お子さんが頭を打つと、保護者の方はとても心配になると思います。実際には、頭を打つケガの多くは、おうちで様子をみるだけで心配のいらないものです。ただ、まれに注意が必要なサインもあるため、ここでは診察での考え方と、帰宅後にご家庭で気をつけていただきたいことをまとめました。
「頭部打撲」とは、転んだり、物にぶつかったり、高いところから落ちたりして、頭を打つケガのことです。歩き始めた赤ちゃんやお子さんにはとてもよくあるケガで、ほとんどの場合、頭の外側に小さなたんこぶ(皮下の血腫)ができる程度で済み、心配はいりません。
脳は頭蓋骨というかたい骨と、その内側のクッションに守られており、多少の打撲では中まで影響が及ばないことがほとんどです。ただし、ごくまれに、頭の中で出血が起きたり、骨が折れたりすることがあるため、診察では「どのように打ったか」「どんな症状があるか」をくわしくお伺いし、注意が必要な状態かどうかを見きわめます。
診察では、お子さんの年齢、受傷したときの状況(どのくらいの高さから、どんなものに当たったか等)、診察でみられる様子(意識の状態・嘔吐の有無・頭の触った感じなど)をあわせて確認し、頭の中を調べるCT検査が必要かどうかを判断します。これは国内外の研究にもとづいた目安にそって行っており、同じような打ち方でも、月齢・年齢や症状によってCTが必要かどうかの判断は変わります。
症状が軽い、またはまったくないお子さんの多くは、CT検査を行わずに、おうちで様子をみていただくだけで大丈夫です。CT検査は体に一定の負担がかかる検査でもあるため、「必要のない場合は行わない」というのが基本的な考え方です。
すぐにCTを行うほどではないものの、もう少し様子をみたい所見がある場合は、CTを行わずに院内でしばらく(目安としておよそ6時間程度)経過をみてから、ご帰宅いただくかどうかを判断することがあります。また、生後3か月未満の赤ちゃんは症状が分かりにくいことがあるため、少し慎重めに経過をみることがあります。
お薬は診察で決めます
痛み止めなどのお薬は、お子さんの年齢や体の大きさ、症状によって使える種類・使い方が異なります。この資料には一般的な考え方のみを記載し、個別のお薬の種類や量は記していません。診察でお伝えする使い方にしたがってください。
一方で、意識の様子がいつもと違う、頭の骨に触れて段差がある、嘔吐をくり返す、けいれんがあったなど、気になる所見がある場合には、CT検査をおすすめすることがあります。診察の結果、しばらく院内で様子をみてから方針を決めることもあります。
なお、CTの結果が正常だった場合でも、100%心配がないと言い切れるわけではありません。ごくまれに、時間が経ってから症状が現れることがあるため、結果にかかわらず、次の項目でご案内する注意点を帰宅後も守っていただくようお願いします。
日中・夜間を問わず、上記のいずれかがあれば、すぐに受診してください。判断に迷うときは、遠慮なく病院にご連絡ください。
Q. 頭にたんこぶができただけです。それだけなら心配ないですか?
A. 頭の外側にできるたんこぶ(皮下の血腫)そのものは、多くの場合心配のいらないものです。ただし、たんこぶの場所や大きさ、ほかの症状の有無によって診察での判断は変わりますので、気になる場合は診察でご相談ください。
Q. 眠ってしまいました。起こして意識を確認したほうがいいですか?
A. 無理に起こす必要はありません。いつもどおり眠って大丈夫です。ただし、起きているときに呼びかけへの反応が鈍い、ぼんやりしているといった様子が見られる場合は、すぐにご連絡ください。
Q. CTをしないと言われました。それで本当に大丈夫でしょうか?
A. 診察の結果、CTが必要ないと判断された場合、多くのお子さんは心配のいらない経過をたどります。ただし、ごくまれに時間が経ってから症状が現れることがあるため、結果にかかわらず「すぐ受診してほしいサイン」には帰宅後も注意してください。
Q. 何日くらい注意して見ればいいですか?
A. 目安は1歳以上のお子さんで24時間、1歳未満の赤ちゃんで48時間です。この期間を過ぎても心配な症状が続く場合は、あらためて受診してください。
Q. 痛み止めは何を使ったらいいですか?
A. お子さんの年齢や体の大きさ、症状によって使えるお薬は異なるため、診察でお伝えします。市販薬を自己判断で追加することは避け、指示された使い方の範囲でご使用ください。
Q. 次に同じことが起きないよう、気をつけることはありますか?
A. 転倒・転落を防ぐことがいちばんの対策です。階段や段差の柵、ベビーベッドの高さ、自転車やスポーツ時のヘルメット着用など、お子さんの年齢や生活環境に応じた対策を心がけてください。