「股関節の検査」と聞くと心配になるかもしれませんが、健診の中でよく行われる、痛みのない検査です。早めに見つけて整えてあげることで、多くのお子さんが問題なく育っていきますので、落ち着いて読んでいただければと思います。
股関節エコー(超音波)検査は、赤ちゃんの脚の付け根にある股関節が、きちんと育ってきているかを、音波を使って調べる検査です。注射や放射線は使わず、赤ちゃんへの負担はほとんどありません。
今回お話しする「発育性股関節形成不全(DDH)」とは、骨盤側の受け皿(臼蓋)に対して、太ももの骨の先(骨頭)のはまり方が浅い、またはうまくはまっていない状態のことです。生まれつき決まってしまう病気というより、育っていく途中で起こりやすい「発達のかたより」に近いイメージで、早めに気づいて整えてあげることで、多くはよい経過をたどります。
3〜4か月健診などで、おむつ替えのときに脚の開き方に左右差がある、太もものしわの深さが左右で違う、といった様子がみられたときに、より詳しく調べるためにこの検査を行います。股関節を動かしたときに「コリッ」と音や感触がある(クリックサイン)だけでは、必ずしも治療が必要というわけではなく、脚の開き方の左右差の方がずっと大事なサインです。
次のようなことがあると、念のため注意して見ることが多いですが、当てはまっても実際には問題がないことがほとんどです。心配しすぎず、検査で確認するための材料と考えてください。
この時期の赤ちゃんは骨がまだやわらかく、レントゲンでははっきり写りにくいことがあります。超音波(エコー)は、骨のでき始めの状態をやわらかい組織ごと詳しく見ることができるため、生後早い時期の評価に向いています。骨がもう少ししっかりしてくる生後4〜6か月ごろになると、レントゲンの方が分かりやすくなってきます。
当日の流れ:赤ちゃんを横向きに寝かせて、ゼリーを塗った小さな機械(プローブ)を脚の付け根にあてるだけです。針を刺したり、体を強く動かしたりすることはなく、数分程度で終わります。眠っている間や、抱っこした状態のまま検査できることも多いです。検査のあとに特別な安静や制限は必要なく、いつも通りに過ごして大丈夫です。
おうちでできること:
Q. 検査は痛いですか? 赤ちゃんは泣きますか?
A. 超音波検査そのものに痛みはありません。ゼリーが冷たい、体勢を変えられるのが気になる、といった理由で少し泣くことはありますが、検査が終わればすぐに落ち着くことがほとんどです。
Q. レントゲンではなく、なぜ超音波(エコー)なのですか?
A. この時期はまだ骨が育ちきっていないため、超音波の方が股関節の状態を詳しく見ることができます。放射線も使わないため、赤ちゃんへの負担が少ないという利点もあります。骨がしっかりしてくる時期になると、レントゲンが評価に役立つようになります。
Q. 「経過観察」と言われました。放っておいて大丈夫ですか?
A. 「経過観察」は「心配なので様子を見ましょう」ではなく、「今は問題なさそうだが、育ち方を確認するために期間をあけてもう一度診る」という意味で使われることが多いです。指定された時期の受診は忘れずに、その間に気になる様子があれば早めにご相談ください。
Q. 治療が必要と言われたら、どうなりますか?
A. 多くの場合、専用の装具(リーメンビューゲルなど)で脚を自然な位置に保ちながら、股関節の育ちを助けていく治療になります。抱っこ紐に近い見た目のもので、痛みを伴う処置ではありません。どんな装具をどのくらいの期間使うかは、実際の診察で医師が決めますので、この場での説明が全てではないことをご理解ください。一般に、気づいて対応を始める時期が早いほど、経過は良好といわれています。
Q. うちの子はエコー検査をすると言われませんでした。大丈夫でしょうか?
A. この検査は赤ちゃん全員に一律で行うものではなく、健診での脚の開き方などの様子や、生まれ方・ご家族歴といった要素を踏まえて必要なお子さんに行っています。今回検査の案内がなかったこと自体は、心配な所見がなかったことの表れですので、気になる点があれば健診時や受診時にいつでもご相談ください。
Q. 上の子やきょうだいも検査した方がいいですか?
A. ご家族に股関節の治療歴がある場合は、健診のタイミングでその旨を教えてください。必要かどうかは、そのときの月齢や所見に合わせて主治医が判断します。