両ほおが赤くなることから「りんご病」と呼ばれる、子どもによくみられるウイルスの感染症です。ほとんどは軽い経過で自然に治りますので、おうちでの過ごし方と、注意していただきたいサインを一緒に確認しましょう。
りんご病(正式には「伝染性紅斑」)は、ヒトパルボウイルスB19というウイルスによる感染症です。9歳以下のお子さんに多くみられ、なかでも5歳前後での報告が目立ちますが、流行の年齢層は年によって変わることがあります。数年おきに流行がみられ、例年6〜7月ごろにピークを迎えます。
ウイルス感染症のため、この病気だけをやっつける特効薬や、予防のためのワクチンはありません。多くのお子さんは治療をしなくても体の力で自然に治っていく、比較的軽い病気です。
ただし、もともと血液の病気(生まれつき赤血球がこわれやすい体質など)をお持ちのお子さんや、免疫の力を弱めるお薬を使っているお子さんでは、注意していただきたい経過があります。詳しくは後の「すぐ受診してほしいサイン」でご説明します。
ウイルスに感染してから症状が出るまでは、10〜20日ほどかかります。発疹が出る7〜10日ほど前に、軽い熱やかぜのような症状が出ることがありますが、実はこの時期がいちばん人にうつしやすい時期です(あとの「おうちでのケア」の項目で詳しく説明します)。
その後、境目のはっきりした両ほおの赤み(「ほおを平手でたたかれたような」見た目とよく表現されます)が出て、続いて腕や体、太ももに、レースや網の目のような赤い発疹が左右対称に広がります。発疹は数日〜1週間ほどで消えていきますが、そのあと数週間は、日光にあたったり、お風呂に入ったり、運動したり、熱が出たり、疲れやストレスがかかったりすると、一時的にまた赤みが出てくることがあります。これは悪化しているのではなく、りんご病でよくみられる自然な経過ですので、心配しすぎなくて大丈夫です。
学童期後半〜思春期のお子さん(特に女の子)では、発疹よりも関節の痛み・腫れが目立つタイプもあります。多くは1〜2週間ほどで自然に落ち着いていきます。
検査について
診断は、発疹の見た目や広がり方を診察で確認することで行うのが基本で、多くの場合、血液検査などは必要ありません。もともと血液の病気がある、免疫の力が弱い、といった事情がある場合や、他の病気との見分けが必要な場合には、必要に応じて血液検査を行うことがあります。
今すぐ救急車を呼ぶ・119番通報してください
※生まれつき赤血球がこわれやすい体質〈遺伝性球状赤血球症、鎌状赤血球症など〉をお持ちのお子さんは、りんご病にかかると急に貧血が進む経過(無形成発作)をたどることがあり、上記のようなサインが起こりえます。あてはまるお子さんは特に注意してください。
すぐに受診してください
迷ったときほど、早めにご連絡・受診をお願いします。
Q. うつりやすい時期に気をつけて避けられませんか?
A. 残念ながら難しいのが、この病気の特徴です。いちばんうつりやすいのは発疹が出る7〜10日前の「かぜのような症状」の時期で、この時点ではまだりんご病とはわかりません。発疹が出て診断がついたときには、すでにまわりへうつす力はほとんど残っていません。なお、免疫の力が弱いお子さんでは、うつす期間が長く続くことがあります。あてはまる場合は診察でご相談ください。
Q. 保育園・幼稚園・学校はいつから行けますか?
A. 発疹が残っていても、熱がなく機嫌・食欲を含めた全身の様子が普段どおりであれば、登園・登校できるとされています。この病気は出席停止が必要な感染症にはあたりません。ただし通っている園・学校の基準もあわせてご確認ください。
Q. 血液検査は必要ですか?
A. 典型的な経過であれば、見た目の診察だけで診断でき、血液検査は必要ないことがほとんどです。もともと血液の病気がある、免疫の力が弱いといった事情がある場合には、念のため検査を行うことがあります。
Q. いったん消えた発疹がまた赤くなってきました。悪化していますか?
A. 日光・入浴・運動・発熱・疲れなどをきっかけに、発疹が数週間の間、一時的にぶり返すことがあります。りんご病でよくみられる自然な経過で、悪化しているわけではありません。気になる場合は診察でご確認ください。
Q. 妊娠中の家族が近くにいます。何か気をつけることはありますか?
A. お子さんが発疹の出る前の時期に、妊娠中のご家族や身近な方と接触していた場合は、診察のときにお知らせください。妊娠中の方が感染するとおなかの赤ちゃんに影響することがまれにあるため、必要に応じて産婦人科での相談をご案内します。
Q. 治すお薬やワクチンはありますか?
A. りんご病そのものを治すお薬や、予防のためのワクチンはありません。熱や関節の痛みがつらいときの対症療法(お薬は診察で決めます)と、おうちでの安静・水分補給で、体の力で自然に治っていくのを待つ病気です。