「朝起きられない」「立ちくらみがする」「午前中だけ調子が悪い」——こうした症状は、本人の気持ちの問題ではなく、体の中で実際に起きている変化によることがあります。起立性調節障害(OD)がどんな病気か、おうちでできることをまとめました。
起立性調節障害(OD:Orthostatic Dysregulation)は、体が横になった状態から立ち上がったときに、血圧や心拍を調整するしくみ(自律神経)がうまく働かず、立ちくらみやだるさなどの症状が出る病気です。
小学校高学年から中学生ごろ、体が急速に大きくなる時期に多くみられます。体の成長のスピードに、自律神経の発達が追いつかないことが背景にあると考えられています。決して珍しい病気ではなく、程度の差はあれ、この年代のお子さんに広くみられる体の変化のひとつです。
代表的な症状は、立ちくらみ・めまい、朝なかなか起きられず午前中調子が悪い、動悸や息切れ、顔色が悪い、頭痛、腹痛、倦怠感、乗り物酔いしやすいなどです。症状は午前中に強く出て、午後から夕方にかけて楽になる傾向があります。
「怠け」「サボり」ではありません
ODの症状は、周りから「怠けている」「甘えている」と誤解されやすいのですが、これは体の中の血圧・心拍の調整がうまくいっていない、れっきとした体の症状です。この誤解自体が、お子さんを追い詰めてしまうことがあります。まずは「怠けではない」という前提で見守っていただくことが、回復への大切な一歩です。
診断は、次のような流れで進めます。
症状の強さは、日常生活・学校生活への影響の程度によって、軽症・中等症・重症のように分けて考えます。回復までの時間には個人差があり、学校を長く休んでいる場合は時間がかかることもありますが、あわてず治療を続けることで、高校卒業をむかえるころには、多くのお子さん(およそ9割)が日常生活に支障のない状態まで回復するといわれています。
治療の中心は、まず生活の工夫(非薬物療法)です。これだけで改善するお子さんも少なくありません。
お薬は診察で決めます
生活の工夫だけでは十分に改善しない場合、体質や症状の程度に応じてお薬を検討することがあります。気分の落ち込みなど心の面のサポートが必要なときも同様に、始めたあとの様子の変化を含めて丁寧に経過をみながら進めます。お薬を使うかどうか、どのお薬をどれくらい使うかはその都度医師が判断するため、この資料には一般的な考え方のみを記載し、個別の投与量は記していません。ご不明な点は診察時に遠慮なくお尋ねください。
喘息(ぜんそく)の診断歴・治療中の方は必ずお伝えください。脈が速いタイプの症状に使うお薬の中には、喘息のあるお子さんには向かないものがあり、選び方が変わります。
登園・登校について、ODそのものに「これができたら登校可」という一律の基準はありません。無理に一気に全日登校を目指すのではなく、遅刻・保健室登校・時間を短縮しての登校など、体調に見合った形で段階的に戻していくことを、学校とも相談しながら進めましょう。
Q. 本当に病気なのですか?「気の持ちよう」ではないのでしょうか。
A. ODは、自律神経が血圧・心拍をうまく調整できていない、体に実際に起きている状態です。「気の持ちよう」で片付けず、まずは体の状態として受け止めていただくことが、お子さんの安心にもつながります。
Q. どれくらいで良くなりますか?
A. 症状の程度によって経過はさまざまですが、生活の工夫を続けることで、数か月ほどで楽になっていくお子さんが多くいます。症状が強く学校を長く休んでいる場合は、回復までにもう少し時間がかかることもありますが、あわてず治療を続けることで、高校卒業をむかえるころにはおよそ9割のお子さんが日常生活に支障のない状態まで回復するといわれています。
Q. 学校はどうしたらいいですか?
A. 無理にいつも通りの登校を最初のゴールにする必要はありません。遅刻や保健室登校、時間を短縮しての登校など、体調に合わせた形を学校の先生とも相談しながら少しずつ広げていくのがおすすめです。
Q. 検査は痛いですか?
A. 新起立試験は、横になって休んだあとに立ち上がり、血圧計と心電図モニターで変化をみるだけの検査で、痛みはありません。血液検査を行う場合は採血の際にチクッとした痛みがあります。
Q. きょうだいにうつりますか?
A. ODは感染症ではないので、きょうだいや周りのお友だちにうつることはありません。ただし、体質として似た症状が出やすいご家庭はあります。
Q. お薬は必ず必要ですか?
A. まずは生活の工夫を基本とし、それだけで十分改善しないときにお薬を検討します。お薬を使うかどうかは、症状の強さやこれまでの経過をみながら診察で判断します。
Q. ぜんそくがあります。治療に影響しますか?
A. 影響することがあります。脈が速いタイプの症状にはぜんそくのあるお子さんに向かないお薬もあるため、喘息の診断歴や治療中であることを診察時に必ず教えてください。お子さんに合ったお薬を選ぶ大切な判断材料になります。
Q. 大人になれば自然に治りますか?
A. 体の成長とともに自律神経の働きが安定してくると、症状が落ち着いていくお子さんが多くみられます。ただし「そのうち治るから」と何もせずに様子をみるのではなく、生活の工夫や必要に応じた治療を続けることが、回復への近道です。