Head Trauma Prediction Rules in Japan. Acad Emerg Med. 2017;24:308-314.)
  • [6] Pierce MC, Kaczor K, Lohr D, et al. Validation of a Clinical Decision Rule to Predict Abuse in Young Children Based on Bruising Characteristics. JAMA Netw Open. 2021;4(4):e215832. doi:10.1001/jamanetworkopen.2021.5832 ※米国発のスクリーニングルールで日本の公式GLには未採用。国内小児科診療での位置づけは要確認
  • [7] Babl FE, Borland ML, Phillips N, et al; PREDICT. Accuracy of PECARN, CATCH, and CHALICE head injury decision rules in children: a prospective cohort study. Lancet. 2017;389:2393-2402.(PECARN/CATCH/CHALICE比較コホート研究、[1]内で引用)

※ 点数・GLは改定される。運用前に最新版を確認。

同じ場面のシート

ほかに開く

↑↓ 移動 / Enter 開く / Esc 閉じる