典型例(小児で最多)
潜伏期は10〜20日[1][3]。発疹出現の7〜10日前に微熱・感冒様症状(このタイミングがウイルス血症のピークで、最も感染力が強い時期)が先行することがある[2][3]。その後、境界鮮明な両頬の紅斑(「頬を平手打ちされたような」外観)が出現し、続いて上腕外側・体幹・大腿へと拡大、融合しながら網目状・レース状の紅斑として左右対称性に広がる[1][2][7]。発疹は数日〜1週間程度で消退するが、その後数週間は日光曝露・入浴・運動・発熱・精神的ストレス等の刺激で一時的に再出現(recrudescence)することがある[8]。
診断の性質: 通常は発疹の外観と拡大パターンによる臨床診断のみで確定する。血清学的検査(IgM/IgG抗体)やPCRは合併症評価が必要な場合に限る(§3)[7]。
年齢分布・流行
9歳以下が全体の93%を占め、うち5歳が全年齢中最多の17%(2015年第50週時点データ、IASR 37(1), 2016)[4]。4〜6年周期で流行し、例年6〜7月にピークを迎える[4]。COVID-19流行期は年齢分布が一時的に変化したが、2024年以降は流行前と同様(3〜5歳・6〜9歳が中心)の傾向に戻ったと報告されている[2][要確認: 直近(2025年大流行後)の年齢別詳細%はIDWR/IASR最新号で運用前に再確認]。2025年は現行サーベイランス体制(1999年開始)以来最高値を記録する大流行となり、関東地方での増加が先行して全国に拡大した(2025年第25週時点、定点当たり報告数2.53)[2]。
関節症状型
学童期後半以降、特に女児・成人女性で関節痛・関節炎が前面に出ることがある。手指・手首・膝等の左右対称性の関節痛・腫脹を呈し、抗核抗体・リウマトイド因子が一過性に陽性化することもある[5]。多くはNSAIDs等の対症療法と関節の安静で1〜2週間以内に自然軽快する一過性の経過をたどる[8][要確認: 小児NSAIDs適応は一般論。個別適応・用量は医師判断]。
aplastic crisis型(要警戒)
遺伝性球状赤血球症、鎌状赤血球症、サラセミア等の溶血性疾患を基礎に持つ児では、B19感染による一過性の赤血球産生停止が重篤な急性貧血(aplastic crisis)を引き起こす[4][7][8]。免疫不全患児では慢性的なウイルス血症により遷延性の重症貧血に至ることがある[6][7]。
鑑別診断(麻疹・風疹・薬疹・全身型JIA・SLE)
- 麻疹: カタル期(咳・鼻汁・結膜充血)を伴う発熱が続き、コプリック斑ののち解熱前〜発熱再上昇期に発疹が出現する二峰性の経過。伝染性紅斑のように「発疹出現時には既に解熱・感染力もほぼ消失」というパターンとは決定的に異なる[3][4]。
- 風疹: 前駆症状に乏しく、発熱(あっても軽度)と同時期に発疹が出現、後頸部・耳介後部・後頭部リンパ節腫脹を伴うことが多い。
- 薬疹: 直近の薬剤投与歴(抗菌薬等)、痒みを伴う膨疹様皮疹、薬剤中止後も遷延・拡大する傾向で鑑別する。
- 全身型JIA: 1日1〜2峰性の弛張熱・間欠熱に同期して出没するサーモンピンク疹(解熱すると消退)が特徴で、著明な炎症反応上昇を伴う[9]。伝染性紅斑の発疹は解熱後も持続し発熱の峰と連動しない点、全身状態が比較的良好な点で異なる。
- SLE: 関節症状型のB19感染で抗核抗体陽性・低補体血症を認めることがあり、遷延する関節炎ではSLE/RAとの鑑別を要する。B19関連関節炎は通常数週間で自然軽快する一過性の経過をたどる点が持続的な自己免疫疾患と異なる[5]。