【下書き・医師確認前】検証済みだが未確認の項目(各疾患冒頭「医師確認事項」)あり。配布前に岡本の確認が必要。
AIIKU PEDIATRICS ・ OUTPATIENT HANDBOOK
小児外来ハンドブック
よく出会うコモン10疾患の臨床判断フロー / 2026-07-30版
01
発熱児へのアプローチ(外来トリアージ)外来ワークフロー
- 区分: 外来編/疾患別ワークフロー
- 記録日: 2026-07-30
- 状態: 下書き(要・本人確認)
- 対象: 小児外来(AMPL)
⚠ 本ファイルはAIが文献ベースで起草した下書き。最終的な臨床判断は医師(岡本)が確認して確定する。用量は体重換算の「考え方」のみ記載し、個別患者値は書かない。
医師確認事項(要・岡本判断)
敵対的検証で指摘された論点のうち、追加自体は安全側だが実運用の閾値・除外基準は医師の確認を要するもの。
- 川崎病(発熱5日以上) — セクション1・2。NICE NG143は5日以上の発熱で川崎病評価を明記。本文に言及がなかったため追記した。運用上どの時点で疑い始めるか確認されたい。
- 基礎疾患スクリーニング(免疫不全・化学療法中・無脾症/脾摘後・先天性心疾患・留置カテーテル/シャント) — セクション1。通常のトラフィックライトが適用できない集団として独立項目を追加した。社内での確認手順を確認されたい。
- 海外渡航歴(マラリア等流行地域) — セクション1。追加した紹介基準の妥当性を確認されたい。
- イブプロフェンと脱水時の急性腎障害(AKI)リスク — セクション4。脱水徴候がある場合の除外条件を追記した。社内でイブプロフェンをどこまで使うか(適応外使用の可否含む)を確認されたい。
- 新生児HSVリスク因子(AAP 2021記載) — セクション3。母体HSV既往・水疱・痙攣等のスクリーニングとacyclovir経験的投与の検討を追記した。社内での実施体制を確認されたい。
- Meningococcemia疑い時の搬送前抗菌薬投与 — セクション5。搬送を遅らせない前提での投与検討を追記した。社内プロトコルの有無を確認されたい。
- AAP 2021の生後1ヶ月未満full sepsis work-up記載 — セクション3。8-21日/22-28日の段階差を明記するよう修正した。実運用上どこまで段階化するか確認されたい。
- AAP 2021の適用範囲(生後60日まで) — セクション3。「生後1-3ヶ月」という区分がAAP適用範囲を超えて一般化されていたため区分を分けた。61-90日の運用方針を確認されたい。
- MIS-C(小児多系統炎症性症候群) — セクション1・2。川崎病と併せて鑑別に追記した。
- 単純型熱性けいれんの切り分け — セクション1。複雑型・群発との切り分けを明記した。既存の熱性けいれんガイドライン[7-10]との整合を確認されたい。
0. 一目でわかるフロー
受診(発熱を主訴)
→ 年齢確認(生後3ヶ月未満か/3ヶ月〜3歳か)
├─ 生後3ヶ月未満 → 体温38.0℃以上そのものが高リスク群 → レッドフラグ評価不要なほど閾値低い
│ → 原則、小児科医の直接診察+精査(sepsis work-up)へ。外来での「経過観察のみ」は基本的に選ばない
└─ 生後3ヶ月〜3歳 → レッドフラグ評価(該当あれば即・上位/紹介)
→ 重症度・病型の判定(見た目 well-looking か ill-looking か、トラフィックライト)
→ 検査(要る/要らない)
→ 治療(解熱薬は対症療法。感染症そのものへの治療は原因次第)
→ 再診・帰宅指導・紹介基準
1. レッドフラグ(見逃し厳禁)
- ⚠要医師確認:基礎疾患スクリーニング(初診時に必ず確認) — 免疫不全・悪性腫瘍化学療法中・無脾症/脾摘後・先天性心疾患・中心静脈カテーテルやVPシャント留置の有無。これらの児は「well-looking」に見えても通常のトラフィックライト運用が適用できず(例:好中球減少性発熱は見た目が良くても緊急)、該当があれば年齢・所見によらず個別の緊急対応(例:好中球減少性発熱プロトコル)に切り替える(日本小児血液・がん学会「小児がん患者の発熱性好中球減少症診療ガイドライン」/一般的な免疫不全児フィーバーワークアップの原則)
- ⚠要医師確認:直近数週間〜数ヶ月以内の海外渡航歴(特にマラリア・デング・腸チフス流行地域)を問診で確認。該当あれば通常の「ウイルス性が大半」という前提が成立しないため、専門医(渡航医学・感染症)への紹介を検討する
- 生後3ヶ月未満で体温38.0℃以上であること自体がハイリスク群の定義。この年齢だけで「精査を検討すべき対象」に入る(NICE NG143、AAP 2021ガイドライン、国内報告で共通)[7-1][7-2][7-8]
- ぐったりしている・not doing well・あやしても反応が乏しい/笑わない(ただし「not doing well」単独は細菌感染とウイルス感染の判別に使えないとする国内データもあり、他の所見と併せて評価する)[7-8]
- 点状出血・紫斑(特に圧迫で消えない皮疹=non-blanching rash、直径2mm超の紫斑)
- 髄膜刺激徴候(項部硬直、大泉門膨隆、Kernig/Brudzinski徴候)
- けいれんの群発・遷延(焦点性発作、意識障害の遷延、てんかん重積状態)。⚠要医師確認:単純型熱性けいれん(意識清明に回復・他のred/amber所見なし)は本ワークフロー上の一律精査(full sepsis work-up・LP)の対象ではなく、日本小児神経学会「熱性けいれん(熱性発作)診療ガイドライン2023」[7-10]に準拠して複雑型・群発・意識障害遷延と切り分ける
- 呼吸障害(多呼吸:生後0-5ヶ月で60回/分超、中等度〜高度の陥没呼吸、呻吟、無呼吸)
- 循環不全(皮膚色不良=蒼白・網状・チアノーゼ、末梢冷感、毛細血管再充満時間≥3秒)
- 経口摂取不良・尿量減少などの脱水徴候
- 保護者が「いつもと様子が違う」と強く訴える(NICEも「専門職が見て具合が悪そう」を高リスク所見に含める)[7-1]
- 5日以上続く発熱、原因不明の発熱が長引く場合は再評価(NICE)[7-1]。⚠要医師確認:NICE NG143は発熱5日以上の児について川崎病の評価を明記している。日本は世界最多の川崎病発症国であり、見た目がwell-lookingでも進行しうる。主要症状(両側眼球結膜充血、口唇・口腔粘膜変化、頸部リンパ節腫脹、多形皮疹、四肢末端の変化)を確認し、5日以上の発熱では単なる「再評価」でなく川崎病を明示的な鑑別に含める。あわせて、持続する発熱に発疹・結膜充血・消化器症状・ショック徴候を伴う場合はMIS-C(小児多系統炎症性症候群)も鑑別に含める(CDC/AAP MIS-C case definition)
2. 重症度・病型の判定
年齢区分でまず分ける
- 生後3ヶ月未満(さらに国際的には 0-21日/22-28日/29-60日 で対応が変わる。AAP 2021ガイドラインは well-appearing な生後8-60日児を対象に3区分のアルゴリズムを提示)[7-2]
- 生後3ヶ月〜3歳
- 3歳以上は本ワークフローの主対象外(参考程度)
NICE NG143 トラフィックライト(信号色)システムの考え方 [7-1][7-3]
| 項目 |
GREEN(低リスク) |
AMBER(中間リスク) |
RED(高リスク) |
| 皮膚色 |
正常 |
保護者申告のみの蒼白 |
蒼白・まだら・灰色・チアノーゼ |
| 活気・反応 |
社会的刺激に正常反応、機嫌よい |
反応が普段どおりでない、覚醒に時間を要する |
社会的刺激に無反応、医療者から見て具合が悪い、覚醒維持困難 |
| 呼吸 |
問題なし |
鼻翼呼吸、頻呼吸(目安:生後6-12ヶ月で50/分超) |
呻吟、中等度〜高度陥没呼吸、頻呼吸(生後0-5ヶ月>60/分、6-12ヶ月>50/分、12ヶ月超>40/分)、SpO2≤95%(room air) |
| 循環・水分 |
皮膚・粘膜湿潤 |
CRT≥3秒、哺乳不良、尿量減少、頻脈(目安:12ヶ月未満>160/分、12-24ヶ月>150/分、2-5歳>140/分) |
皮膚緊張低下 |
| その他 |
— |
生後3-6ヶ月で39℃以上、発熱5日以上、悪寒戦慄、四肢腫脹、非荷重肢 |
大泉門膨隆、項部硬直、けいれん重積、非blanching皮疹、局所神経徴候 |
※上表は当初案でRED行の呼吸数閾値が生後0-5ヶ月のみ、SpO2・年齢別頻脈がいずれも欠落していたため、NICE NG143本文の年齢帯別閾値に合わせて補完した(出典: NICE NG143 Recommendations, respiratory rate/oxygen saturation/circulation and hydration traffic light criteria https://www.nice.org.uk/guidance/ng143/chapter/recommendations)。
- 生後3ヶ月未満:NICEは体温38.0℃以上をそのまま「high-risk group」と位置づけ、well-appearingであっても精査対象とする[7-1]。AAP 2021は「well-appearing」の定義(正常な活気・哺乳・反応)を満たす生後8-60日児のみをアルゴリズム対象とし、ill-appearingは無条件で入院・精査[7-2][7-4]
- 生後3ヶ月〜3歳:ワクチン接種歴(肺炎球菌・Hibなど)が普及した現在、"fever without source"のうち重症細菌感染症(SBI)の頻度は接種前時代より下がっているとされる一方、尿路感染症は年齢を問わず見落とされやすい原因として重要(3.のUTIの項参照)
- 初期評価の問診項目として、個々の児の肺炎球菌・Hibワクチン接種歴(未接種・不完全接種か)を必ず確認し、リスク評価に反映する(NICE NG143 Recommendations: initial assessment, immunisation status)。未接種・不完全接種児は侵襲性細菌感染症のリスクが相対的に高い
- 国内データとして、生後3ヶ月未満の入院発熱児86例の検討では、真の細菌感染群は11.6%にとどまり約9割はウイルス感染主体だったが、「病歴・症状・検査値だけからは細菌感染の有無を判断するのは困難」であり、月齢の低い群では従来通りfull sepsis work-upと積極的な抗菌薬適応の検討が妥当と結論づけている(松江市立病院、2010年報告)[7-8]。※単一施設・n=86・2010年(ワクチン普及前)の後方視的検討であり、直近の多施設データでの再確認が望ましい点に留意する
3. 検査
- 必要(年齢・所見に応じて):
- 生後1ヶ月未満:全例で血液培養・尿検査(カテーテル/膀胱穿刺)・髄液検査(腰椎穿刺)を含むfull sepsis work-upが原則(NICE、AAP、国内報告とも一致)[7-1][7-2][7-8]。⚠要医師確認:AAP 2021は生後1ヶ月未満を一律にfull sepsis work-up対象としているわけではなく、8-21日は無条件でLP含む全項目、22-28日は炎症マーカー等に応じてLP省略を検討しうる(shared decision makingの対象)という段階差がある。実運用でどこまで段階化するかは要確認
- 生後1-3ヶ月:尿検査+血算+CRP・プロカルシトニン等の炎症マーカー。マーカー陽性やill-appearingなら腰椎穿刺・入院を追加検討(AAP 2021の3区分アルゴリズム:8-21日/22-28日/29-60日で必要検査と方針が段階的に変わる)[7-2][7-4]。⚠要医師確認:AAP 2021の適用範囲は生後8〜60日までであり、61-90日(2-3ヶ月)はAAPのスコープ外。この区分は「生後1-2ヶ月(AAP準拠)」と「生後2-3ヶ月(AAP適用外・社内プロトコル/臨床判断)」に分けて運用することが望ましい
- ⚠要医師確認:生後1ヶ月未満・特に8-21日の児では、AAP 2021ガイドライン自体が明記する新生児HSVリスク因子(母体HSV既往・分娩前後の発熱、児の水疱性皮疹、痙攣、無呼吸、CSF細胞増多、ALT高値)を確認し、該当あれば経験的acyclovir投与を検討する(Pantell RH et al. Pediatrics. 2021;148(2):e2021052228, HSV risk factor section)。新生児HSV感染症(特に髄膜脳炎型)は見逃すと死亡率・後遺症率が高い
- 3ヶ月〜3歳でamber/red所見あり、または発熱源不明が続く場合:尿検査(特に女児・排尿時痛の申告がない乳幼児でも尿路感染は無症候的に発熱のみのことが多い)、血算・CRPを状況に応じて
- かぜ症状(鼻汁・咳)を伴わない発熱:尿路感染の再燃・再発を念頭に検尿を行うことが推奨される(日本小児泌尿器科学会)[7-9]
- 不要・過剰になりがち:
- green(低リスク)所見のみの3ヶ月〜3歳児への画一的な血液検査・画像検査
- 発熱のみを理由にした全例胸部X線
- ウイルス性が明らかな臨床像への抗菌薬適応目的の追加検査
- CRPは発熱からの経過時間が短いと上昇していないことがあるため、早期受診例では「初回低値=除外」と即断しない(時間を空けた再検が有用というのが国内報告の指摘)[7-8]
4. 治療
- 第一選択:アセトアミノフェン(解熱・鎮痛目的の対症療法。感染症そのものへの治療ではない)
- 体重換算の考え方:1回10〜15mg/kg、投与間隔4〜6時間以上、1日総量60mg/kgを上限とする一般的な用法(添付文書ベース)。1回最大500mg、1日最大1500mgという上限が製剤情報にある[7-5]
- ※上記はあくまで一般論。個別の処方量・回数は診察時に医師が決定する
- 第二選択・無効時:イブプロフェン
- 海外のガイドライン(NICE等)はパラセタモール/イブプロフェンいずれも製品ライセンス(添付文書)の年齢・体重条件に従うとしており、具体的な年齢閾値は製剤依存(NICEが一律に「生後6ヶ月以上」を定めているという明文根拠は確認できておらず要再確認)[7-1]。日本国内の医療用イブプロフェン製剤の添付文書上は小児の用法用量が5〜7歳/8〜10歳/11〜15歳の年齢区分でのみ設定されており、低出生体重児・新生児・乳児・4歳以下の幼児を対象とした有効性・安全性の臨床試験は実施されていない旨が明記されている[7-6]。5歳未満(3ヶ月〜3歳を含む)への使用は事実上の適応外使用となるため、使用可否は医師の個別判断とする
- ⚠要医師確認:脱水徴候(尿量減少・活気不良・経口摂取不良)がある場合はイブプロフェン投与を避けるか、医師が個別に腎機能リスクを評価した上で判断する。発熱性疾患の乳幼児は腎灌流低下+NSAIDのプロスタグランジン合成阻害でAKIを起こしやすいハイリスク集団であり、複数の小児科文献で脱水を伴うibuprofen使用中のAKI症例が報告されている(NSAIDs Linked to Acute Kidney Injury in Dehydrated Kids, Medscape; Non-steroidal Anti-inflammatory Drugs Systemic Use: The Risk of Renal Failure, Front Pediatr 2019)
- NICEはパラセタモールとイブプロフェンの同時併用は推奨せず、いずれかで苦痛が続く場合のみ交互投与を検討するとしている[7-1][7-3]
- やってはいけない/非推奨:
- インフルエンザ罹患(疑い含む)児へのジクロフェナクナトリウム・メフェナム酸:インフルエンザ脳症の重症化・死亡率上昇との関連が指摘され、2000年に厚生省(当時)から原則禁忌とする行政指導が出ている。解熱薬はアセトアミノフェンを第一選択とする[7-7]
- 15歳未満の水痘・インフルエンザ患者へのアスピリン等サリチル酸系薬剤:ライ症候群のリスクから1998年に原則禁忌の措置がとられている[7-7]
- 水痘(水疱瘡)罹患中の児へのイブプロフェン等NSAIDs投与:壊死性筋膜炎等の重症皮膚軟部組織感染症リスク増加との関連が報告されており(ケースコントロール研究でOR約11.5)、可能な限り避けアセトアミノフェンを優先する(Mikaeloff Y et al. Br J Clin Pharmacol. 2008;65(2):203-9; Don't Forget the Bubbles: Varicella and NSAIDs summary)
- 解熱そのものを目的とした機械的な投与(体温を下げること自体が目的ではなく、児の苦痛緩和が目的)[7-1]
- Tepid sponging(微温湯清拭)による解熱は推奨されない[7-1]
- 解熱薬使用は熱性けいれんの再発予防効果を示すエビデンスに乏しいとされる(日本小児神経学会「熱性けいれん(熱性発作)診療ガイドライン2023」でCQとして検討されている)[7-10]
- 解熱薬投与後に解熱した/しなかったことをもって重症・非重症を判別してはならない(NICE NG143の明示的な推奨)。amber/red所見のある児は解熱の有無によらず1-2時間後の再評価を行う
5. 再診・帰宅指導・保護者説明
- 再受診すべきサイン(保護者に伝える):
- けいれんを起こした
- 皮疹が出た(特に押しても消えない紫斑・点状出血)
- 発熱が5日以上続く
- ぐったりしている、水分が摂れない、いつもと様子が違うと感じる
- 呼吸が速い・肩で息をする・唇や顔色が悪い(真っ青・灰色)(NICE NG143 患者・保護者向け情報のsafety netting原則)
- 上記1.のレッドフラグに該当する変化
- 経過の見通し:
- 3ヶ月〜3歳の発熱の大半はウイルス感染に伴うもので自然軽快する。生後3ヶ月未満でも実際の細菌感染は約1〜1.5割程度にとどまるが、月齢が低いほど症状だけでの判別は困難という前提で対応する[7-8]
- 紹介・入院の閾値:
- 生後3ヶ月未満で体温38.0℃以上:原則、小児科医の診察・精査(入院を含めた対応)を検討する対象[7-1][7-2][7-8]
- red所見該当:緊急での上位医療機関搬送・入院を検討。⚠要医師確認:非blanching疹+red所見(意識レベル低下・循環不全等)でmeningococcemiaを強く疑う場合は、搬送を遅らせない前提で、可能であれば施設内プロトコルに基づき搬送前にIV(困難ならIM)でベンジルペニシリンまたはセフトリアキソンの投与を検討する。ただし抗菌薬投与のために搬送を遅らせてはならない(NICE NG240 Meningitis (bacterial) and meningococcal disease: recognition, diagnosis and management, pre-hospital antibiotics recommendation)
- amber所見のみでred非該当:対面での経過観察・安全網(safety netting)を敷いた上でのフォローアップ設定
- green所見のみ:自宅経過観察+上記の再受診サインの説明
6. 社内ローカルルール(各施設での運用)
- 要確認:発熱児(特に生後3ヶ月未満)に対する社内での標準ワークフロー(sepsis work-up の実施基準・腰椎穿刺の実施体制・入院適応の最終判断者)
- 要確認:社内採用の解熱薬(アセトアミノフェン製剤の剤形・規格)、イブプロフェンの小児使用可否に関する社内方針
- 要確認:夜間・休日の当直体制での対応と、上位医療機関(NICU/PICU、こども医療センター等)への紹介先・搬送手順
- 要確認:尿検査の採尿方法(カテーテル採尿/膀胱穿刺の実施体制)
7. 出典
- [7-1] NICE Guideline NG143. Fever in under 5s: assessment and initial management. Published 7 November 2019, last updated 26 November 2021. https://www.nice.org.uk/guidance/ng143 (Recommendations章: https://www.nice.org.uk/guidance/ng143/chapter/recommendations / NCBI Bookshelf版: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK552086/ )
- [7-2] American Academy of Pediatrics. Pantell RH, Roberts KB, Adams WG, et al. Evaluation and Management of Well-Appearing Febrile Infants 8 to 60 Days Old. Pediatrics. 2021;148(2):e2021052228. doi:10.1542/peds.2021-052228. https://publications.aap.org/pediatrics/article/148/2/e2021052228/179783/
- [7-3] NICE NG143 解説記事(トラフィックライト表の整理): https://www.iatrox.com/guidelines/fever-under-5s
- [7-4] Aliem.com(AAP 2021ガイドラインの年齢区分別アルゴリズム整理・FOAMed臨床要約): https://www.aliem.com/the-febrile-infant/
- [7-5] アセトアミノフェン 医療用医薬品情報(KEGG MEDICUS収載・添付文書ベース): https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00066335 / 日経メディカル処方薬事典: https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/drugdic/prd/11/1141007F1187.html
- [7-6] イブプロフェン錠 添付文書(PMDA/JAPIC PINS収載): https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00069375.pdf
- [7-7] 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA). インフルエンザの臨床経過中に発症した脳炎・脳症の重症化と解熱剤(ジクロフェナクナトリウム)の使用について. https://www.pmda.go.jp/safety/info-services/drugs/calling-attention/esc-rsc/0013.html (サリチル酸系薬剤・アスピリンの水痘/インフルエンザ患児への原則禁忌措置は1998年の厚生省行政指導。二次情報として佐久総合病院薬剤部資料 https://sakuhp.or.jp/pharmacy/rai/rai.htm )
- [7-8] 藤本正伸、田本直弘、岡本学、田中雄二. 「当院で経験した生後3ヵ月未満の発熱症例の検討」. 松江市立病院医学雑誌. 2010;14(1):59-62. https://www.jstage.jst.go.jp/article/mch/14/1/14_59/_pdf/-char/ja
- [7-9] 日本小児泌尿器科学会. 「小児の尿路感染」. https://jspu.jp/ippan_014.html
- [7-10] 日本小児神経学会. 「熱性けいれん(熱性発作)診療ガイドライン2023」. 診断と治療社, 2023年1月. 学会ページ: https://www.childneuro.jp/about/6442/ / Mindsガイドラインライブラリ要約: https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00763/
※ 点数・GLは改定される。運用前に最新版を確認。特にNICE NG143は2025年4月にexceptional surveillance(改定要否の例外的見直し)が行われている(変更なしと判定された模様だが、運用前に最新状態を要確認)。
検証・修正ログ(2026-07-30)
敵対的検証(19件の所見)を反映した。状態は引き続き「下書き(要・本人確認)」。
主な変更点:
- レッドフラグに川崎病・MIS-C(発熱5日以上)、基礎疾患スクリーニング(免疫不全・化学療法中・無脾症/脾摘後・先天性心疾患・留置カテーテル/シャント)、海外渡航歴を追加(いずれも安全側の追加)
- NICEトラフィックライト表の呼吸数・SpO2・心拍数(頻脈)の年齢別閾値を、当初欠落していた分を含めて補完
- イブプロフェンに脱水時AKIリスクの除外条件、水痘時NSAIDs(壊死性筋膜炎リスク)の禁忌注意を追加。イブプロフェン「生後6ヶ月以上」のNICE引用は出典未確認の表現に修正
- Meningococcemia疑い時の搬送前抗菌薬投与、解熱薬奏効の有無で重症度を判別しない旨を「やってはいけない」に追記
- AAP 2021の適用範囲(生後8-60日まで、8-21日/22-28日の段階差)に忠実な記述へ修正し、「生後1-3ヶ月」区分のAAP適用外部分を明示
- 新生児HSVリスク因子(AAP 2021記載)の評価項目とacyclovir経験的投与の検討を追加
- 保護者向け再受診サインに呼吸・顔色所見を明記、個々の児のワクチン接種歴確認を問診項目化
- 単純型熱性けいれんの切り分け、松江市立病院データ(単施設・n=86・2010年)の限界注記を追加
用量そのもの(アセトアミノフェン10-15mg/kg・上限60mg/kg/日等、インフルエンザ時ジクロフェナク/メフェナム酸禁忌、アスピリンのライ症候群禁忌)は一次情報と照合し誤りなし。数値変更は行っていない。
残る要確認点: 冒頭「医師確認事項(要・岡本判断)」10項目を参照。特に基礎疾患スクリーニング・海外渡航歴の紹介基準、イブプロフェンの社内使用可否、meningococcemia疑い時の搬送前抗菌薬プロトコルの有無は、社内運用に落とし込む前に医師の確認が必須。
02
かぜ症候群(急性上気道炎)と抗菌薬適正使用 外来ワークフロー
- 区分: 外来編/疾患別ワークフロー
- 記録日: 2026-07-30
- 状態: 下書き(要・本人確認)
- 対象: 小児外来(AMPL)
⚠ 本ファイルはAIが文献ベースで起草した下書き。最終的な臨床判断は医師(岡本)が確認して確定する。用量は体重換算の「考え方」のみ記載し、個別患者値は書かない。エビデンス強度が異なる情報源を併記しているため、各項目末尾の出典番号でエビデンスの位置づけを確認すること([1][2]=厚労省公式手引き、[3][4]=学会公式診断基準、[5]=行政の安全性情報、[6]=大学公開講座資料=教育目的で正式GLではない、[7][8][9]=一般向け・専門家サイトの補助的参照、[10]〜[16]=敵対的検証で追加した補足エビデンス。出典の位置づけは各項参照)。
医師確認事項(要・岡本判断)
敵対的検証(レビュー担当モデル)が指摘し、AIの判断だけでは確定できない論点。運用前に岡本が下記を確認・判定すること。本文中の該当箇所には「⚠要医師確認」を付記した。
- 生後3か月未満発熱の扱い(1.レッドフラグ/2.重症度): 教育資料由来の弱い記載から「原則入院・精査」の本文格上げへ変更した。28日未満と29日〜3か月未満の層別化も追加。各施設の実運用(外来完結の可否、紹介基準)と整合するか確認。
- 新生児の低体温トリガー(1.レッドフラグ): 「発熱」だけでなく「低体温・哺乳不良」も重篤感染症のサインとして追記。社内の新生児対応フローとの整合を確認。
- 急性中耳炎の抗菌薬投与期間(4.治療): 「2歳未満10日間・それ以降5日間」という記載を、手引き第四版の本邦推奨「初回3〜4日間評価→総投与期間7日間を基本」に修正。AAPの年齢別期間は参考として残すか、削除するか判断。
- 心筋炎のレッドフラグ追加(1.レッドフラグ): かぜ様症状後の元気消失・嘔吐・頻脈等を心筋炎の鑑別として新規追加。各施設の紹介先・閾値(循環器科)を確認。
- RSウイルス無呼吸トリガー(4.治療/5.紹介閾値): 3か月未満での「無呼吸のみ」による重症化を入院検討トリガーとして追加。
- MIS-C(小児多系統炎症性症候群)の鑑別追加(1.レッドフラグ): 川崎病様症状の鑑別としてCOVID-19罹患後のMIS-Cを追加。紹介先・検査手順を確認。
- 百日咳治療薬選択の年齢別注意(4.治療): 新生児・若年乳児でのエリスロマイシンによる乳児肥厚性幽門狭窄症(IHPS)リスク、生後2か月未満の重症化パターンを追加。社内の百日咳疑い児への対応方針(入院基準)を確認。
- 百日咳マクロライド耐性・GL追補版の反映(4.治療): 2025年公表の追補版GL(マクロライド耐性・ST合剤の位置づけ)を出典追加。各施設での百日咳治療第一選択を追補版に沿って更新するか判断。
0. 一目でわかるフロー
受診(主訴:鼻汁・鼻閉・咳・咽頭痛・発熱などの「かぜ」様症状)
→ レッドフラグ評価(バイタル異常・気道緊急性・非典型経過は即・精査/上位施設紹介)
→ 気道症状の病型分類
感冒・鼻副鼻腔炎 / 急性咽頭炎 / 急性気管支炎 / クループ症候群 / 急性細気管支炎
+乳児は常に「尿路感染症・中耳炎」を鑑別に残す
→ 重症度・遷延性の判定(抗菌薬を検討すべき基準に合致するか)
→ 検査(原則不要。鑑別が必要な場合のみGAS迅速検査・尿検査・胸部X線などを選択)
→ 治療(大部分=抗菌薬を投与しない対症療法。GAS陽性咽頭炎/中等症以上の副鼻腔炎/
一部の中耳炎など基準を満たす例のみ抗菌薬を検討)
→ 再診・帰宅指導(自然経過の説明+再受診すべきサインを保護者に明示)
出典: 厚生労働省「抗微生物薬適正使用の手引き 第四版」医科・外来編・ダイジェスト版の急性気道感染症診療フロー(成人・学童期以降編/乳幼児編)に準拠して構成[1][2]。
1. レッドフラグ(見逃し厳禁)
「かぜ」を主訴に受診した患者で、以下のいずれかがあれば「ただのかぜ」判定を止め、精査・入院・上位施設紹介を検討する。
- バイタルサインの異常(頻呼吸、意識障害、循環不全、低血圧)→ 敗血症・重症感染症を考慮[1][2]
- 乳児の発熱でPAT(Pediatric Assessment Triangle)不良(呼吸障害・意識障害・循環不全)→ 重症感染症を考慮[2]
- のどの症状で「人生最悪の痛み」「唾も飲み込めない」「開口障害」「嗄声」「呼吸困難」、または sniffing position/tripod position → 急性喉頭蓋炎・扁桃周囲膿瘍・咽後膿瘍・頸部膿瘍などの気道緊急疾患を考慮し、安全に気道確保できる施設への転送を速やかに決断する[1][2]
- 突然発症の咽頭痛+嘔吐+咽頭所見が乏しい(特に成人・年長児)→ 急性心筋梗塞・くも膜下出血・頸動脈/椎骨動脈解離という非上気道疾患の除外を考慮[1]
- クループ様の犬吠様咳嗽で、安静時にも吸気性喘鳴・多呼吸・起坐呼吸・陥没呼吸・酸素飽和度低下→ 細菌性気管炎・喉頭異物・アレルギー性喉頭浮腫など切迫する上気道閉塞を疑い気道確保を優先[2]
- 咳主体の訴えで体温38℃以上/脈拍100回/分以上/呼吸数24回/分以上のいずれか1つ、または胸部聴診所見の異常→ 肺炎を疑い胸部レントゲンを含む精査へ[1][2]
- 乳児の発熱で「かぜ症状に乏しい」「かぜ症状を伴わない」→ 尿路感染症・中耳炎を必ず鑑別に残す(乳幼児は局所症状が出にくく、発熱のみが唯一の手がかりのことがある)[2][7][8]
- 感冒に引き続き、いったん軽快した後1週間ほどで再度の発熱や日中の鼻汁・咳の増悪が見られる「二峰性」の経過、または39℃以上の発熱+膿性鼻汁が3日以上続く重症感→ 急性鼻副鼻腔炎の遷延化・二次性細菌感染(副鼻腔炎、中耳炎、肺炎、尿路感染症、菌血症など)を考慮[2]
- 5日以上続く発熱(改訂6版では日数基準そのものは絶対条件ではなくなったが典型像として重要)に眼球結膜充血、口唇・口腔粘膜の変化(口唇の紅潮・亀裂、いちご舌)、不定形発疹、四肢末端の変化(急性期の硬性浮腫・紅斑、回復期の指先からの膜様落屑)、頸部リンパ節腫脹のうち複数が揃う、または3症状のみでも冠動脈病変を伴う場合→ 川崎病(不全型を含む)を疑う。かぜ様症状(鼻汁・咳・充血)で発症し見逃されやすい点に注意[3][4]。⚠要医師確認 COVID-19罹患後2〜6週で学童期以降・消化器症状(下痢・嘔吐)や心機能低下を伴う川崎病様症状がある場合は小児多系統炎症性症候群(MIS-C/PIMS)を鑑別に残す(治療方針・循環管理が川崎病単独と異なりうる)[13]
- 耳痛・不機嫆・耳漏を伴う発熱で、抗菌薬なしの経過観察2〜3日または抗菌治療2〜3日で局所・全身所見が改善しない→ 中耳炎の診断再検討、耐性菌・外科的ドレナージの適応を検討。耳介後部の発赤・腫脹・圧痛は乳様突起炎、項部硬直・意識障害・けいれん・"not doing well"は髄膜炎を疑う[2]
- 咳が3週間以上遷延する→ 百日咳・マイコプラズマ・非感染性疾患(気道異物、喘息など)の鑑別を追加する[2]
- ⚠要医師確認 生後3か月未満(特に28日未満の新生児)で38.0℃以上の発熱がある場合は、「かぜ症状」の有無にかかわらず外来完結とせず、原則入院のうえ血液培養・尿検査(必要に応じ髄液検査)を含む精査を行う。28日未満(新生児)はより厳格に扱い、29日〜3か月未満とは対応強度を分けて考える(本項目は従来「教育資料・要本人確認」の弱い扱いだったが、確立した安全側の臨床原則として本文に格上げした)[6][10]
- ⚠要医師確認 新生児期(特に生後1か月未満)は「発熱」ではなく「低体温(体温不安定)・哺乳不良・活気不良」でも重篤な細菌感染症のサインになりうる。体温異常の方向(高い/低い)を問わず精査対象とする[10]
- ⚠要医師確認 かぜ様症状(特にウイルス性感染)に続いて元気がない・嘔吐が続く・顔色不良・頻脈や不整脈・肝腫大/浮腫があれば心筋炎を鑑別に残し、心電図・胸部X線・心エコー・循環器科紹介を検討する。心筋炎はウイルス性かぜ様症状に続発し「胃腸炎」等と誤診されたまま循環不全・心原性ショックに進行しうる見逃されやすい重篤疾患である[11]
- 活気低下・尿量減少・大泉門陥没・啼泣時の涙の消失・皮膚ツルゴール低下などの脱水徴候があれば、経口補液の可否と点滴・入院加療の要否を検討する[15]
2. 重症度・病型の判定
厚労省手引きは急性気道感染症を、年齢・症状・身体所見から次の病型に分類することを推奨している[1][2]。
成人・学童期以降の小児
| 病型 |
鼻汁・鼻閉 |
咽頭痛 |
咳・痰 |
| 感冒 |
△ |
△ |
△(3系統が「同時に」「同程度」存在) |
| 急性鼻副鼻腔炎 |
◎ |
△ |
△ |
| 急性咽頭炎 |
× |
◎ |
× |
| 急性気管支炎 |
× |
× |
◎ |
(◎=主要症状、△=他症状と併存する程度、×=症状なし〜軽症)[1]
- 感冒: 発熱の有無を問わず、鼻症状・咽頭症状・下気道症状の3系統が同時に同程度存在する病態[1]
- 急性鼻副鼻腔炎の重症度分類(鼻漏・顔面痛/前頭部痛・鼻腔所見を0〜2点で採点、軽症1〜3点/中等症4〜6点/重症7〜8点)[1]。小児では以下いずれかで「遷延性・重症・慢性」と判定: (1) 10日間以上続く鼻汁・後鼻漏や日中の咳、(2) 39℃以上の発熱と膿性鼻汁が3日以上続き重症感がある、(3) 感冒後1週間で再増悪する二峰性経過[2]
乳幼児(生後3か月以降〜小学校入学前)
年齢・症状・身体所見をあわせて、感冒・鼻副鼻腔炎、咽頭炎、クループ症候群、気管支炎、細気管支炎に分類する。乳幼児は訴えが不確かなため成人と同じ分類は使えず、多くは自然軽快するウイルス性疾患だが、抗菌薬の適応となる細菌性咽頭炎(GAS)・細菌性副鼻腔炎・中耳炎の鑑別と、尿路感染症・重症感染症を示唆するRed flagの見極めが重要[2]。
| 病型 |
好発年齢の目安 |
臨床的特徴 |
| 感冒・鼻副鼻腔炎 |
全年齢 |
鼻汁・咳嗽を同程度に認める |
| 咽頭炎 |
全年齢 |
咽頭に限局した所見・症状 |
| クループ症候群 |
乳幼児〜学童早期 |
犬吠様咳嗽、吸気性喘鳴 |
| 気管支炎 |
全年齢 |
咳嗽を主体とした症状 |
| 細気管支炎 |
2歳未満 |
鼻汁・咳嗽から呼吸性喘鳴へ |
(好発年齢の相対的な山は文献の図を言語化したもの。詳細分布は出典[2]の原図を参照)[2]
3. 検査
- 必要(該当する場合のみ):
- GAS迅速抗原検査または培養: 急性咽頭炎の症状・徴候があり急性GAS咽頭炎が疑われ、身体所見(突然発症・発熱・頭痛・嘔気嘔吐・腹痛・前頸部圧痛を伴うリンパ節腫脹・猩紅熱様皮疹)を有し、3歳以上(周囲流行時はその限りではない)の場合[1][2]
- 胸部レントゲン: 咳主体の訴えでバイタルサイン異常(体温38℃以上/脈拍100回/分以上/呼吸数24回/分以上のいずれか)または胸部聴診所見の異常があり肺炎を鑑別したい場合[1][2]
- 鼓膜所見の確認: 発熱・耳痛・不機嫌を伴う場合の中耳炎診断(診断は鼓膜所見が必須)[2]
- 尿検査: 乳児の発熱で「かぜ症状に乏しい/かぜ症状を伴わない」場合の尿路感染症の除外[2][7][8]
- 川崎病を疑う所見(1参照)がある場合の血液検査・心エコー(冠動脈評価)[3][4]
- 不要・過剰になりがち:
- 単純な感冒(鼻汁・軽い咳・全身状態良好)へのルーチンの血液検査・胸部X線・咽頭培養[1][2]
- GASの症状・徴候に乏しい(結膜炎・咳嗽・嗄声・鼻汁・筋肉痛・下痢が主体=ウイルス性咽頭炎を示唆する所見)症例へのGAS迅速検査の反復[1]
- 全身状態良好・中耳由来の耳漏がない急性中耳炎への、抗菌薬適応判断以上の追加画像検査[2]
4. 治療
抗菌薬適正使用の基本方針: かぜ(ウイルス性上気道炎)の大部分には抗菌薬を投与しない。抗菌薬を検討するのは、病型ごとに定められた基準(GAS陽性、中等症以上の副鼻腔炎、重症化リスクのある中耳炎など)を満たす場合に限る[1][2]。
病型別
-
感冒(狭義): 抗菌薬投与は不要である。対症療法(解熱鎮痛剤)と経口補液の指導が中心。アセトアミノフェンは頓用10〜15mg/kg/回、4〜6時間以上の間隔をあけ、1日最大60mg/kgという体重換算の考え方が示されている(個別処方値は別途決定)[2]。以下をすべて満たす時点では抗菌薬は不要と判断できる: 鼻汁のみ/鼻閉±発熱±軽い咳/呼吸障害なし/全身状態良好/発熱3日以内/鼻汁10日以内/湿性咳嗽10日(2週間)以内。逆に、10日以上続く膿性鼻汁・後鼻漏や日中の咳、39℃以上+膿性鼻汁が3日以上続く重症感、感冒後1週間での再増悪のいずれかがあれば抗菌薬投与を検討する(成人・学童期以降はアモキシシリン内服7〜10日間、乳幼児では30〜50mg/kg/日 分3(例15mg/kg/回)7〜10日間経口投与、最大90mg(力価)/kg/日を超えないという体重換算の考え方が示されている=下限・上限とも第四版で確認済み、旧記載の単一値40mg/kg/日から修正)[1][2]
-
急性鼻副鼻腔炎: 成人・学童期の小児とも、軽症〜遷延性/重症でない例には抗菌薬投与を行わないことを推奨。中等症以上・遷延性/重症の判定基準(2.参照)に該当する場合のみ、成人はアモキシシリン内服5〜7日間、学童期以降の小児は7〜10日間という体重換算の考え方が示されている[1]
-
急性咽頭炎: GASを除く急性咽頭炎に抗菌薬は投与しない。GAS迅速検査または培養でGAS陽性の場合のみ、アモキシシリン30〜50mg/kg/日(最大1,000mg/日)分2〜3、内服10日間という体重換算の考え方(成人・学童期以降の基本は内服10日間)[1][2]。重度のペニシリンアレルギー(アナフィラキシー等の既往)がある場合: クリンダマイシン15mg/kg/日 分3(例5mg/kg/回 1日3回)10日間経口投与という体重換算の考え方が示されている[2]
-
クループ症候群: 軽症では治療不要。安静時の吸気性喘鳴があればアドレナリン吸入やデキサメサゾン内服(0.15〜0.6mg/kg/回という体重換算の考え方)。発熱・咽頭痛にはアセトアミノフェンなどの解熱鎮痛剤。ほとんどがウイルス性であり抗菌薬の適用はない[2]
-
急性気管支炎: 対症療法が中心。閉塞性気道疾患のない小児の急性咳嗽に気管支拡張薬は無効。抗菌薬は原則不要。百日咳を対象とする場合のみマクロライド系(エリスロマイシン25〜50mg/kg/日 分4 14日間、クラリスロマイシン10〜15mg/kg/日 分2 7日間、アジスロマイシン10mg/kg/日 分1 5日間)という体重換算の考え方が示されている。電子添文上の適応について: エリスロマイシン・クラリスロマイシンは百日咳が適応症として含まれる一方、アジスロマイシンのみ電子添文上の適応症に百日咳を含まないが保険審査上は使用が認められている(3剤一括で適応外とする旧記載は誤りのため訂正)[1][2]。⚠要医師確認 新生児・若年乳児(特に生後1か月前後)ではエリスロマイシンによる乳児肥厚性幽門狭窄症(IHPS)のリスクが増加するためアジスロマイシンを優先する。生後2か月未満の百日咳は無呼吸・チアノーゼ・脳症など非典型像で重症化・致死的経過をとりうるため入院を積極的に検討する[14]。⚠要医師確認 マクロライド耐性百日咳菌の増加を受け、2025年に「小児呼吸器感染症診療ガイドライン2022 百日咳に関する追補版」が公表され、耐性株ではST合剤(トリメトプリムとして8mg/kg/日、14日間、生後2か月未満は使用しない)が治療選択肢として位置づけられている。各施設での百日咳治療方針を追補版に沿って更新するか要確認[16]
-
急性細気管支炎: 有効な治療法はなく、呼吸状態に応じた全身管理が中心。抗菌薬は不要。RSウイルスが重症化に最も関与し、新生児・乳児期早期・未熟児・先天性心疾患・慢性肺疾患・免疫不全では呼吸障害が強く入院を要することが多い。⚠要医師確認 生後3か月未満(特に若年乳児)は多呼吸・陥没呼吸・低酸素血症といった典型的な呼吸窮迫所見に乏しくても、無呼吸の既往・目撃があれば入院を強く検討する(非典型例の見逃し防止)[2][12]
-
急性中耳炎: 全身状態が良く中耳由来の耳漏がない場合は、保護者に説明のうえ抗菌薬を投与せず2〜3日の経過観察(軽症例の4分の3以上は1週間で自然治癒)。以下のいずれかがあれば抗菌薬投与を検討: 中耳由来の耳漏がある/重症化リスクファクター(2歳未満、免疫不全などの基礎疾患、肺炎球菌ワクチン未接種、中耳炎の既往歴、医療アクセス不良)がある/発熱・不機嫆・耳痛を伴い発赤と膨隆を伴う鼓膜所見がある。⚠要医師確認 アモキシシリン60〜90mg/kg/日 分3(例30mg/kg/回、90mg力価/kgを超えない)、初回投与を3〜4日間とし、総投与期間7日間を基本とする(本邦の第四版推奨。全身状態が不変・悪化傾向なら3〜4日目に再評価し治療方針を見直す)という体重換算の考え方が示されている。参考として米国小児科学会(AAP)GLは年齢別に2歳未満10日間・2〜5歳7〜10日間・6歳以上5〜7日間としているが、本邦手引きの推奨は上記の「7日間基本+個別化」であり、旧記載の「2歳未満10日間・それ以降5日間」はAAP基準の不正確な要約だったため訂正した[2]
やってはいけない・非推奨
- ウイルス性上気道炎(感冒・ウイルス性咽頭炎・急性気管支炎・急性細気管支炎)への経験的抗菌薬投与[1][2]
- 閉塞性気道疾患のない小児の急性咳嗽への気管支拡張薬(無効)[2]
- インフルエンザ・水痘罹患時のアスピリン含有解熱鎮痛剤・総合感冒薬(急性脳症発症との関連が指摘されている)[2]。ジクロフェナクナトリウムはインフルエンザ罹患中の使用が厚労省通知により原則禁忌とされている(脳炎・脳症の重症化との関連が報告された経緯)[5]
- 抗ヒスタミン薬(熱性けいれん・急性脳症発症との関連が指摘)[2]
- ジヒドロコデインを含む鎮咳薬(呼吸抑制のリスク)[2]
- テオフィリン製剤(急性脳症発症との関連が指摘)[2]
- ロペラミド(6か月未満は禁忌、2歳未満は原則禁忌=腸閉塞の危険)[2]
- ピボキシル基を有する抗菌薬(低カルニチン血症に伴う低血糖・けいれん・脳症のリスク)[2]
- ST合剤・セフトリアキソン(低出生体重児・新生児では核黄疸リスクのため禁忌)[2]
- フルオロキノロン系抗菌薬(一部薬剤は小児に投与禁忌=関節障害の懸念)[2]
- テトラサイクリン系抗菌薬(8歳未満で歯牙着色のリスク)[2]
5. 再診・帰宅指導・保護者説明
抗菌薬を出さないことの保護者説明の型
厚労省手引きは「肯定的な説明を行うことが患者満足度を損なわずに抗菌薬処方を減らし、良好な医師−患者関係の維持・確立につながる」としており、3ステップの型を示している[1][2]。
1) 情報の収集 — 保護者の心配事・期待を先に引き出す。「今日一番心配なことは何ですか」「抗菌薬について何か聞きたいことはありますか」と積極的に尋ねる[2]
2) 適切な情報の提供 — 重要な情報を伝える。
- 「ウイルス性の場合は対症療法が中心であり、完治までに時間がかかる」
- 「抗菌薬は(このタイプの感染症には)効果がない。休養と水分・栄養が回復の中心」
- 「抗菌薬を使うとお腹の中の良い菌まで一緒に減らしてしまうことがある」
- 「急性気管支炎の場合、咳は4週間程度続くことがある」「急性下痢症は1週間程度続くことがある」
- 「糖分・塩分の入った水分をこまめにとってください」
- 「感染を広げないため手洗いを徹底し、タオルは家族で共有しないでください」
[2]
3) まとめ — やりとりを要約し理解を確認したうえで、具体的な再受診の目安を伝える。
- 「3日以上経過しても改善しない場合は再受診してください」
- 「日常生活に支障が出るほど悪化した場合は再受診してください」
[2]
再受診すべきサイン(保護者に伝える・本ワークフローの1.レッドフラグを平易な言葉に翻訳)
- ぐったりしている、呼びかけへの反応が弱い、顔色や唇の色が悪い
- 呼吸が速い・苦しそう(肩で息をする、鼻がぴくぴく動く、胸がベコベコ凹む)
- 水分が摂れない、おしっこの回数が明らかに減った
- 唾も飲み込めない、声がおかしい、息苦しそうに首を突き出している
- 一度良くなりかけたのに、また熱が上がってきた・鼻水や咳がぶり返した(1週間前後で悪化)
- 熱が3日以上続く、または5日以上熱が続き、目の充血・唇の腫れ・発疹・手足の腫れ・首のリンパの腫れが一緒に出てきた
- 耳を痛がる、耳だれが出た、機嫌が非常に悪い
- かぜらしい症状がないのに熱だけが続く(特に乳児)
- (乳児の場合)頭のてっぺんの柔らかいところ(大泉門)がへこんでいる/泣いても涙が出ない[15]
経過の見通し
- ほとんどのかぜ症候群はウイルス性で自然軽快する。急性気道感染症・急性下痢症の大部分は自然に良くなる[2]
- 急性気管支炎の咳は4週間程度続くことがある[2]
- 急性中耳炎の軽症例は4分の3以上が1週間で自然治癒する[2]
紹介・入院の閾値
- レッドフラグ(1.参照)に該当する場合は精査または上位施設紹介
- 気道緊急性を疑う所見(sniffing position/tripod position、安静時吸気性喘鳴、多呼吸、酸素飽和度低下)は速やかに気道確保できる施設へ搬送[1][2]
- 新生児期発症のRSウイルス感染症は入院を考慮すべき。多呼吸・努力呼吸・低酸素血症などがあれば二次医療機関への紹介を検討。⚠要医師確認 生後3か月未満は典型的な呼吸窮迫所見に乏しくても無呼吸の既往・目撃があれば入院を強く検討する[2][12]
6. 社内ローカルルール(各施設での運用)— 要確認
以下は本ワークフローを実運用に落とす際に社内で確認・確定すべき項目。現時点ではすべて未確認。
- 外来でGAS迅速抗原検査キットを採用しているか、運用フロー(誰がオーダーし誰が実施するか)
- 抗菌薬の社内採用薬・後発品の在庫状況(アモキシシリン製剤の剤形・規格)
- 中耳炎の鼓膜所見評価を社内でどこまで行うか(耳鼻咽喉科への連携基準)
- 気道緊急(急性喉頭蓋炎疑いなど)発生時の紹介・搬送先と当直帯の連絡動線
- 川崎病を疑った場合の紹介先(循環器・小児科専門施設)と搬送手順
- 尿路感染症を疑う乳児の採尿方法(カテーテル導尿の可否、外注検査の所要時間)
- 保護者説明用の社内配布資料(説明文書・掲示物)の有無、多言語対応の要否
- 当直帯・休日診療での本ワークフローの適用範囲(初診のみか、再診にも適用するか)
7. 出典
- 厚生労働省 健康・生活衛生局 感染症対策部 感染症対策課「抗微生物薬適正使用の手引き 第四版 医科・外来編」(令和8年1月16日公表): https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001630903.pdf 【2026-07-30訂正: 本ファイルは当初「第三版」本編(令和5年11月16日公表・https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001168459.pdf)を出典としていたが、既に第四版が公表済みのため差し替えた。第四版該当箇所(急性中耳炎の投与期間p.85-86、GAS咽頭炎代替薬、百日咳マクロライドの適応脚注等)をWebFetch/pdftotextで実際に本文照合し、数値・記載を更新済み】
- 同上「抗微生物薬適正使用の手引き 第四版 ダイジェスト版」(令和8年4月発行、国立健康危機管理研究機構 AMR臨床リファレンスセンター作成): https://amr.jihs.go.jp/pdf/MAS4_digest.pdf (成人・学童期以降編、乳幼児編を主に参照。急性気道感染症の病型分類・診療フロー・治療推奨・患者家族への説明の型はこのダイジェスト版に準拠)【旧版(第三版ダイジェスト・令和6年8月発行): https://amr.jihs.go.jp/pdf/20240725.pdf は参考として残すが本文の一次根拠としては使用しない】
- 日本川崎病学会「診断の手引き」改訂6版: https://www.jskd.jp/川崎病関連情報/診断の手引き/
- 国立成育医療研究センター「川崎病」: https://www.ncchd.go.jp/hospital/sickness/children/030.html
- 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「インフルエンザの臨床経過中に発症した脳炎・脳症の重症化と解熱剤(ジクロフェナクナトリウム)の使用について」: https://www.pmda.go.jp/safety/info-services/drugs/calling-attention/esc-rsc/0013.html
- 神戸大学大学院医学研究科 内科系講座小児科学分野 こども急性疾患学部門「3ヶ月未満の児の発熱への対応」第13回公開講座資料(2016年1月30日): https://www.med.kobe-u.ac.jp/pediat/pdf/iwatani13.pdf ※正式な学会ガイドラインではなく大学の教育公開講座資料。位置づけ・現行運用との整合は要本人確認([10]のMSDマニュアルと併せて本文格上げの根拠とした)
- 日本小児泌尿器科学会「小児の尿路感染」: https://jspu.jp/ippan_014.html
- なかのこどもクリニック「こどもの尿路感染症―『かぜっぽくないのに熱だけ続く』とき、小児科医が考えていること」: https://nakanokodomo.jp/column/198/ ※一般向け解説記事。一次資料ではなく補助的参照
- MSDマニュアル プロフェッショナル版「小児における尿路感染症(UTI)」: https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/19-小児科/乳幼児および小児における様々な細菌感染症/小児における尿路感染症-uti ※国際的な専門家向け参考書。日本のGLではないため補助的参照
以下[10]〜[16]は敵対的検証(2026-07-30)で追加した出典
- MSDマニュアル プロフェッショナル版「新生児敗血症」: https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/19-小児科/新生児における感染症/新生児敗血症 (低体温が敗血症のサインになりうる旨の記載。[6]神戸大学資料と併せ、生後3か月未満発熱・新生児低体温のレッドフラグ格上げの根拠) ※要本人確認
- 昭和医科大学病院 小児循環器・成人先天性心疾患センター「小児の心筋炎について」: https://phd-achd.jp/blog/449/小児の心筋炎について ※一般向け解説。急性心筋炎が当初胃腸炎様症状で発症し診断が遅れうる旨の一般的知見の参照として使用。要本人確認
- 済生会「RSウイルス感染症」: https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/rs-virus/ (3か月未満の乳児で無呼吸症状がみられうる旨の記載)※一般向け解説。要本人確認
- 日本小児科学会「小児COVID-19関連多系統炎症性症候群(MIS-C/PIMS)診療コンセンサスステートメント」: https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/202105120_mis-c_st.pdf ※要本人確認
- 日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会「生後2か月未満の乳児における重症百日咳の発症に関する注意喚起と治療薬選択について」(2025年6月22日): https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20250623_jyushouhyakunitizeki.pdf ※要本人確認
- MSDマニュアル プロフェッショナル版「小児における脱水」: https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/19-小児科/小児における脱水および輸液療法/小児における脱水
- 日本小児呼吸器学会・日本小児感染症学会「小児呼吸器感染症診療ガイドライン2022 百日咳に関する追補版」(2025年8月公表・Ver.1): https://www.jspid.jp/wp-content/uploads/2025/08/guide_bp_20250820.pdf /日経メディカル「小児呼吸器感染症診療ガイドライン、百日咳に関する追補版を公開」: https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/202508/589930.html (マクロライド耐性百日咳菌へのST合剤の位置づけを含む。追補版の本邦運用への反映は要本人確認)※要本人確認
※ 点数・GLは改定される。運用前に最新版を確認。[1][2]は2026-07-30に第三版→第四版へ差し替え済み(本ファイル内で実際に本文照合したのは中耳炎投与期間・急性咽頭炎代替薬・急性鼻副鼻腔炎小児用量・百日咳マクロライド適応脚注の各記載。上記以外の第三版由来の数値・記載は第四版と大きな相違が確認できなかったため据え置いたが、全項目の逐条突合は未実施=要本人確認)
検証・修正ログ(2026-07-30)
敵対的検証(レビュー担当モデル、severity: critical 2件・high 3件・medium 6件・low 2件、計15所見)を受け、以下を反映した。状態は引き続き「下書き(要・本人確認)」。
反映した主な変更
- 出典の版更新: 全編の一次根拠だった厚労省「抗微生物薬適正使用の手引き」を第三版から第四版(医科・外来編・令和8年1月16日公表/ダイジェスト版・令和8年4月発行)に差し替え。中耳炎投与期間・急性咽頭炎代替薬・急性鼻副鼻腔炎小児用量・百日咳マクロライド適応脚注は原文(PDF)を実際に照合して更新した。全項目の逐条突合はしていないため、他の数値も含め運用前に本人確認を推奨する。
- 急性中耳炎の抗菌薬投与期間を修正: 「2歳未満10日間・それ以降5日間」(AAP基準の不正確な要約だった)→ 手引き第四版の本邦推奨「初回3〜4日間評価→総投与期間7日間を基本」に修正し、AAPの年齢別期間は参考として併記。
- 感冒(副鼻腔炎相当)のアモキシシリン用量を修正: 単一値「40mg/kg/日」→「30〜50mg/kg/日 分3、最大90mg(力価)/kg/日」の幅と安全上限を明記。
- 百日咳マクロライドの適応外表記を訂正: 3剤一括「適応外」の誤記 → エリスロマイシン・クラリスロマイシンは適応内、アジスロマイシンのみ適応外(保険審査上は使用可)と正確化。
- GAS咽頭炎に重度ペニシリンアレルギー時の代替薬(クリンダマイシン)を追記。
- レッドフラグを5項目追加(安全側の追加のため忠実に反映): 生後3か月未満発熱の本文格上げ+28日未満/29日〜3か月の層別化、新生児の低体温トリガー、心筋炎、RSウイルス無呼吸(3か月未満)、MIS-C(川崎病鑑別)、脱水徴候(臨床医向け・保護者向け両方)。
- 百日咳の年齢別注意を追加: 新生児・若年乳児でのエリスロマイシンIHPSリスク、生後2か月未満の重症化パターン、2025年公表のマクロライド耐性追補版GLへの言及。
残る要確認点(ファイル冒頭「医師確認事項」に集約済み)
- 生後3か月未満発熱・新生児低体温の運用強度(各施設での外来完結可否・紹介基準)
- 急性中耳炎の投与期間方針(7日間基本+個別化 vs AAP年齢別基準のどちらを社内標準にするか)
- 心筋炎・MIS-C・RSV無呼吸トリガーの紹介先・閾値の確定
- 百日咳の治療方針(IHPSリスクを踏まえた薬剤選択、追補版GLのST合剤位置づけを社内標準に反映するか)
- 第四版と第三版の全項目逐条突合(今回照合したのは指摘のあった4箇所のみ)
- 6.社内ローカルルールは従来通り全項目未確認のまま
03
A群溶血性レンサ球菌性咽頭炎(溶連菌性咽頭炎)外来ワークフロー
- 区分: 外来編/疾患別ワークフロー
- 記録日: 2026-07-30
- 状態: 下書き(要・本人確認)
- 対象: 小児外来(AMPL)
⚠ 本ファイルはAIが文献ベースで起草した下書き。最終的な臨床判断は医師(岡本)が確認して確定する。用量は体重換算の「考え方」のみ記載し、個別患者値は書かない。
医師確認事項(要・岡本判断)
敵対的検証で指摘され、AIの判断だけでは確定できない論点を集約。以下5点は本文に反映済みだが、内容・表現・運用への組み込み方は岡本の確認を要する。
- 劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)の追記(セクション1・5): 内容自体(四肢激痛・急速腫脹・ショック徴候→緊急搬送)は確立情報だが、本ワークフローの搬送閾値・社内動線にどう落とし込むかは運用判断。2023年以降の国内急増を踏まえ追記した。
- クリンダマイシン重症感染症時の用量(セクション4): 添付文書が一般に示す「重症感染症」用量(20mg/kg/日)と、手引き第四版がGAS咽頭炎の代替薬として明記する用量(30mg/kg/日 分3・最大900mg/日)が異なる。本稿は手引き第四版の数値に合わせたが、社内標準としてどちらを採用するかは要判断。
- 川崎病の鑑別追記(セクション2): 猩紅熱様皮疹・いちご舌・頸部リンパ節腫脹という所見の共通性から鑑別として追記(安全側の追加)。遷延性発熱時の紹介・対応フローの書きぶりは要確認。
- GASのマクロライド/クリンダマイシン耐性率「24%/61%」の記載(セクション4): 手引き第四版内に該当数値の記載を確認できなかった(第二版由来の可能性)。一次文献未特定のため、残す・削る・出典差し替えのいずれにするか判断が必要。
- NSAIDs使用に関する注意喚起の要否(セクション4): 侵襲性GAS感染症とNSAIDsの関連は症例報告・総説レベルの議論で、日本のGLに明文化された禁忌ではない。注意喚起文言を入れるか、入れる場合の強さは要判断。
0. 一目でわかるフロー
受診(咽頭痛・発熱)
→ レッドフラグ評価(扁桃周囲膿瘍/咽後膿瘍/急性喉頭蓋炎/Lemierre/劇症型溶連菌感染症〔STSS〕等の徴候→即・上位/紹介)
→ 3歳未満か? → Yes: 原則GAS検査・治療の適応外(濃厚接触歴 or 周囲での流行があれば例外)
→ No : Centor/McIsaac基準で事前確率を評価
→ 事前確率が高い(原則2〜3点以上)→ 迅速抗原検査(陽性→培養不要)
→ 陽性: アモキシシリン水和物 10日間(GAS除菌=リウマチ熱予防が主目的)
→ 陰性/未施行かつウイルス性が濃厚: 抗菌薬投与せず対症療法
→ 再診・帰宅指導(登校基準・リウマチ熱/腎炎徴候・脱水徴候の説明)→ 紹介基準に該当すれば紹介
1. レッドフラグ(見逃し厳禁)
- 急性喉頭蓋炎: 突然発症・高熱、流涎(唾液を飲み込めない)、開口障害、吸気性喘鳴(stridor)、sniffing position/tripod position(三脚様姿勢)。小児では口腔内診察・採血・レントゲン撮影などの刺激で気道閉塞が急速に増悪しうるため、これらの検査は行わず、安全に気道確保できる施設へ速やかに搬送する [出典: 厚労省 抗微生物薬適正使用の手引き 第四版 医科・外来編(一般外来における成人・学童期以降の小児編 p.26/一般外来における乳幼児編 p.65)]。
- 扁桃周囲膿瘍・咽後膿瘍・Ludwigアンギーナ・Lemierre症候群: 「人生最悪の喉の痛み」、開口障害(trismus)、嚥下困難・唾液を飲み込めない(流涎)、片側性の激しい咽頭痛、口蓋垂偏位、耳への放散痛、頸部腫脹/項部硬直・斜頸。急激な全身状態の悪化を伴う [出典: 同手引き 学童期以降の小児編 p.26/乳幼児編 p.65/日本小児感染症学会誌 小児感染免疫 Vol.32 No.4 (2020) https://www.jspid.jp/wp-content/uploads/pdf/03204/032040315.pdf]。
- ⚠要医師確認: 劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS): GAS咽頭炎の経過中またはその前後に、四肢の激しい疼痛・急速な腫脹、意識障害、血圧低下(末梢冷感・頻脈・尿量低下等のショック徴候)を認めた場合は劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS、いわゆる「人食いバクテリア」感染症)を疑い、直ちに救急・集中治療対応(血液培養・広域抗菌薬・クリンダマイシン併用・外科的評価を含む)が可能な施設へ紹介・搬送する。通常軽症の咽頭炎を起こす同じGASが、数十時間以内に軟部組織壊死・多臓器不全・ショックへ進展し致死率30〜40%に達することがある。2023年夏以降、病原性の高いM1UK系統株の国内集積を背景に報告数が急増している(2024年1〜3月だけで38府県126例) [出典: 国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト「劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)」https://id-info.jihs.go.jp/diseases/ka/STSS/index.html/東京都感染症情報センター https://idsc.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/diseases/s-group-a//「国内における劇症型溶血性レンサ球菌感染症の増加について」https://id-info.jihs.go.jp/risk-assessment/streptococcal-toxic-shock-syndrome/stss-2023-2024.html]。
- 猩紅熱(scarlet fever): GAS咽頭炎の一病型。発熱後12〜24時間で紙やすり様の鮮紅色発疹(顔面は口囲蒼白を伴う頬部紅潮)、発症2〜4日後にいちご舌(苺舌)が出現する。緊急性は高くないが見逃すと保護者説明で混乱するため押さえる [出典: 日本小児科学会 溶連菌感染症 https://www.jpeds.or.jp/general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-07.html]。
- リウマチ熱(急性リウマチ熱: ARF)を疑う徴候: GAS咽頭炎の先行感染から通常2〜3週間後に、移動性多関節炎、心炎(新規雑音・心不全徴候)、舞踏病(Sydenham chorea)、輪状紅斑、皮下結節などが出現しうる(症状の詳細はJones基準に基づく一般的な臨床知識であり、下記手引きの引用範囲外)。これらを認めた場合は小児循環器専門医への紹介を検討する。GAS咽頭炎の治療(抗菌薬)はリウマチ熱の一次予防が主目的であり、発症から9日以内の抗菌薬開始でARF予防効果が証明されている [出典: 厚労省 抗微生物薬適正使用の手引き 第四版 医科・外来編(乳幼児編 p.66)]。
- 咽頭痛の非典型的放散痛: 嚥下痛が乏しいのに咽頭痛を訴える場合、急性心筋梗塞・くも膜下出血・頸動脈解離・椎骨動脈解離などからの放散痛の可能性も指摘されている(成人が主だが鑑別の視点として記載)[出典: 同手引き 学童期以降の小児編 p.26]。
2. 重症度・病型の判定
Centorの基準/McIsaacの基準(GASによる咽頭炎の可能性を判断する参考指標。年齢補正を含むのがMcIsaac)[出典: 厚労省 抗微生物薬適正使用の手引き 第四版 医科・外来編(McIsaac基準=学童期以降の小児編 p.26/Centor基準=乳幼児編 p.64)]
| 項目 |
点数 |
| 発熱 38℃以上 |
1点 |
| 咳がない |
1点 |
| 圧痛を伴う前頸部リンパ節腫脹 |
1点 |
| 白苔を伴う扁桃腫脹 |
1点 |
| 年齢 3〜14歳 |
+1点(15〜44歳 0点、45歳以上 -1点) |
- 小児でもCentor基準は用いられるが、最高得点(4点)でもGAS陽性率は68%にとどまる。点数のみでGASと判断すると過剰診断・過剰治療につながるため、より正確な診断には検査診断(迅速抗原検査)が必要 [出典: 同手引き 乳幼児編 p.64]。
- GAS咽頭炎とウイルス性咽頭炎の鑑別所見: GAS咽頭炎は突然発症・発熱・頭痛・嘔気嘔吐・腹痛・圧痛を伴う前頸部リンパ節腫脹・猩紅熱様皮疹が特徴的。ウイルス性咽頭炎は結膜炎・咳嗽・嗄声・鼻汁・筋肉痛・下痢を伴うことが多い [出典: 同手引き 乳幼児編 p.64 表3]。
- 3歳未満での特記事項(重要): GASによる急性咽頭炎は5〜12歳で頻度が高く、3歳未満では稀。3歳未満ではGAS咽頭炎自体が少ないことに加え、続発する急性リウマチ熱(ARF)の合併も少ないため、GAS咽頭炎患者との濃厚接触歴がある場合、または周囲でGAS咽頭炎が流行している場合を除き、原則として検査を行わないことが推奨されている(3歳未満にはCentor基準も通常適用しない)[出典: 同手引き 乳幼児編 p.63(疫学)・p.64-65(検査適応・表5)]。
- ⚠要医師確認: 川崎病の鑑別: 発熱が5日以上遷延する、口唇の紅潮・亀裂、眼球結膜充血、四肢末端の紅斑・浮腫(回復期の膜様落屑)、多形性発疹を伴う場合は川崎病を鑑別に挙げ、GAS陰性または抗菌薬投与後も解熱しない場合は特に注意する。3歳未満はGAS咽頭炎自体が稀な年齢層であり、この年齢で上記所見を伴う発熱をみた場合は川崎病を優先的に検討する(猩紅熱様皮疹・いちご舌・頸部リンパ節腫脹という所見の共通性から、GAS咽頭炎との鑑別で見落としやすい)[出典: 国立成育医療研究センター「川崎病」https://www.ncchd.go.jp/hospital/sickness/children/030.html/日本川崎病学会 川崎病診断の手引き(改訂6版)]。
- 伝染性単核症(EBV・CMV・HIV・風疹ウイルス・トキソプラズマ等)との鑑別: Centor/McIsaac基準では容易に高得点になり鑑別困難。耳介後部・後頭部リンパ節腫脹や脾腫、血液検査でリンパ球分画35%以上が伝染性単核症を示唆する所見として報告されている [出典: 同手引き 学童期以降の小児編 p.26]。
3. 検査
- 必要:
- 3歳以上で、咽頭炎の症状・症候があり、事前確率が高いと判断した児に対するGAS迅速抗原検査(感度70〜90%、特異度95%。特異度が高いため陽性であれば培養検査は不要)[出典: 同手引き 乳幼児編 p.65 表5]。
- GAS迅速抗原検査で陰性だが臨床的にGASの可能性が高いと判断される場合の追加培養検査(標準検査法だが流行期は保菌者も多く鑑別が難しい点に留意)[出典: 同手引き 乳幼児編 p.65]。
- 不要・過剰になりがち:
- 3歳未満児への迅速検査(濃厚接触歴がある場合、または周囲で流行している場合を除き原則不要)[出典: 同手引き 乳幼児編 p.63・p.65]。
- 咳・鼻汁・結膜炎などウイルス感染症を強く示唆する所見がある場合の検査(事前確率が低い)[出典: 同手引き 乳幼児編 p.65]。
- 無症状児へのスクリーニング検査(無症状児の10〜30%にGAS保菌が認められるため、検査すると偽陽性的に「陽性」を拾い過剰治療につながる)[出典: 同手引き 乳幼児編 p.63]。
- 迅速検査陰性後の繰り返し検査(繰り返しても陽性率は向上しない)[出典: 同手引き 乳幼児編 p.65]。
4. 治療
- 第一選択:(アモキシシリン水和物内服。※以下は体重換算の一般的な考え方であり、個別処方値ではない)
- 用量の考え方: アモキシシリン水和物 30〜50mg/kg/日(分2または分3)、最大1,000mg/日、内服10日間。
- 目的は3つ: ①GAS除菌によるリウマチ熱(ARF)予防(発症9日以内の抗菌薬開始で予防効果が証明されている)、②症状の早期緩和(抗菌薬は有症状期間を半日〜1日短縮)、③周囲への感染伝播防止 [出典: 厚労省 抗微生物薬適正使用の手引き 第四版 医科・外来編 乳幼児編 p.66]。
- 治療期間は10日間を推奨(短期4〜6日の非ペニシリン系抗菌薬との比較では、短期群は症状消失がやや早いが再燃率が高いとの報告がある。副作用・リウマチ熱/腎炎合併率に有意差はなし)[出典: 同手引き 乳幼児編 p.67]。
- アモキシシリン水和物とセファロスポリン系抗菌薬の比較では、除菌率はアモキシシリン水和物群で有意に高いとする日本の研究がある(91.7% vs 82.0%、p=0.01、再発率に差なし)[出典: 同手引き 乳幼児編 p.67]。
- 第二選択・無効時:
- 軽症のペニシリンアレルギーには経口第1世代セファロスポリン系(セファレキシン)。
- 重症のペニシリンアレルギー(アナフィラキシー等)にはクリンダマイシン 15mg/kg/日(分3、5mg/kg/回1日3回)、10日間経口投与。⚠要医師確認: 重症感染症時は30mg/kg/日(分3、10mg/kg/回1日3回)、最大900mg/日、10日間(手引き第四版の明記値。添付文書が一般に示す「重症感染症」用量20mg/kg/日とは数値が異なるため、社内標準をどちらにするか要判断)[出典: 同手引き 乳幼児編 p.67]。
- ⚠要医師確認: 日本ではGASのクリンダマイシン耐性が24%、マクロライド系への耐性も61%と高いと報告されている(旧版由来の記載を踏襲)。手引き第四版の該当節にはこの数値の記載を確認できず、一次文献を特定できていない。使用する際は可能な限り施設の感受性結果を参考にし、この耐性率データ自体の妥当性・出典は要再確認 [出典未確定]。
- やってはいけない/非推奨:
- 迅速抗原検査・培養検査でGASが検出されていない急性咽頭炎への抗菌薬投与(多くはウイルス性で抗菌薬の適応がない)[出典: 同手引き 乳幼児編 p.65-66]。
- Centor/McIsaacの点数のみでGASと確定し治療すること(小児では最高得点でも陽性率68%であり過剰診断・過剰治療につながる)[出典: 同手引き 乳幼児編 p.64]。
- 咽頭痛を訴える患児で、扁桃周囲膿瘍・咽後膿瘍・急性喉頭蓋炎などを疑うRed Flagがある場合に、口腔内診察・採血・レントゲン撮影などで患児を刺激すること(気道閉塞増悪のリスク)[出典: 同手引き 学童期以降の小児編 p.26/乳幼児編 p.65]。
- 「抗菌薬でリウマチ熱は防げるが糸球体腎炎は防げない」という理解の欠如: 溶連菌感染後急性糸球体腎炎(PSAGN)に対する抗菌薬の予防効果はリウマチ熱ほど確立しておらず、感染後36時間以内かつ腎炎確立前の投与でのみ限定的な予防効果の可能性が指摘されているにとどまる。過度に「抗菌薬で腎炎も防げる」と説明しないこと [出典: MSDマニュアル プロフェッショナル版「感染後糸球体腎炎(PIGN)」 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/03-泌尿器疾患/糸球体疾患/感染後糸球体腎炎-pign]。
- ⚠要医師確認: 咽頭炎に伴う解熱鎮痛薬選択について、侵襲性GAS感染症を疑う所見(四肢の激痛・急速な腫脹等)がある場合はNSAIDs使用の是非を含めて慎重に判断する、という注意喚起の要否。劇症型溶血性レンサ球菌感染症とNSAIDsの関連は複数の症例報告・総説で議論されているが、日本のGLで明文化された禁忌ではないため、記載の要否・強さは岡本の臨床判断に委ねる。
5. 再診・帰宅指導・保護者説明
- 再受診すべきサイン(保護者に伝える):
- のどを強く痛がる、唾液を飲み込めない・よだれが増える、開口障害、呼吸がしんどそう→緊急受診(急性喉頭蓋炎・扁桃周囲膿瘍などを念頭に)[出典: 同手引き 学童期以降の小児編 p.26/乳幼児編 p.65]。
- ⚠要医師確認: 四肢の激しい痛み・急速な腫脹、ぐったりする、意識がはっきりしない、顔色が悪く手足が冷たい等の症状があれば直ちに救急受診(劇症型溶血性レンサ球菌感染症〔STSS〕を念頭に)[出典: 国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト「劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)」https://id-info.jihs.go.jp/diseases/ka/STSS/index.html]。
- 抗菌薬を指示通り10日間飲みきる必要があること、解熱したからといって自己判断で中止しないこと(リウマチ熱予防のため)[出典: 同手引き 乳幼児編 p.67]。
- GASが検出されなかった場合も、大半はウイルス性のため対症療法で経過をみるが、3日以上たって症状が良くならない・悪化する場合は再受診 [出典: 同手引き(要原本確認・該当ページ未確認)]。
- 水分がほとんど摂れない、半日以上おしっこが出ない、ぐったりして活気がない、泣いても涙が出ない等の脱水を疑うサインがあれば早めに再受診する(乳幼児は嚥下痛のため水分摂取ができず、気道症状が目立たないまま脱水が進行することがある)[出典: 日本小児科学会 一般向け情報(発熱・脱水の目安)https://www.jpeds.or.jp/小児科外来における一般的な脱水評価の考え方]。
- 治療後数週間してからの血尿・むくみ(腎炎)、関節の痛み・不随意運動・動悸(リウマチ熱)が出た場合は速やかに受診 [出典: 日本小児科学会 溶連菌感染症ページ/同手引き 乳幼児編 p.66]。
- 経過の見通し:
- GAS咽頭炎の自然経過は3〜4日で軽快することが多い。抗菌薬は症状の消失をやや早めるが劇的な差ではない(有症状期間を半日〜1日短縮) [出典: 同手引き 乳幼児編 p.66]。
- ウイルス性咽頭炎(GAS陰性)の場合も通常2〜3日から10日間程度で改善する [出典: 同手引き(要原本確認・該当ページ未確認)]。
- 紹介・入院の閾値:
- 扁桃周囲膿瘍・咽後膿瘍を疑う所見(開口障害・片側性腫脹・口蓋垂偏位など)→ 耳鼻咽喉科紹介(ドレナージ適応の判断含む)[出典: 小児感染免疫 Vol.32 No.4 https://www.jspid.jp/wp-content/uploads/pdf/03204/032040315.pdf]。
- 急性喉頭蓋炎を疑う所見 → 安全に気道確保できる施設へ緊急搬送(社内での刺激的な検査は避ける)[出典: 同手引き 乳幼児編 p.65]。
- ⚠要医師確認: 劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)を疑う所見(四肢激痛・急速腫脹・ショック徴候)→ 救急・集中治療対応が可能な施設へ緊急紹介/搬送(血液培養・広域抗菌薬・外科的評価の適応判断を含む)[出典: 国立健康危機管理研究機構「劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)」https://id-info.jihs.go.jp/diseases/ka/STSS/index.html]。
- リウマチ熱を疑う徴候(心雑音、多関節炎、舞踏病等)→ 小児循環器専門医へ紹介。
- ⚠要医師確認: 川崎病を疑う所見(5日以上の発熱遷延+上記所見)→ 小児循環器・入院診療体制への紹介を検討(急性期治療の遅れが冠動脈瘤という不可逆的後遺症につながり得るため)。
6. 社内ローカルルール(各施設での運用)
- (要確認:社内採用の迅速抗原検査キットの有無・実施体制、アモキシシリン水和物の採用製剤〔10%/20%ドライシロップ等〕、耳鼻咽喉科への紹介経路、当直帯での対応方針、扁桃周囲膿瘍疑い時の搬送先、STSS・川崎病疑い時の搬送/紹介先)
7. 出典
- 厚生労働省 抗微生物薬適正使用の手引き 第四版 医科・外来編(2026年1月16日公表、同年4月更新版掲出): https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001630903.pdf (最新版掲載: https://amr.jihs.go.jp/medics/2-8-1.html)。本文書は「一般外来における成人・学童期以降の小児編」(p.21-)と「一般外来における乳幼児編」(p.55-、急性咽頭炎はp.63-67)の2部構成。急性咽頭炎の診断・治療、Centor/McIsaac基準、3歳未満の注意、Red Flag、アモキシシリン等の用量・日数、クリンダマイシン代替薬用量、リウマチ熱予防のタイミングは本ファイル中の該当箇所に個別ページを付記。
- 日本小児科学会「溶連菌感染症」(一般の方向け): https://www.jpeds.or.jp/general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-07.html (症状・猩紅熱・登校基準・合併症)
- こども家庭庁(旧厚労省)「保育所における感染症対策ガイドライン」(2018年改訂版): https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e4b817c9-5282-4ccc-b0d5-ce15d7b5018c/c60bb9fc/20230720_policies_hoiku_25.pdf (登園再開の目安=抗菌薬内服後24時間以上経過・症状軽快)
- 学校保健安全法施行規則 第18条・第19条(e-Gov法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/333M50000080018 (学校感染症の分類)/学校感染症一覧 令和5年5月改正版(金沢大学保健管理センター公開資料): https://hsc.w3.kanazawa-u.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2024/09/学校感染症一覧.pdf (溶連菌感染症は第三種「その他の感染症」に分類。法令上一律の出席停止日数の定めはなく、「病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで」/重大流行時のみ校長が学校医の意見を聞き緊急的措置。臨床現場での慣行としての「抗菌薬内服後24時間経過し全身状態良好なら登校可」は、法的な一律基準ではなく医学的な感染性低下の目安として運用されている点に注意)
- 日本小児感染症学会誌『小児感染免疫』Vol.32 No.4(2020)扁桃周囲膿瘍に関する報告: https://www.jspid.jp/wp-content/uploads/pdf/03204/032040315.pdf (扁桃周囲膿瘍の臨床症状・所見の頻度)
- MSDマニュアル プロフェッショナル版「感染後糸球体腎炎(PIGN)」: https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/03-泌尿器疾患/糸球体疾患/感染後糸球体腎炎-pign (抗菌薬治療の腎炎予防効果は限定的・感染後36時間以内投与でのみ可能性)
- 国立健康危機管理研究機構(JIHS)感染症情報提供サイト「劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)」: https://id-info.jihs.go.jp/diseases/ka/STSS/index.html/東京都感染症情報センター: https://idsc.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/diseases/s-group-a//「国内における劇症型溶血性レンサ球菌感染症の増加について」: https://id-info.jihs.go.jp/risk-assessment/streptococcal-toxic-shock-syndrome/stss-2023-2024.html
- 国立成育医療研究センター「川崎病」: https://www.ncchd.go.jp/hospital/sickness/children/030.html/日本川崎病学会 川崎病診断の手引き(改訂6版)
※ 点数・GLは改定される。運用前に最新版を確認。本ファイルは2026-07-30時点で厚労省「抗微生物薬適正使用の手引き 第四版 医科・外来編」(2026年1月16日公表)を確認・反映済みだが、今後さらに版が更新されている場合は差分を確認すること。
検証・修正ログ(2026-07-30)
敵対的検証(8所見)を反映。反映した主な変更:
- 出典の全面更新: 全編で引用していた「手引き第二版(案)」を、実際に本文を取得・確認した「手引き第四版 医科・外来編」(2026年1月16日公表)に差し替え、ページ番号を再マッピング(学童期以降の小児編p.26、乳幼児編p.63-67)。手引き本文をpdftotextで直接確認し、Centor/McIsaac基準・3歳未満の検査除外条件(濃厚接触歴に加え「周囲での流行時」も例外と明記されていることを確認し追記)・アモキシシリン/クリンダマイシンの用量表と照合済み。
- クリンダマイシン重症感染症用量を修正: 「20mg/kg/日」→ 手引き第四版に明記された「30mg/kg/日 分3(10mg/kg/回1日3回)、最大900mg/日」に修正。添付文書一般値との差異を明記し⚠要医師確認とした。
- 劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)をレッドフラグ・紹介閾値・再受診サインに追加(セクション1・5)。手引き自体には咽頭炎の文脈でSTSSの記載がないことを確認したうえで、JIHS等の外部一次情報から追記。
- 川崎病の鑑別をセクション2に追加、脱水徴候による再受診サインをセクション5に追加。
- 3歳未満の検査適応除外に「周囲での流行時」の例外を追記(手引き表5と照合済み)。
- クリンダマイシン/マクロライド耐性率「24%/61%」、NSAIDs使用に関する注意喚起は、手引き第四版内で数値・明文化された禁忌を確認できなかったため、削除も断定もせず⚠要医師確認として残した。
残る要確認点:
- 上記「医師確認事項」5点(STSS運用への組み込み方、クリンダマイシン用量の社内標準、川崎病紹介フローの書きぶり、耐性率データの出典要否、NSAIDs注意喚起の要否)。
- セクション5「ウイルス性咽頭炎3日以上で再受診」「ウイルス性咽頭炎2〜3日で改善」の該当ページは手引き第四版内で確認できておらず、要原本確認のまま。
- セクション6「社内ローカルルール」は未確認のまま(要確認事項欄に記載済み)。
04
小児急性中耳炎 外来ワークフロー
- 区分: 外来編/疾患別ワークフロー
- 記録日: 2026-07-30
- 状態: 下書き(要・本人確認)
- 対象: 小児外来(AMPL)
⚠ 本ファイルはAIが文献ベースで起草した下書き。最終的な臨床判断は医師(岡本)が確認して確定する。用量は体重換算の「考え方」のみ記載し、個別患者値は書かない。
医師確認事項(要・岡本判断)
敵対的検証(第三者レビュー)で指摘され、AIの一存では確定できないため列挙する。運用開始前に本人確認が必要。
- 4章 中等症・重症の第二選択・第三選択の再構成(severity: high/needs_physician)— 現行の下書きは中等症と重症の第二選択・第三選択を1本のリストに統合していたため、重症例で「既に無効だったAMPC高用量」を再掲しTFLXを欠落させるなど、実際のステップアップ順序と食い違っていた可能性がある指摘。本ファイルは検証者の指摘(GL2024 p.86-88のアルゴリズム図)に基づき下記の通り分離修正済み。社内プロトコルとして採用する前に、GL原本のアルゴリズム図と本文の記載を岡本本人が直接照合すること。
- Gradenigo症候群(複視・外転神経麻痺)のレッドフラグ追加(severity: high/needs_physician)— 検証者より、頭蓋内合併症のレッドフラグに錐体尖炎(Gradenigo症候群)を示唆する複視・眼球運動異常が抜けているとの指摘。本GL自体に本症候群の明文規定はなく、GLの対象外規定「頭蓋内合併症などがみられる急性中耳炎」に包含される具体症候として追加した。GL本文に直接の記載がない外挿のため、臨床的に妥当かどうか岡本の判断を仰ぐ。
- 鎮痛薬項へのアスピリン/Reye症候群注意の追加可否(severity: low/needs_physician)— 検証者の指摘は「本GL本文には記載がないが、一般小児科原則として付記を検討してはどうか」という提案止まり。GLに根拠のない一般論の追加であり、本ワークフローに含めるかどうかは岡本の判断とする(下記4章に⚠付きで候補記載のみ)。
0. 一目でわかるフロー
受診(耳痛・発熱・耳漏・不機嫌などの訴え)
→ レッドフラグ評価(乳様突起炎・顔面神経麻痺・髄膜刺激症状・GL適用外病態)
該当あり → 本GLは適用せず、即日耳鼻咽喉科紹介/救急対応
→ 気密式耳鏡で鼓膜所見を確認し急性中耳炎と診断
→ 重症度スコア判定(軽症/中等症/重症)
→ 検査(細菌学的検査の要否、ティンパノメトリーの要否)
→ 治療(重症度別アルゴリズムに従い抗菌薬 or 経過観察、鼓膜切開の適応検討)
→ 3〜4日目に再評価 → 改善なければ次段階の抗菌薬へ
→ 再診・帰宅指導・耳鼻咽喉科紹介基準の適用(反復性・遷延性・難治性の判定含む)
1. レッドフラグ(見逃し厳禁)
本ガイドラインは以下を対象外と明記しており、該当すれば通常の重症度アルゴリズムに乗せず、耳鼻咽喉科への緊急紹介・入院を検討する。
- 急性乳様突起炎(耳介後部の発赤・腫脹・圧痛、耳介の前方への偏位、波動感)— 中耳炎の重篤な合併症。GL適用対象外。
- 顔面神経麻痺(中耳炎に伴う末梢性顔面神経麻痺)— GL適用対象外。合併症としての中耳炎であり緊急紹介。
- 頭蓋内合併症を疑う髄膜刺激症状(項部硬直、乳児の大泉門膨隆、意識障害・傾眠、痙攣など)— 硬膜外膿瘍・静脈洞血栓症・髄膜炎などを疑う所見。GL適用対象外、救急・脳外科/感染症科との連携が必要。
- 内耳障害を疑う所見(高度難聴、めまい・ふらつき)を伴う急性中耳炎 — GL適用対象外。
- 複視・眼球運動の左右差(外転神経麻痺) — 錐体尖炎(Gradenigo症候群: 三叉神経領域痛+外転神経麻痺+耳漏の三徴)を示唆する所見。頻度は稀だが見逃されやすい頭蓋内・頭蓋底合併症であり、GLの対象外規定「頭蓋内合併症などがみられる急性中耳炎」に包含される。⚠要医師確認(GL本文に本症候群の明文規定はなく、外挿での追加。医師確認事項参照)。
- 遷延・反復のパターン(後述、2026-07時点でGL上の定義に基づく)
- 遷延性中耳炎: 耳痛・発熱など急性症状が顕在化しないまま、急性中耳炎と同様の鼓膜所見が3週間以上持続
- 反復性中耳炎: 「過去6カ月以内に3回以上、または12カ月以内に4回以上」急性中耳炎に罹患
- 難治性中耳炎: 本ガイドラインのアルゴリズムに準じた一連の治療を完遂しても、初診時の臨床症状・鼓膜所見が改善しない状態
- → これらは薬剤耐性菌・宿主免疫(IgG2低値など)・器質的要因の関与を考慮し、耳鼻咽喉科への評価紹介(鼓膜切開・鼓膜換気チューブ・免疫学的評価の適応検討)を推奨
- その他GL適用対象外(個別に判断): 滲出性中耳炎、鼓膜換気チューブ留置例、頭蓋・顔面の先天性形態異常、重大な免疫不全のある症例、水疱性鼓膜炎
2. 重症度・病型の判定
急性中耳炎は鼓膜所見と臨床症状のスコアにより軽症・中等症・重症に分類する(ガイドライン作成委員会提案のスコアリング。24カ月齢未満は年齢加点3点)。
| 項目 |
0点 |
加点 |
| 年齢(24カ月未満) |
― |
3点(該当すれば加算) |
| 耳痛 |
0(なし) |
1(痛みあり) / 2(持続性の高度疼痛) |
| 発熱(腋窩温) |
0(37.5℃未満) |
1(37.5〜38.5℃未満) / 2(38.5℃以上) |
| 啼泣・不機嫌 |
0(なし) |
1(あり) |
| 鼓膜発赤 |
0(なし) |
2(ツチ骨柄あるいは鼓膜の一部の発赤) / 4(鼓膜全体の発赤) |
| 鼓膜膨隆 |
0(なし) |
4(部分的な膨隆) / 8(鼓膜全体の膨隆) |
| 耳漏 |
0(なし) |
4(外耳道に膿汁あるが鼓膜観察可能) / 8(鼓膜が膿汁のため観察できない) |
※鼓膜膨隆と耳漏のスコアは加算可(両方あれば合算する)。
合計点数による分類
- 軽症: 5点以下
- 中等症: 6〜11点
- 重症: 12点以上
診断そのものの鼓膜所見要件(GLの急性中耳炎定義): 中等度〜高度の鼓膜膨隆、あるいは急性外耳炎に起因しない耳漏の出現。または軽度の鼓膜膨隆と48時間以内に発症した耳痛(言語化前の児では耳を押さえる・ひっぱる・こすりつける)あるいは急性発症の耳痛と鼓膜の強い発赤。中耳貯留液がみられない場合は急性中耳炎と診断すべきではない。
3. 検査
- 必要:
- 薬剤アレルギー歴(薬剤名・反応内容)の確認 — βラクタム系(ペニシリン系・セフェム系)アレルギーの既往がある場合は当該系統薬を使用しない。抗菌薬選択の前段として問診票に必須項目として組み込む(出典: GL2024 p.36 表13 問診票/p.56 CQ3-1 例外規定)。
- 気密式耳鏡による鼓膜の詳細な観察(発赤・膨隆・耳漏の有無)— 診断・重症度判定の根幹。正確な鼓膜所見評価が最重要。
- 抗菌薬の使用前・変更時の細菌学的検査(中耳貯留液または耳漏、あるいは上咽頭ぬぐい液のグラム染色・培養)— 原因菌・感受性に基づく抗菌薬選択のため、中等症・重症では推奨。
- ティンパノメトリー: 鼓膜の詳細な観察のみでは中耳貯留液の有無が判断困難な例で、客観的指標として使用を推奨(推奨の強さ: 推奨、エビデンスの質: B)。ただし本邦で普及するプローブ音226Hzの機器は生後6カ月未満では信頼性が乏しい点に注意。耳漏がある患者には実施しない(GL2024 CQ1-3 p.37 益と害の評価・例外規定)。
- 不要・過剰になりがち:
- レッドフラグを伴わない典型例での血液検査・画像検査(頭部CT等)— 乳様突起炎・頭蓋内合併症を疑う所見がない限り原則不要。
- 発赤のみで鼓膜膨隆・耳漏を伴わない例を「急性中耳炎」として抗菌薬治療の対象にすること(発赤のみでは診断根拠として不十分)。
- 迅速抗原検査は補助的位置づけ(実施体制・意義はGL第3章参照。当院での採用有無は要確認)。
4. 治療
治療は重症度別アルゴリズムに沿って段階的に行う。各段階で3〜5日投与し、改善なければ次段階へ。抗菌薬使用前に細菌学的検査を実施し、選択・変更の参考にする。経過観察は初診時より3週間までを目安とする。
軽症(5点以下)
- 抗菌薬非投与で3日間経過観察(自然経過の観察を推奨。推奨の強さ: 推奨、エビデンスの質: B)
- 改善なければ→ 第一選択: アモキシシリン(AMPC)高用量、3〜5日投与
- なお改善なければ→ 原因菌・感受性を考慮し、CVA/AMPC(クラブラン酸/アモキシシリン 1:14製剤)またはCDTR-PI(セフジトレン ピボキシル)高用量を3〜5日投与
中等症(6〜11点)
⚠要医師確認(下記アルゴリズムはGL2024 p.86-88のアルゴリズム図に基づき中等症・重症を分離修正済み。社内採用前にGL原本と照合すること。医師確認事項1参照)。
- 第一選択: AMPC高用量を3〜5日投与。鼓膜切開の適応を検討。
- 第二選択(無効時): AMPC高用量/CVA/AMPC(1:14)/CDTR-PI高用量のいずれかを3〜5日投与。鼓膜切開の適応を再検討。
- 第三選択(なお無効時): CVA/AMPC(1:14)/CDTR-PI高用量/TBPM-PI(テビペネム ピボキシル)常用量/TFLX(トスフロキサシン)常用量のいずれかを3〜5日投与。
重症(12点以上)
⚠要医師確認(同上)。
- 第一選択: AMPC高用量、またはCVA/AMPC(1:14製剤)を3〜5日投与。鼓膜切開の適応を検討。
- 第二選択(無効時): CVA/AMPC(1:14)/CDTR-PI高用量/TFLX常用量のいずれかを3〜5日投与(AMPC高用量は含めない=既に無効だった薬剤を再掲しない)。鼓膜切開の適応を再検討。
- 第三選択(なお無効時): 経口ではTBPM-PI高用量(中等症の常用量とは区別。投与期間は7日以内目安)またはTFLX常用量のいずれかを3〜5日投与(CVA/AMPC・CDTR-PIは重症の第三選択には含めない)。または以下の静注抗菌薬を3日間点滴静注:
- ABPC(アンピシリン)150mg/kg/日 分3
- CTRX(セフトリアキソン)60mg/kg/日 分2または分1(新生児は50mg/kg/日以下)。高ビリルビン血症を伴う未熟児・新生児には禁忌(核黄疸リスク)。カルシウム含有製剤・輸液と同一経路での同時投与も禁忌(結晶析出による死亡例報告あり)。
すべての場面で鼓膜切開の適応を検討する条件: 高度の鼓膜膨隆所見がある場合/適切な抗菌薬治療を行っても鼓膜異常所見が改善しない、あるいは悪化する場合。鼓膜切開が可能な耳鼻咽喉科医との連携が必要(推奨の強さ: 推奨、エビデンスの質: C)。
- 体重換算の考え方(個別処方値は書かない):
- AMPC(アモキシシリン): 高用量が第一選択の中心。1回あたり・1日あたりの上限(GL規定の投与量上限): 1回45mg/kg、1日90mg/kgを超えない。通常量(45mg/kg/日)ではなく高用量(80〜90mg/kg/日相当)とする根拠が本邦の肺炎球菌・インフルエンザ菌の薬剤耐性率にある。
- CDTR-PI: 1回200mg、1日600mgを超えない。
- TBPM-PI: 1回300mg、1日600mgを超えない(中等症・重症のみ、投与期間は7日以内を目安)。
- TFLX: 1回180mg、1日360mgを超えない。
- 抗菌薬投与時の下痢予防として耐性乳酸菌や酪酸菌製剤の併用を選択肢とする(GL根拠は抗菌薬投与時のみ。非投与・経過観察時への適用はGL記載なし)。
- 段階移行の考え方: 上記アルゴリズムの段階的なステップアップを参照。抗菌薬投与後に臨床症状が悪化する場合は抗菌薬の変更を考慮。
- 抗菌薬選択の前に必ず確認:
- 薬剤アレルギー歴(薬剤名・反応内容)。βラクタム系(ペニシリン系・セフェム系)アレルギーの既往がある場合は当該系統薬(AMPC・CVA/AMPC・CDTR-PI・TBPM-PI・ABPC・CTRXなど)を使用しない(GL2024 p.36 表13/p.56 CQ3-1 例外規定)。
- やってはいけない/非推奨:
- 耳痛(鎮痛)のみを目的とした抗菌薬投与は推奨しない(鎮痛薬としてはacetaminophen 10〜15mg/kg頓用が選択肢)。⚠要医師確認(GL本文に根拠なし・一般小児科原則として検討候補): アスピリンは小児のウイルス性疾患合併時にReye症候群のリスクがあるため使用しない旨を、保護者説明資料に加えるかどうかは岡本判断(医師確認事項3参照)。
- 抗ヒスタミン薬は急性中耳炎に無効であり投与しない(推奨の強さ: 強い推奨、エビデンスの質: A)。発熱児への不要な抗ヒスタミン薬投与は小児急性脳症のリスクとの関連が指摘されており特に避ける(GL2024 p.73-74 CQ3-7)。
- 鼓膜穿孔のない症例への点耳薬使用(無効であり非推奨)。点耳薬は鼓膜換気チューブ留置など中耳腔に薬液が十分到達可能な症例にのみ推奨。点耳薬を選択する場合でも、アミノグリコシド系・抗真菌薬含有製剤は内耳毒性(不可逆的感音難聴のリスク)のため使用しない(GL2024 CQ3-6 p.72 註)。
- CDTR-PI・TBPM-PIなどピボキシル基を有する抗菌薬の使用時は、二次性低カルニチン血症の発症に十分注意する。特に経口摂取不良・絶食時間延長のある児で低血糖・低カルニチン血症のリスクが高く、投与開始翌日からの重篤な低血糖発症例も報告されている(PMDA「ピボキシル基を有する抗菌薬投与による小児等の重篤な低カルニチン血症、重篤な低血糖について(続報)」2026年6月30日付。2019〜2026年5月で23例集積、死亡等の不可逆的転帰例あり)。意識障害・活気不良・けいれん等の低血糖症状に注意し、保護者にも説明する。
5. 再診・帰宅指導・保護者説明
- 再受診すべきサイン(保護者に伝える):
- 耳痛・不機嫌の悪化、38.5℃以上の発熱の遷延・再燃
- 耳漏の新規出現・増加
- 耳介後部の腫脹・発赤、耳介の前方偏位(乳様突起炎を疑う)
- 顔面の左右差・動きの左右差(顔面神経麻痺を疑う)
- 物が二重に見える・目の動きの左右差(外転神経麻痺、Gradenigo症候群を疑う。⚠要医師確認・医師確認事項2参照)
- ぐったりする・活気がない・意識がぼんやりする、痙攣(低血糖症状の可能性も含む。ピボキシル系抗菌薬使用時は特に注意)
- 経過の見通し:
- 軽症は抗菌薬非投与で3日間経過観察 → 多くは自然軽快。改善なければ抗菌薬開始。
- 中等症・重症は抗菌薬開始後3〜4日目に病態の推移を観察し、改善の有無で次段階を判断。
- 治療効果判定は発症から3週間の時点での鼓膜所見(発赤・膨隆・肥厚・水疱形成・混濁・穿孔・中耳腔の貯留液・耳漏)の改善評価で行う。
- 紹介・入院の閾値:
- レッドフラグ(1章)に該当する場合は即日耳鼻咽喉科紹介、または救急対応。
- 第三選択薬(TBPM-PI高用量・TFLX、または重症での静注抗菌薬)でも改善がない難治例。
- 鼓膜切開の適応があるが社内で実施可能な体制がない場合。
- 反復性中耳炎・遷延性中耳炎・難治性中耳炎(1章の定義参照)に該当し、鼓膜換気チューブ留置や免疫学的評価(血清IgG2値など)の適応検討が必要な場合。
6. 社内ローカルルール(各施設での運用)
- 要確認(社内採用抗菌薬、耳鼻咽喉科紹介先・連携フロー、当直時の対応、鼓膜切開の実施体制、細菌学的検査の提出可否)
7. 出典
- 日本耳科学会・日本小児耳鼻咽喉科学会・日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会(編)『小児急性中耳炎診療ガイドライン 2024年版』金原出版、2024年5月15日発行(第5版)。公式PDF: https://www.otology.gr.jp/common/pdf/guideline_otitis2024.pdf
- 書誌情報(金原出版): https://www.kanehara-shuppan.co.jp/books/detail.html?isbn=9784307371391
- 「小児急性中耳炎診療ガイドライン2024年版 改訂のポイント」(J-STAGE、耳科臨床誌): https://www.jstage.jst.go.jp/article/jiaio/4/4/4_197/_pdf/-char/ja
- PMDA「ピボキシル基を有する抗菌薬投与による小児等の重篤な低カルニチン血症、重篤な低血糖について(続報)」2026年6月30日付: https://www.pmda.go.jp/files/000281460.pdf
- セフトリアキソンナトリウム静注用 添付文書(禁忌・相互作用の項): https://vet.cygni.co.jp/include_html/drug_pdf/kouseibussitu/JY-00748.pdf
- Gradenigo Syndrome: A Case Report of a Rare Complication of Otitis Media(PMC10848083): https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10848083/
※ 点数・GLは改定される。運用前に最新版を確認。
検証・修正ログ(2026-07-30)
敵対的検証(第三者レビュー)の所見13件を反映した。
反映した主な変更:
- 4章「中等症・重症」の第二選択・第三選択を、GL原文(p.86-88アルゴリズム図)に基づき中等症/重症で明確に分離。重症の第二選択からAMPC高用量(既に無効な薬の再掲)を除きTFLX常用量を追加、第三選択の経口薬をTBPM-PI高用量/TFLX常用量に限定(要医師確認)。
- 3章・4章に薬剤アレルギー歴確認を必須項目として追加。
- 4章「やってはいけない/非推奨」に、抗ヒスタミン薬の強い非推奨(急性脳症リスク言及)、点耳薬選択時のアミノグリコシド系・抗真菌薬の内耳毒性禁忌、CTRXの新生児高ビリルビン血症・カルシウム含有製剤同時投与の禁忌を追加。
- ピボキシル系抗菌薬の注意書きを「二次性低カルニチン血症」に表記統一し、PMDA 2026年6月30日付続報(低血糖リスク・23例集積)の内容を追記。
- 1章・5章にGradenigo症候群(複視・外転神経麻痺)をレッドフラグ・再受診サインとして追加(要医師確認・GL本文に明文規定なし)。
- 静注抗菌薬(ABPC/CTRX)に投与期間「3日間」を明記。耐性乳酸菌・酪酸菌製剤の適用を「抗菌薬投与時」に限定。ティンパノメトリーの例外規定(耳漏がある場合は非実施)を追加。
残る要確認点(冒頭「医師確認事項」参照):
- 4章の中等症・重症アルゴリズム再構成をGL原本のアルゴリズム図と本文で直接照合。
- Gradenigo症候群の追加が臨床的に妥当か(GL本文に根拠なし・外挿)。
- 鎮痛薬項へのアスピリン/Reye症候群注意の追加可否(GL根拠なし・一般小児科原則としての提案)。
- 6章「社内ローカルルール」は未着手のまま(社内採用抗菌薬・耳鼻咽喉科連携・当直対応・鼓膜切開体制・細菌学的検査提出可否)。
05
クループ症候群(急性喉頭気管気管支炎)外来ワークフロー
- 区分: 外来編/疾患別ワークフロー
- 記録日: 2026-07-30
- 状態: 下書き(要・本人確認)
- 対象: 小児外来(AMPL)
⚠ 本ファイルはAIが文献ベースで起草した下書き。最終的な臨床判断は医師(岡本)が確認して確定する。用量は体重換算の「考え方」のみ記載し、個別患者値は書かない。
医師確認事項(要・岡本判断)
敵対的検証(2026-07-30)で挙がった論点のうち、岡本の確認・社内方針決定が必要なもの。各項目は本文中に「⚠要医師確認」で紐づけている。
- アドレナリン吸入の投与量プロトコル(4章): ボスミン外用液0.1%の添付文書は体重換算(mg/kgやmL/kg)規定を持たず、1回0.3mg(0.3mL)以内という固定上限。国内クループ診療で用いられる「0.01mL/kg」等の体重換算運用は適応外使用の慣行。各施設として固定量運用にするか体重換算運用にするか、上限をどう置くかを決定要。
- アドレナリン吸入の再投与間隔(4章): 添付文書は「4〜6時間空ける」と規定するが、クループ診療の実務では効果減弱(約2時間)を踏まえた短い間隔での再投与が行われることがある。社内としてどちらの運用を採るか要確認。
- Westleyスコアの重症度カットオフ(2章): 本文は出典4(単一症例報告)に基づき中等症3〜7点/重症8点以上とするが、国際的に広く使われる分類は中等症3〜5点/重症6〜11点/呼吸不全切迫12点以上。6〜7点の患者の扱いが変わるため、社内採用基準を確定要。
- デキサメタゾンの適応範囲(4章): 国内2022GLは中等症・重症(安静時喘鳴あり)が対象だが、NICE CKS・RCH Melbourne・Cochraneは軽症を含む全例への単回投与を推奨する方向。軽症例への投与拡大を社内方針とするか要判断。
- 生後6ヶ月未満の乳児の入院閾値(5章): Westleyスコアが低くても入院・慎重観察の閾値を下げるべきという一般論があるが、社内基準としてどう反映するか要確認。
- アドレナリン吸入後の社内観察時間(5・6章): 一次ガイドラインに明記された基準を確認できておらず、本文は暫定的な保守的デフォルト(最低3〜4時間)を置いた。社内基準として確定要。
- 中核用量の一次資料未確認(出典2): デキサメタゾン0.15mg/kg等の数値は『小児呼吸器感染症診療ガイドライン2022』原著書籍でなくクリニックブログの二次要約に依拠している。運用開始前に原著CQ2・CQ3を直接確認要。
0. 一目でわかるフロー
受診(犬吠様咳嗽・嗄声・吸気性喘鳴、多くは先行する鼻汁・咳・発熱が12-48時間先行)
→ レッドフラグ評価(急性喉頭蓋炎疑い・重度陥没呼吸・SpO2低下・意識障害)
該当あり → 視診・啼泣誘発を避け気道確保を最優先、上位施設・麻酔科/耳鼻科へ即連携
→ 重症度判定(Westleyスコア的評価:吸気性喘鳴・陥没呼吸・air entry・意識レベル・チアノーゼ)
→ 検査(原則不要・臨床診断。レントゲン等は気道確保を妨げない範囲でのみ)
→ 治療(安静時喘鳴ありならデキサメタゾン内服 ±アドレナリン吸入〈中等症以上〉)
→ アドレナリン使用時は社内で経過観察(reboundに注意)
→ 帰宅指導(再受診サイン説明)・入院/紹介基準の判断
1. レッドフラグ(見逃し厳禁)
- 急性喉頭蓋炎を疑うサイン: 流涎(ほぼ必発)、三脚位/嗅ぐ姿勢(sniffing position)、強い咽頭痛・嚥下痛、急性かつ劇症的な発症、犬吠様咳嗽が目立たない、全身状態不良(SIRS様)。Hibワクチン未接種歴があればより疑う。突然の呼吸停止に至り得る致死的疾患であり、無治療では生命予後不良[6][7]。
- 細菌性気管炎を疑うサイン: 呼吸障害が強く、デキサメタゾン・アドレナリン吸入に反応しづらい(黄色ブドウ球菌が主な原因菌)[6]。
- 切迫する気道閉塞・挿管を要する状態のサイン: 安静時の著明な陥没呼吸、呼吸音の低下・消失、意識レベルの低下、チアノーゼの出現、発熱によらない頻脈、呼吸筋疲労の徴候。これらがあれば気管内挿管の適応として速やかに気道確保の準備を行う[5]。
- SpO2低下(酸素投与下でも改善しない低酸素)。
- 意識障害(不機嫌からの急な変化、傾眠・意識朦朧)。
- アナフィラキシーを疑うサイン: 発熱を欠く急性発症の吸気性喘鳴で、蕁麻疹・血管浮腫・摂食または虫刺されのエピソードを伴う場合はまずアナフィラキシーを除外する。クループとして扱いネブライザーアドレナリン・デキサメタゾンのみで対応すると管理を誤る。疑えば筋注アドレナリン(0.01mg/kg、大腿外側)を最優先する[8][9]。
- 咽後膿瘍・扁桃周囲膿瘍を疑うサイン: 発熱・流涎・くぐもった声(hot potato voice)・頸部硬直や斜頸・開口障害。犬吠様咳嗽を欠くことが多い。疑えば頸部造影CT・耳鼻科への緊急相談を検討する[8]。
- 気道異物を疑うサイン: 先行する鼻汁・咳等のウイルス性前駆症状を欠く突然発症の吸気性喘鳴、無熱、窒息・誤嚥エピソード歴(約9割で聴取可能)。これらがあればクループとして治療する前に気道異物を疑い、画像検査や耳鼻科/小児外科への緊急相談を優先する[9]。
⚠ 喘鳴・呼吸音が「静かになる」ことは改善のサインとは限らない: 陥没呼吸や意識レベル低下など他の努力呼吸所見が同時に悪化していれば、喘鳴・呼吸音が弱くなる/消えることは気道閉塞の進行(完全閉塞に近い状態)を示す危険サインである。「静かになった」ことだけを安心材料にしない[10][11]。
⚠ 喉の視診・喉頭刺激は気道閉塞を誘発するリスク: 診察で児を啼泣させたり、舌圧子で喉頭を刺激したりすると気道閉塞症状が急激に増悪することがあるため極力避ける。クループ症候群は原則臨床診断であり、頸部正面X線でのペンシルサイン確認や側面レントゲン撮影は必須ではない[1][6]。急性喉頭蓋炎を疑った場合は、口腔内診察・採血・レントゲン検査よりも気道確保を優先し、手術室で麻酔科医と協働で気道確保することを最優先する(検査のために気道刺激・体位変換・啼泣を招くことは避ける)[6]。
- その他確認事項: 異物誤飲のエピソード、予防接種歴(Hib)[1]。気道熱傷がクループ様症状を呈することがある点にも留意(2025年の症例報告での指摘)[6]。
2. 重症度・病型の判定
Westley croup score(代表的な重症度スコア、5項目・最大17点)[3][4]
| 項目 |
0点 |
1点 |
2点 |
3点 |
4点 |
5点 |
| 意識レベル |
正常 |
|
|
|
|
意識障害・意識朦朧 |
| チアノーゼ |
なし |
|
|
|
興奮時 |
安静時 |
| 吸気性喘鳴(stridor) |
なし |
興奮時のみ |
安静時も出現 |
|
|
|
| 呼吸音(air entry) |
正常 |
減弱 |
著明に減弱 |
|
|
|
| 陥没呼吸 |
なし |
軽度 |
中等度 |
高度 |
|
|
- 合計点の判定: 2点以下=軽症/3〜7点=中等症/8点以上=重症[3][4]。
- 陥没呼吸とair entryは臨床転帰予測における主要因子とされる(個別因子としてのばらつきは吸気性喘鳴・陥没呼吸で比較的小さい)。
- 中等症以上で入院を考慮し、重症では気管内挿管を考慮する[4]。救急受診したクループ症候群のうち気管内挿管を要するのは1%未満と報告されている[4]。
- ⚠要医師確認: 上記カットオフの出典[3][4]は医師個人コラムと単一施設の症例報告であり一次資料としては弱い。国際的に広く用いられるWestley分類(MDCalc/CPS等、原著: Westley CR, et al. Am J Dis Child. 1978;132:484-487)では中等症3〜5点/重症6〜11点/呼吸不全切迫12点以上とされ、本文のカットオフとは6〜7点の扱いが異なる。社内採用基準を岡本が確定するまでは、6〜7点を安易に「中等症・様子見」と判断しないこと[12][13][14]。
病型(鑑別を含む)[6]
- ウイルス性クループ(多くはパラインフルエンザウイルス、次いでRSウイルス・アデノウイルス・インフルエンザウイルス、新型コロナウイルスの報告も海外である): 最も頻度が高く、多くは軽症だが興奮・啼泣で急激に悪化し得る。
- 痙性クループ(spasmodic croup): 夜間に急性発症することが多い。重症例では嗄声・著明な努力呼吸(陥没呼吸)・呼吸苦を呈する。アレルギーとの関連が示唆されている。
- (除外すべき重症疾患として)急性喉頭蓋炎、細菌性気管炎 — 頻度は低いが急速に増悪し無治療では生命予後不良なため必ず鑑別する。
実務上の分岐点: 安静時に吸気性喘鳴が聴取されるかどうかが、薬物治療(アドレナリン吸入・デキサメタゾン)の適応を判断する目安となる[1]。
3. 検査
- 必要:
- SpO2モニタリング(低酸素・切迫所見がある場合)。
- バイタルサイン評価(呼吸数・脈拍・意識状態)。
- 不要・過剰になりがち:
- 頸部正面X線(ペンシルサイン確認)・側面レントゲンは、典型的なクループでは診断に必須ではない(臨床診断が原則)[1]。
- 血液検査・迅速抗原検査は診断のための日常検査としては不要。
- 異物誤飲や細菌性疾患が疑われる非典型例でのみ画像検査を考慮する(実施する場合も、検査のために気道を刺激する体位・啼泣を招かないこと。急性喉頭蓋炎疑い時は検査より気道確保を優先する)[1][6]。
4. 治療
- 第一選択(安静時吸気性喘鳴がある場合に適応)[1][2][6]:
- デキサメタゾン内服: 体重換算の考え方として0.15〜0.6mg/kg/回・単回投与という報告があり、国内の小児呼吸器感染症診療ガイドラインでは中等症・重症の喉頭気管支炎(仮性クループ)に対して0.15mg/kg単回経口投与を推奨している[2]。効果発現は投与後30分〜2時間、効果持続は24〜48時間とされる。軽症では0.15mg/kgと0.6mg/kgで効果差を認めないが、中等症以上では効果に差があるとの報告がある[2]。国内ではデキサメタゾンエリキシル(0.1mg/mL)が使用されることが多く、体重が大きい場合は投与量(mL)が増え製剤中エタノール含有(5%)にも留意が必要とされる[2]。
> ⚠要医師確認: 本文は国内2022GLに忠実に適応を「安静時吸気性喘鳴あり(中等症・重症)」に限定しているが、NICE CKS・RCH Melbourne・Cochraneレビューは軽症を含む診断された全てのクループ児への単回投与を推奨する方向にある(再受診率・入院率減少のエビデンス、有害事象は少ない)[15][16][17]。軽症例への投与拡大を社内方針とするかは岡本が判断する。
- アドレナリン吸入(中等症・重症): 国内の小児呼吸器感染症診療ガイドラインでは中等症・重症の喉頭気管支炎に対しアドレナリン吸入を推奨している[2]。
> ⚠要医師確認・用量表現を一次資料で確認済み修正: 孫引き元では「体重換算0.01mL/kg」「添付文書上は1回投与量0.3mL/kg以内」という体重換算表現が併存していたが、採用製剤(ボスミン外用液0.1%)の添付文書をPMDA情報で直接確認したところ、体重換算(mg/kgやmL/kg)の規定は一切なく、1回の投与量はアドレナリンとして0.3mg(0.3mL)以内という固定上限である[18]。国内のクループ診療で行われる「0.01mL/kg」等の体重換算運用は適応外使用の慣行であり、添付文書の絶対上限0.3mLを超えてはならない。国際標準(ラセミック体2.25% 0.05mL/kg 最大0.5mL、L型1:1000 0.5mL/kg 最大5mLなど)は桁が異なるため混同しないこと[19]。各施設として固定量運用にするか体重換算運用にするか、上限の置き方は岡本が最終決定する。
- 使用量の考え方(0.1%L型アドレナリンを生理食塩水で希釈しネブライザー投与)は上記の絶対上限0.3mL以内に収める前提で施設プロトコルを確定する。
効果発現は10〜30分、効果持続は概ね2時間程度とされる[6]。
⚠要医師確認: 再投与間隔について、添付文書は「2〜5分経過して効果不十分でももう一度吸入するのが限度で、続けて吸入する場合は少なくとも4〜6時間の間隔を空ける」ことを不整脈・心停止防止の観点から規定している[18]。従来「30分以上の間隔で再投与可能[6]」としていたのは、クループに対する適応外使用の実臨床(効果減弱・約2時間、reboundを踏まえた運用)に基づく二次資料の記載であり、添付文書の安全域(4〜6時間)とは乖離がある。この乖離を認識したうえで施設としての再投与間隔を岡本が確定する。
- 第二選択・無効時:
- 酸素投与(低酸素がある場合)。
- 切迫する気道閉塞徴候(1章のレッドフラグ)があれば気道確保の準備を並行して進める。気管内挿管の適応となり得るサイン: 呼吸音の消失、意識レベルの低下、チアノーゼの出現、著明な陥没呼吸、発熱によらない頻脈、呼吸筋疲労[5]。
- (参考知見)デキサメタゾン投与後の効果発現までの補助療法として、屋外の冷気(10℃未満)に30分曝露することで軽症〜中等症のクループ症状が改善したとするRCTが報告されている(2023年)。本邦での標準治療としての位置づけは確立していない参考情報[6]。
- やってはいけない/非推奨:
- 抗菌薬投与(クループ症候群の大部分はウイルス性であり抗菌薬の適応はない。ただし急性喉頭蓋炎が疑われる場合は入院の上で静注抗菌薬が必要)[1]。
- 加湿空気の吸入(有効性を支持するエビデンスはないとされる)[1]。
- 診察時に児を啼泣させる、舌圧子で喉頭を刺激する(気道閉塞症状の増悪リスク。1章参照)[1]。
- 鎮静薬・オピオイド系鎮咳薬の投与(呼吸窮迫のある児への鎮静は代償性の努力呼吸・興奮を抑制し、呼吸抑制・意識低下により気道閉塞を悪化させ得る)[20]。
- 市販の総合感冒薬・抗ヒスタミン薬含有製剤(乳幼児には有効性のエビデンスがなく、眠気による危険性が指摘されている)[20][21]。
5. 再診・帰宅指導・保護者説明
- 再受診すべきサイン(保護者に伝える)[1]:
- 努力呼吸・起坐呼吸が出現したとき。
- 安静にしていても呼吸が苦しそうなとき、症状が今より悪化したとき。
- 水分がとれない、活気がない、呼びかけへの反応が乏しいとき。
- クループは夜間に悪化しやすいため、自宅では夜間の様子を特によく観察するよう伝える[1]。
- 経過の見通し: 多くは数日から1週間程度で自然軽快する[1][6]。ウイルス性クループ・痙性クループは一般に予後良好[6]。
- アドレナリン吸入後の観察(reboundの注意): アドレナリン吸入による症状改善は一過性であり、効果が切れた後に症状が再燃(rebound)するリスクがあるため、帰宅後の悪化に注意が必要である[6]。アドレナリン吸入を行った場合は、社内で一定時間の経過観察を行い、症状の再燃がないことを確認したうえで帰宅可否を判断する。
⚠要医師確認: 具体的な観察時間の数値は一次ガイドラインに明記された基準を確認できていない。社内基準が確定するまでの暫定運用として、症状再燃なしを確認できるまで最低3〜4時間、かつスコアがベースラインに戻ったことを再評価してから帰宅判断する保守的デフォルトを置く(6章「要確認」と紐づけ)[6]。
- 紹介・入院の閾値:
- Westleyスコアで中等症(3〜7点)以上を入院の目安とし、重症(8点以上)では気管内挿管も考慮する[4]。
- 1章のレッドフラグ(急性喉頭蓋炎疑い、切迫する気道閉塞徴候、SpO2低下、意識障害)に該当する場合は、社内での経過観察に固執せず速やかに上位施設・気道確保が可能な体制への連携を判断する。
- ⚠要医師確認: 生後6ヶ月未満の乳児、または挿管歴・上気道狭窄の基礎疾患がある児は気道径が小さく急速に増悪しやすい独立したリスク因子であり、Westleyスコアが低くても入院・慎重な経過観察の閾値を下げることを検討する[9]。
- 反復するクループ(recurrent croup)、6ヶ月未満または学童期以降(6歳以上)での初発、症状が1週間以上遷延する非典型例は、喉頭軟化症・声門下狭窄・血管輪などの器質的気道疾患の除外のため耳鼻咽喉科へ紹介する[22]。
6. 社内ローカルルール(各施設での運用)
- 要確認(採用しているアドレナリン製剤・デキサメタゾン製剤〈エリキシルの濃度・在庫〉、アドレナリン吸入の投与量プロトコル〈固定量か体重換算か・上限〉、再投与間隔の社内基準、アドレナリン吸入後の社内観察時間の社内基準、耳鼻咽喉科・麻酔科への緊急連携経路、当直帯での急性喉頭蓋炎疑い例の気道確保体制、上位施設への紹介先・連絡手順)。冒頭「医師確認事項(要・岡本判断)」を参照。
7. 出典
- 厚生労働科学研究(宮入班)「抗微生物薬適正使用の手引きの改正内容(たたき台)」クループ症候群の項. https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/shiryo2_2.pdf (2026年7月アクセス確認)
- 小児呼吸器感染症診療ガイドライン作成委員会(日本小児呼吸器学会・日本小児感染症学会)『小児呼吸器感染症診療ガイドライン2022』CQ2(アドレナリン吸入)・CQ3(ステロイド投与). 一次資料は書籍(協和企画刊)のため、CQ内容の要約引用元として: つだ小児科クリニック「小児呼吸器感染症診療ガイドライン2022のCQ.」 https://tsudashonika.com/disease-cat/respiratory/child-respiratory-infections-guideline/ (2026年7月アクセス確認、原著の直接確認が望ましい)
- 日本医事新報社「クループ症候群[私の治療]」(Westleyクループスコアの点数配分). https://www.jmedj.co.jp/blogs/product/product_23811 (2026年7月アクセス確認)
- 原佑太朗ほか「気管内挿管を要した重症クループ症候群の1例」仙台市立病院医学雑誌(Westley croup score表、気管内挿管の適応、第217回日本小児科学会宮城地方会2014年発表). https://hospital.city.sendai.jp/pdf/p053-056%2035.pdf (2026年7月アクセス確認)
- 同上4(気管内挿管の適応、引用元: Fleisher G. Infectious disease emergencies. Textbook of Pediatric Emergency Medicine, 5th ed, 2006, p783-851)
- 今日の臨床サポート(エルゼビア・ジャパン)「クループ症候群(小児科)」黒澤照喜(両国キッズクリニック)著/絹巻暁子(東京大学医学部小児科学教室)監修、著者校正/監修レビュー済2026/04/22。参考ガイドライン: 日本小児呼吸器学会『小児の咳嗽診療ガイドライン2025』、日本小児呼吸器学会・日本小児感染症学会『小児呼吸器感染症診療ガイドライン2022』. https://clinicalsup.jp/jpoc/contentpage.aspx?diseaseid=1583 (2026年7月アクセス確認。本文後半は契約者限定のため、無料閲覧範囲+検索結果スニペットの範囲での引用)
- MSDマニュアル プロフェッショナル版「Table: 喉頭蓋炎とクループの鑑別」. https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/multimedia/table/喉頭蓋炎とクループの鑑別 (2026年7月アクセス確認)
- JUCM "Acute Stridor in Children". https://www.jucm.com/acute-stridor-children/ (2026年7月アクセス確認)
- StatPearls "Stridor in Children" (NBK525995). https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK525995/ (2026年7月アクセス確認)
- EMRA "Barking Up the Wrong Tree: Not all Stridor is Croup". https://www.emra.org/emresident/article/barking-up-the-wrong-tree-not-all-stridor-is-croup (2026年7月アクセス確認)
- AMBOSS "Airway obstruction". https://www.amboss.com/us/knowledge/airway-obstruction (2026年7月アクセス確認、要契約者確認)
- MDCalc "Westley Croup Score". https://www.mdcalc.com/calc/677/westley-croup-score (2026年7月アクセス確認)
- CPS "Acute management of croup in the emergency department". https://cps.ca/en/documents/position/acute-management-of-croup (2026年7月アクセス確認)
- Westley CR, et al. "Nebulized racemic epinephrine by IPPB for the treatment of croup." Am J Dis Child. 1978;132(5):484-487.(原著論文。本ファイルでは孫引きのみで原文未確認)
- NICE CKS "Croup" guidance(2026年7月時点の検索結果に基づく要約。原文の直接確認が望ましい)
- RCH Melbourne Clinical Practice Guidelines: "Croup (Laryngotracheobronchitis)". https://www.rch.org.au/clinicalguide/guideline_index/croup_laryngotracheobronchitis/ (2026年7月アクセス確認)
- Cochrane "Glucocorticoids for croup in children" (CD001955). https://www.cochrane.org/evidence/CD001955_glucocorticoids-croup-children (2026年7月アクセス確認)
- ボスミン外用液0.1%添付文書(第一三共株式会社)、PMDA医薬品医療機器情報検索. https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/1_2451700Q1032_1_09 (2026年7月WebSearchで用法用量記載を確認:気管支痙攣の緩解に対し1回0.3mg以内・体重換算規定なし・反復投与は4〜6時間以上の間隔)
- droracle.ai racemic epinephrine dosing summary(国際標準の参考値。一次資料での直接確認が望ましい)
- Pharmaceutical Journal "Croup: diagnosis and management". https://pharmaceutical-journal.com/article/ld/croup-diagnosis-and-management (2026年7月アクセス確認)
- Mayo Clinic "Croup". https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/croup/diagnosis-treatment/drc-20350354 (2026年7月アクセス確認)
- StatPearls "Laryngotracheobronchitis" (NBK519531). https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK519531/ (2026年7月アクセス確認)
※ 点数・GLは改定される。運用前に最新版を確認。出典2(デキサメタゾン0.15mg/kg等の中核用量)は『小児呼吸器感染症診療ガイドライン2022』原著書籍でなくクリニックブログの二次要約に依拠しており、運用開始前に原著CQ2・CQ3を岡本が直接確認することが望ましい。
検証・修正ログ(2026-07-30)
敵対的検証(05.json、16所見)を反映。主な変更:
- アドレナリン吸入の用量記載を修正: 「添付文書上1回投与量0.3mL/kg以内」という誤記(体重換算規定はない)を、PMDA添付文書で直接確認した正しい内容(1回0.3mg/0.3mL以内の固定上限、体重換算規定なし)に修正。同時に再投与間隔「30分以上」と添付文書規定「4〜6時間」の乖離を明示。いずれも施設運用の最終決定は岡本の要確認事項とした。
- 見逃すと窒息死しうる鑑別を追加: アナフィラキシー、咽後膿瘍・扁桃周囲膿瘍、気道異物の判断分岐を1章に追加。「喘鳴・呼吸音が静かになる=改善ではなく気道閉塞進行のサイン」という警告を追加。
- 禁忌を追加: 鎮静薬・オピオイド系鎮咳薬、市販の総合感冒薬・抗ヒスタミン薬含有製剤を「やってはいけない/非推奨」に追加。
- 国際標準との差分を注記: Westleyスコアの重症度カットオフ、デキサメタゾンの適応範囲(軽症を含む全例投与への潮流)について国内GLとの差分を明示し、岡本の社内方針決定待ちとした。
- 紹介・入院閾値を補強: 生後6ヶ月未満・基礎疾患のある児のリスク因子、反復クループ・非典型例の耳鼻科紹介基準を5章に追加。
- 残る要確認点: 冒頭「医師確認事項(要・岡本判断)」7項目(アドレナリン投与量プロトコル、再投与間隔、Westleyカットオフ、デキサメタゾン適応拡大、6ヶ月未満の閾値、社内観察時間、中核用量の一次資料未確認)。いずれも本ファイルは「下書き(要・本人確認)」のまま。
06
急性細気管支炎(RSウイルス等)外来ワークフロー
- 区分: 外来編/疾患別ワークフロー
- 記録日: 2026-07-30
- 状態: 下書き(要・本人確認)
- 対象: 小児外来(AMPL)
⚠ 本ファイルはAIが文献ベースで起草した下書き。最終的な臨床判断は医師(岡本)が確認して確定する。用量は体重換算の「考え方」のみ記載し、個別患者値は書かない。
医師確認事項(要・岡本判断)
敵対的レビューで指摘され、AIが単独で確定できない論点。ここだけ見て判断できるよう集約。
- 緊急度の3層区分(0章フロー・1章レッドフラグ・5章再受診サイン): 無呼吸/チアノーゼ/意識レベル低下と、多呼吸/哺乳不良を同列の「入院・上位施設連携を検討」で括っていた点を3層(今すぐ救急要請/当日中受診/数日以内相談)に分けて追記した。この区分・文言・閾値が社内運用として妥当か確認要。
- 努力呼吸の「見かけ上の消失」を疲労徴候として明記(1章): 喘息のsilent chestと同型のトラップ。追記した注意書きの表現・強調の仕方(太字化)が現場の運用に合うか確認要。
- 鑑別診断の追加(2章): 先天性心疾患/心不全、気道異物、百日咳等の模倣疾患の除外項目を追加。社内での実際の除外プロトコル(検査の要否含む)と整合するか確認要。
- 国内RSVガイドラインの版: 引用していた2021年版は前版。2026年4月17日発行の改訂版『小児RSウイルス呼吸器感染症診療ガイドライン2026』(協和企画・日本小児呼吸器学会/日本新生児成育医学会)が既発行であることをWebSearchで確認したが、CQ3(ステロイド)・CQ4(β2刺激薬)・CQ5(抗菌薬)・高張食塩水の推奨内容が2021年版から変更されたか(10CQに再編された旨は確認できたが個別内容は原本未確認)は本ファイル作成時点で確認できていない。原本の取り寄せ・確認が必要。
- 予防医薬品の記載拡張(3章): パリビズマブのみの記述を、ニルセビマブ(ベイフォートス)・RSV母子免疫ワクチン(アブリスボ、2026年4月定期接種化)を含む形に拡張した。社内でどの予防法が導入されているか、既接種児のブレイクスルー感染時の鑑別実務は要確認。
- AAP 2014年版GLの現行性: 発行から約11年経過。AAP方針は通常5年でreaffirm/改訂/retireの見直しがかかるとされるが、本ファイル作成時点で最新のreaffirm状況を一次情報で確認できていない。AAP公式サイトでの現行性確認が必要。
- 生後90日未満・発熱児の重症細菌感染症(特にUTI)リスク(1章・6章): RSV陽性でも尿路感染症等の合併リスクが残る点を追記した。社内での画一的な尿検査要否の方針は未定義のため確認要。
0. 一目でわかるフロー
受診(鼻汁・咳嗽が先行し、その後喘鳴・多呼吸が出現。多くは2歳未満、ピークは生後2-6ヶ月)
→ レッドフラグ評価(緊急度を3層で判定)
①今すぐ救急要請/直接救急外来 → 無呼吸(既往含)・チアノーゼ・意識レベル低下/反応が乏しい・努力呼吸の急な「消失」(疲労徴候)
②当日中に受診・電話再評価 → SpO2低下疑い・哺乳不良/脱水徴候・高度陥没呼吸/多呼吸
③数日以内に相談 → 軽度の症状遷延
→ 重症度・病型の判定(病歴・身体所見中心。ただし先天性心疾患/心不全・気道異物・百日咳等の模倣疾患の除外を先に行う)
→ 検査(原則不要。SpO2測定のみ通常施行、画像・血液・迅速抗原検査はルーチン不要)
→ 治療(支持療法が基本:酸素・水分管理・鼻腔吸引。気管支拡張薬・ステロイド・抗菌薬は原則不要。市販の咳止め・総合感冒薬〈コデイン類含有〉は12歳未満禁忌)
→ 再診・帰宅指導(再受診サイン説明・緊急度3層で保護者に伝える)・入院/紹介基準の判断
1. レッドフラグ(見逃し厳禁)
⚠要医師確認: 以下の緊急度3層区分は敵対的レビューで指摘された「無呼吸・チアノーゼ」と「多呼吸・哺乳不良」が同列に並び緊急度が区別されていない問題への追記。文言・閾値の社内運用としての妥当性は岡本確認待ち(医師確認事項1)。
緊急度3層(保護者・当直スタッフ向けの対応区分)
- ①今すぐ救急要請(119)/直接救急外来へ: 無呼吸(既往含む)・チアノーゼ、意識レベル低下・呼びかけへの反応が乏しい、それまで目立っていた陥没呼吸・多呼吸がかえって減少し活気低下・顔色不良を伴う場合(下記「疲労徴候」)。
- ②当日中に受診・電話再評価: SpO2低下疑い、哺乳不良・脱水徴候、高度陥没呼吸・多呼吸。
- ③数日以内に相談: 軽度の症状遷延のみ。
以下、個別のレッドフラグ詳細。
- 無呼吸(既往を含む)・チアノーゼ: 細気管支炎は無呼吸から進行性の呼吸窮迫まで経過が多様である[1]。特に低月齢児・早産児では、無呼吸が典型的な喘鳴や陥没呼吸に先行し得る点に注意する[1]。
- ⚠要医師確認: 努力呼吸の見かけ上の「消失」=疲労徴候(医師確認事項2): それまで陥没呼吸・多呼吸が目立っていた児で、努力呼吸や呼吸数がかえって減少し、かつ活気低下・顔色不良・反応の乏しさを伴う場合は、呼吸筋疲労による呼吸不全・呼吸停止の前兆であり「改善」と誤認しない。喘息の重症発作における「サイレントチェスト」と同型の落とし穴である[1]。
- SpO2低下: 室内気でSpO2が90%を下回る、または持続する低酸素[1][3]。
- 哺乳不良・脱水徴候: 過去24時間の哺乳量が普段よりはっきり少ない、尿量減少、活気低下[1][4]。ある研究では、前日24時間の哺乳量が普段の50%未満であることがSpO2 95%未満と関連していたと報告されている[1]。
- 多呼吸・高度陥没呼吸・鼻翼呼吸・呻吟: 目安として呼吸数60〜70回/分以上は重症化のサインとされる(研究によっては一貫しないが、呼吸数70回/分以上〈tachypnea〉が重症化リスクと関連したとする報告がある)[1]。新生児・乳児の呼吸数の生理的上限(新生児30〜60回/分、乳児30〜40回/分。呼吸数60回/分以上は月齢によらず異常とされる)を踏まえ、これを明らかに超える頻呼吸は要注意[5]。
- 低月齢・早産児・基礎疾患: 生後12週未満、早産の既往、血行動態的に問題となる先天性心疾患、慢性肺疾患(気管支肺異形成症)、免疫不全は重症化リスク因子として評価する[1]。無呼吸モニタリングの要否を判断する実務上の目安としては、正期産児で生後1ヶ月未満、早産児で修正週数48週未満、またはこれまでに無呼吸エピソードがある場合がより具体的な高リスク閾値として文献にあるが、この閾値は米国のデータに基づくものであり、国内・社内での適用は要確認[1]。
- ぐったり・意識レベル低下・活気不良。
- ⚠要医師確認: 生後90日未満・発熱を伴う場合の重症細菌感染症リスク(医師確認事項7): RSV等が陽性であっても、生後90日未満(特に60日未満)で発熱を伴う児では重症細菌感染症(特に尿路感染症、報告により0.8〜3.1%)の合併リスクが残る。発熱を機械的に「ウイルス性細気管支炎の随伴症状」として片付けない[7][8]。画一的な尿検査の要否は社内方針として要確認。
⚠ 低月齢児・早産児では「典型的な喘鳴が目立たず無呼吸だけが前景に立つ」非典型的な経過を取り得るため、月齢が若いだけで「軽症そうに見える」と判断しない。
2. 重症度・病型の判定
⚠要医師確認: 以下の「除外すべき鑑別」は敵対的レビューで指摘された模倣疾患見落としリスクへの追記。社内の実際の除外プロトコル(検査要否含む)との整合は岡本確認待ち(医師確認事項3)。
- ⚠要医師確認: 除外すべき鑑別(見逃し厳禁): 初発の喘鳴・多呼吸を反射的に「細気管支炎」と診断しない。以下の所見があれば支持療法のみでの経過観察に進まず再評価する[1][8]。
- 肝腫大・ギャロップ・心雑音・成長不良を伴う → 先天性心疾患/心不全の初発・増悪を疑う。
- 先行するかぜ症状なく突然発症、左右差のある呼吸音 → 気道異物を疑う。
- 発作性の咳嗽・無呼吸が前景で低月齢かつワクチン未接種 → 百日咳を疑う。(鑑別出典[9])
- 診断は病歴・身体診察で行い、画像・検査所見をルーチンに追加しない(AAP Key Action Statement 1a・1c、Evidence Quality B、Strong〜Moderate Recommendation)[1]。
- 重症度の目安(病歴・身体所見に基づく。妥当性が確立した単一の重症度スコアは存在しない点に注意[1])
- 軽症: 鼻汁・咳嗽が主体、喘鳴や陥没呼吸があっても軽度、哺乳良好、SpO2は室内気で正常域。
- 中等症: 喘鳴・軽〜中等度の陥没呼吸あり、哺乳量がやや低下、SpO2が90〜94%程度で変動することがある。
- 重症: 高度陥没呼吸・鼻翼呼吸・呻吟、呼吸数60〜70回/分以上の多呼吸、チアノーゼ、無呼吸、SpO2が90%を下回る、哺乳不能・経口摂取困難[1][4]。
- 参考: 年齢別の呼吸数の生理的範囲(新生児30〜60、乳児30〜40、幼児20〜30回/分。呼吸数60回/分以上・脈拍160/分以上はいつでも異常)[5]。
- 典型的な経過: ウイルス性の急性気道感染症状(鼻汁・咳嗽)が先行し、その後2〜3日程度で下気道症状(喘鳴・多呼吸)が悪化、通常は病日3〜5日目頃にピークを迎え、その後軽快に向かう[4]。
- 主な原因ウイルス: RSウイルスが最多で、ヒトメタニューモウイルス・ライノウイルス・パラインフルエンザウイルス・アデノウイルス・インフルエンザウイルス等も原因となる。生後2年以内にほぼ全員がRSウイルスに感染し、うち最大40%が下気道感染を来すとされる[1]。国内では例年の流行時期が変化し、近年は夏季(7月頃)にピークを迎える年が続いている点に留意する[実務上の傾向。次回確認時に最新の流行状況を要確認]。
3. 検査
- 必要:
- パルスオキシメトリによるSpO2評価(臨床評価の一部として)。ただし、酸素投与を要さない児での連続モニタリングは必須ではなく、間欠的な評価で足りるとされる(Evidence Quality D、Weak Recommendation)[1]。
- 不要・過剰になりがち:
- 胸部X線のルーチン施行: 多くの細気管支炎児で異常影を認めるが、重症度と相関するというエビデンスは不十分。無気肺像を細菌性合併症と誤認し、不要な抗菌薬投与につながることがある[1]。ICU入院を要するほど呼吸努力が高度な場合や気道合併症(気胸等)を疑う場合に限り施行を検討する[1]。
- 血液検査(血算等)のルーチン施行、迅速ウイルス抗原検査のルーチン施行: 診断・管理方針の決定に日常的には不要(AAP Evidence Quality B、Moderate Recommendation)[1]。⚠要医師確認(医師確認事項5): パリビズマブ/ニルセビマブ(ベイフォートス)既接種児、または母親がRSV母子免疫ワクチン(アブリスボ、2026年4月定期接種化)接種済みの児が入院した場合の原因鑑別(ブレイクスルー感染か他病原体か)など、限定的な場面でのみ考慮する[1][10][11]。社内でどの予防法が導入されているかは6章参照。
4. 治療
- 第一選択(支持療法が基本。個別の体重換算値はここでは記載せず、考え方のみ):
- 酸素投与: room airでSpO2が90%を上回っていれば、酸素投与を必須としなくてよい(Evidence Quality D、Weak Recommendation)[1]。SpO2 90%を目標値とした場合と94%を目標値とした場合とで、安全性・臨床的アウトカム(咳嗽消失までの期間等)は同等であったとする二重盲検同等性試験(BIDS試験、Lancet 2015、対象:生後6週〜12ヶ月・入院児615例)が報告されている[3]。
- 水分・栄養管理: 経口摂取が困難な場合は経鼻胃管または静脈路での補液を行う。輸液は等張液を基本とし、低張液は抗利尿ホルモン分泌不適合様の病態を背景とした低ナトリウム血症のリスクを高めるため避ける(Evidence Quality X、Strong Recommendation)[1]。呼吸数がおおむね60〜70回/分を超えると哺乳中の呼吸との協調が障害され誤嚥リスクが上がるとされ、経口摂取の可否判断の目安となる[1]。
- 鼻腔吸引・体位・加湿等の一般的な支持療法[4]。ただし、頻回・深い鼻咽頭吸引はかえって入院期間の延長と関連したとする報告があり、必要時のみ浅い吸引にとどめる[1]。
- 母乳栄養の児は、罹病率低下のため生後6ヶ月まで母乳栄養継続を推奨する(Evidence Quality B、Moderate Recommendation)[1]。
- 第二選択・無効時:
- 3%高張食塩水吸入: 入院患児に対しては投与を選択してよいとされる(Evidence Quality B、Weak Recommendation〈対照試験の結果が一貫しないことに基づく〉)が、救急外来単独での投与は推奨されない(Evidence Quality B、Moderate Recommendation)[1]。国内ガイドラインでの明示的な推奨の有無は本ファイル作成時点で確認できておらず要確認。
- 高流量鼻カニューレ酸素(High-flow nasal cannula): 挿管率低下との観察研究報告があるが、無作為化比較試験によるエビデンスは限定的であり、現時点でルーチン使用を推奨する段階にはない[1]。
⚠要医師確認(医師確認事項4): 以下[2]の引用元は『小児RSウイルス感染症診療ガイドライン2021』(前版)。2026年4月17日発行の改訂版『小児RSウイルス呼吸器感染症診療ガイドライン2026』(協和企画・日本小児呼吸器学会/日本新生児成育医学会、10CQに再編)が既発行であることはWebSearchで確認したが、CQ3・CQ4・CQ5・高張食塩水の推奨内容が変更されたか原本未確認。原本の取り寄せ・確認が必要。また出典[2]は原典ではなくクリニックブログ経由の孫引きである点にも留意。
- やってはいけない/非推奨(エビデンスに基づき投与しないことを推奨):
- 気管支拡張薬(アルブテロール/サルブタモール吸入): 投与しないことを推奨(Evidence Quality B、Strong Recommendation)[1]。国内のRSウイルス呼吸器感染症診療ガイドライン2021(要確認: 2026年版で変更の有無)でも、β2刺激薬は呼吸障害や重症度スコア・入院率・入院期間を改善しないためルーチンに使用しないことを推奨している(CQ4)[2]。
- アドレナリン吸入: 投与しないことを推奨(Evidence Quality B、Strong Recommendation)[1]。
- 全身性ステロイド: あらゆる場面で健康な乳児に投与しないことを推奨(Evidence Quality A、Strong Recommendation)[1]。国内ガイドラインでも、ステロイドの全身投与・吸入いずれについても有用性を示すデータはないとされる(CQ3、要確認: 2026年版で変更の有無)[2]。
- 抗菌薬: 二次的な細菌感染の合併、または強い疑いがない限り投与しない(Evidence Quality B、Strong Recommendation)[1]。ウイルス感染が主体であり、抗菌薬投与は原則的に不要である(CQ5、要確認: 2026年版で変更の有無)[2]。
- 胸部理学療法(バイブレーション・パーカッション等): 推奨しない(Evidence Quality B、Moderate Recommendation)[1]。
- ルーチンの深い鼻咽頭吸引: 前項のとおり入院期間の延長と関連したとの報告があり、ルーチン施行は避ける[1]。
- 市販の総合感冒薬・咳止め(コデインリン酸塩水和物・ジヒドロコデインリン酸塩を含む製剤): 12歳未満に禁忌(2019年7月9日付で添付文書改訂)。呼吸抑制による死亡例が海外で報告されている。細気管支炎後は咳嗽が数週間残ることがあり保護者が市販薬を使いたがる場面が起こり得るため、説明時に明示的に注意喚起する[12]。
5. 再診・帰宅指導・保護者説明
⚠要医師確認: 再受診サインの緊急度区分は医師確認事項1と同一論点。表現・線引きの妥当性は岡本確認待ち。
- 再受診すべきサイン(緊急度を分けて保護者に伝える):
- 【今すぐ救急車を呼ぶ/今すぐ受診】: 呼吸が止まって見える瞬間があった(無呼吸様エピソード)。顔色が悪い・唇や皮膚の色が悪い(チアノーゼ)。ぐったりしている、呼びかけへの反応が乏しい。それまで苦しそうだったのに急に呼吸が落ち着いたように見えて、かつぐったりしている・顔色が悪い(疲労による呼吸停止の前兆のことがある)。
- 【数時間〜当日中に連絡・受診】: 呼吸がはっきり速い・苦しそう(陥没呼吸の増悪、肩呼吸、鼻翼呼吸)。おっぱい・ミルクの量が明らかに減った、おしっこの回数が減った。
- 【数日以内に相談】: 症状が長引く、咳が強くなってきた等の軽度な変化。
- 経過の見通し: 症状は通常発症後2〜3日で悪化のピークを迎え、その後徐々に軽快する。咳嗽は治癒後も2〜3週間程度残ることがある[1][4]。
- 紹介・入院の閾値(1章のレッドフラグと対応):
- 低月齢児(生後12週未満、特に無呼吸モニタリングの観点では正期産児で生後1ヶ月未満・早産児で修正週数48週未満)や早産児での無呼吸(既往含む)[1]。
- SpO2が90%を下回る、または持続する低酸素[1][3]。
- 哺乳不良・脱水徴候(経口摂取困難で経鼻胃管/静脈路での補液を要する場合を含む)[1]。
- 高度陥没呼吸・呼吸数60〜70回/分以上の多呼吸、チアノーゼ[1]。
- 血行動態的に問題となる先天性心疾患、慢性肺疾患(気管支肺異形成症)、免疫不全等の基礎疾患の合併[1]。
- 家族の観察・対応能力(自宅で経過を見られるか、再受診できる体制があるか)も入院要否の判断に含める[1]。
6. 社内ローカルルール(各施設での運用)
- 要確認(入院基準の具体的な数値閾値〈SpO2・呼吸数・哺乳量低下の程度〉、酸素投与の開始・中止基準と運用〈経鼻カニューレ濃度・パルスオキシメトリ連続 or 間欠モニタリングの社内方針〉、高張食塩水吸入の採用有無、ハイフローネーザルカニューレの適応と導入体制、パリビズマブ/ニルセビマブ/RSV母子免疫ワクチンいずれの予防法が導入されているか〈⚠要医師確認・医師確認事項5〉、既接種児が受診・入院した場合の連絡・確認体制、当直帯での低月齢児無呼吸疑い例の対応・上位施設〈NICU/PICU〉への連携経路、生後90日未満・発熱を伴う細気管支炎児への尿検査等スクリーニングの社内方針〈⚠要医師確認・医師確認事項7〉)。
7. 出典
- Ralston SL, Lieberthal AS, Meissner HC, et al. Clinical Practice Guideline: The Diagnosis, Management, and Prevention of Bronchiolitis. Pediatrics. 2014;134(5):e1474-e1502. https://publications.aap.org/pediatrics/article/134/5/e1474/75848/Clinical-Practice-Guideline-The-Diagnosis (PMID: 25349312, https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25349312/ )(2026年7月アクセス確認。全文PDFを直接確認し、Key Action Statement 1a〜9・関連本文〈重症度評価、無呼吸、酸素飽和度、水分・栄養管理〉を引用)
- 日本小児呼吸器学会・日本新生児成育医学会編『小児RSウイルス感染症診療ガイドライン2021』CQ3(ステロイド)・CQ4(β2刺激薬)・CQ5(抗菌薬). Mindsガイドラインライブラリでの要約: https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00663/ 。CQ内容の要約引用元: つだ小児科クリニック「小児RSウイルス感染症診療ガイドライン2021のCQ.」https://tsudashonika.com/disease-cat/rsvirus-guideline/ (いずれも2026年7月アクセス確認。原著〈協和企画刊の書籍〉の直接確認が望ましい)
- Cunningham S, Rodriguez A, Adams T, et al; Bronchiolitis of Infancy Discharge Study (BIDS) group. Oxygen saturation targets in infants with bronchiolitis (BIDS): a double-blind, randomised, equivalence trial. Lancet. 2015;386(9998):1041-1048. doi:10.1016/S0140-6736(15)00163-4(PMID: 26382998)。日本語要約: ケアネット「乳児の細気管支炎、SpO2値90%でもアウトカム良好/Lancet」https://www.carenet.com/news/journal/carenet/40708 (2026年7月アクセス確認)
- MSDマニュアル プロフェッショナル版「細気管支炎」(19. 小児科/幼児における呼吸器疾患). https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/19-%E5%B0%8F%E5%85%90%E7%A7%91/%E5%B9%BC%E5%85%90%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E5%91%BC%E5%90%B8%E5%99%A8%E7%96%BE%E6%82%A3/%E7%B4%B0%E6%B0%97%E7%AE%A1%E6%94%AF%E7%82%8E (2026年7月アクセス確認)
- 神奈川県立こども医療センター 循環器内科 柳貞光「こどものフィジカルアセスメント〈医療的ケアを必要なこどもへの対応〉」(退院在宅支援 2022年研修会資料)Vital signsスライド(年齢別の呼吸数・脈拍・血圧の目安値). https://kcmc.kanagawa-pho.jp/data/media/08_taiinzaitaku/2022kennshuukai/2022.2.1.pdf (2026年7月アクセス確認。社内研修資料であり一次ガイドラインではない参考値である点に留意)
- (参考・全文未確認)プライマリケア(シスメックス)「急性細気管支炎(RSウイルス含む)」における国内実務上の記載〈軽症以外は原則入院、酸素投与・加湿・輸液が基本、呼吸数60回/分以上で重症化〉. https://primary-care.sysmex.co.jp/speed-search/disease/index.cgi?c=disease-2&pk=345 (2026年7月アクセス確認。原典は「臨床医マニュアル第5版」とされ未確認)
- Levine DA, Platt SL, Dayan PS, et al. Risk of Serious Bacterial Infection in Young Febrile Infants With Respiratory Syncytial Virus Infections. Pediatrics. 2004;113(6):1728-1734. https://publications.aap.org/pediatrics/article/113/6/1728/64325 (2026年7月アクセス確認。UTI合併率0.8〜3.1%の報告元)
- Occult serious bacterial infection in infants ≤3 months with bronchiolitis(2024年レビュー). https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC11350802/ (2026年7月アクセス確認)
- Medscape「Bronchiolitis Differential Diagnoses」(先天性心疾患・気道異物・百日咳等の鑑別). https://emedicine.medscape.com/article/961963-differential (2026年7月アクセス確認。二次資料・要原本確認)
- 日本小児科学会「日本におけるニルセビマブの使用に関するコンセンサスガイドライン」2025年8月31日改訂. https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20250831Beyfortus_GL.pdf (2026年7月アクセス確認)
- 2026年4月からのRSV母子免疫ワクチン(アブリスボ)定期接種化. 日本経済新聞「RSウイルスワクチン、2026年度から定期接種に 妊婦が対象」https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA1944N0Z11C25A1000000/ /日本小児科学会「2026年4月からの妊婦を対象としたRSウイルス母子免疫ワクチン(アブリスボ®筋注用)の定期接種化にあたって」https://www.jpeds.or.jp/society-activities/pediatric-medical-care/vaccination/opinion/post-155697.html (いずれも2026年7月アクセス確認)
- コデイン類・ジヒドロコデイン類の12歳未満禁忌化. 厚生労働省2019年7月9日付通知(添付文書改訂指示)。日経メディカル「コデイン類とトラマドールは12歳未満で禁忌」https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/trend/201907/561587.html /薬事日報 https://www.yakuji.co.jp/entry58865.html (2026年7月アクセス確認)
- 『小児RSウイルス呼吸器感染症診療ガイドライン2026』(協和企画、2026年4月17日発行、日本小児呼吸器学会・日本新生児成育医学会編、前版2021年からの改訂・10CQに再編). 協和企画プレスリリース https://www.kk-kyowa.co.jp/news/press_release/d20260417/ /薬事日報 https://www.yakuji.co.jp/entry134508.html (2026年7月アクセス確認。CQ個別内容〈β2刺激薬・ステロイド・抗菌薬・高張食塩水の推奨変更有無〉は原本未確認。原本取り寄せ必須)
※ 点数・GLは改定される。運用前に最新版を確認。
検証・修正ログ(2026-07-30)
敵対的レビュー(所見JSON: 06.json、8件)を反映した。
反映した主な変更(8件すべて反映済み):
- 緊急度3層区分(今すぐ救急要請/当日中受診/数日以内相談)を0章フロー・1章レッドフラグ・5章再受診サインに追記(critical、needs_physician=true)。
- 「努力呼吸の見かけ上の消失=疲労徴候」をsilent chestと同型の落とし穴として1章に追記(critical、needs_physician=true)。
- 国内RSVガイドラインが2021年版(前版)である旨を明記し、2026年4月17日発行の改訂版『小児RSウイルス呼吸器感染症診療ガイドライン2026』(10CQに再編)の存在をWebSearchで確認・出典[13]として追加。CQ個別内容の変更有無は原本未確認のため「要確認」の注記を残した(high、needs_physician=true)。
- 2章に「除外すべき鑑別(先天性心疾患/心不全・気道異物・百日咳)」を追加(high、needs_physician=true)。
- 4章の「やってはいけない」に市販の咳止め・総合感冒薬(コデイン類・ジヒドロコデイン類)の12歳未満禁忌を追加(high、needs_physician=falseにつき医師確認事項には含めず直接反映)。
- 3章・6章に予防医薬品の記載をパリビズマブのみからニルセビマブ(ベイフォートス)・RSV母子免疫ワクチン(アブリスボ、2026年4月定期接種化)に拡張。2025年8月改訂のニルセビマブコンセンサスGL、2026年4月の母子免疫ワクチン定期接種化をWebSearchで確認(medium、needs_physician=true)。
- AAP 2014年版GLの現行性(reaffirm状況)について、一次情報での確認ができていない旨を医師確認事項6として明記(medium、needs_physician=true)。
- 1章・6章に生後90日未満・発熱児の重症細菌感染症(特にUTI)リスクを追記(medium、needs_physician=true)。
残る要確認点(冒頭「医師確認事項」参照):
- 国内RSVガイドライン2026年版の原本確認(CQ3〜5・高張食塩水の推奨変更有無)。
- AAP 2014年版CPGの公式reaffirm状況。
- 緊急度3層区分・疲労徴候の注意書き・鑑別診断項目・予防医薬品記載・生後90日未満発熱時の運用の、社内実務としての妥当性(岡本確認待ち・7項目)。
状態は引き続き「下書き(要・本人確認)」。
07
気管支喘息(急性発作・外来対応)外来ワークフロー
- 区分: 外来編/疾患別ワークフロー
- 記録日: 2026-07-30
- 状態: 下書き(要・本人確認)
- 対象: 小児外来(AMPL)
⚠ 本ファイルはAIが文献ベースで起草した下書き。最終的な臨床判断は医師(岡本)が確認して確定する。用量は体重換算の「考え方」のみ記載し、個別患者値は書かない。
準拠GL: 小児気管支喘息治療・管理ガイドライン(JPGL)2023(日本小児アレルギー学会・気管支喘息委員会編、協和企画、2023年11月18日発刊。Mindsガイドラインライブラリ掲載)。急性増悪(発作)対応の章は第8章。ただし本ドラフトはJPGL2023の書籍本体(有料・全文非公開)を直接参照できておらず、発作強度判定表・治療フローの数値は、JPGL2017版の当該表を逐語引用した査読済み解説論文(手塚 2019、出典7-2)を主に用いて再構成した。JPGL2020/2023でも同じ章立て・表番号(第8章 表8-1=発作強度判定表)が踏襲されていることは岐阜県医師会資料・JPGL2023 web版の相互参照から確認できたが、2023版で数値そのものが改訂されていないかは書籍原本での確認が必要(詳細は7. 出典・末尾の注記)。
追記(2026-07-30・敵対的検証後): JPGL2023はCQ形式に再構成されており、二次情報(つだ小児科クリニックのCQ要約)によれば、全身性ステロイドに関するCQ10「入院患者全般への投与を推奨する強い根拠は存在しない(発作強度・改善度に応じ漫然投与せず必要十分な期間で使用、との提案)」、CQ11「急性増悪時の特定の経口ステロイド使用法(種類・用量・期間)は提案されない」、CQ12「急性増悪時のICS増量は提案されない」という記載がある可能性が高い。事実であれば、本ワークフローが4章で示す具体的数値(PSL 1〜2mg/kg/日等)はJPGL2023の正式な推奨ではなくJPGL2017由来の参考値という位置づけになる。二次情報のため書籍原本(第8章CQ9〜CQ12)での一次確認が必須(医師確認事項1参照)。
医師確認事項(要・岡本判断)
敵対的検証で洗い出された、AIが単独で確定できない論点。ここだけ見て判断できるよう集約する。
- JPGL2023でのステロイド推奨の強さ変更(要書籍原本確認・高優先度): 二次情報によればJPGL2023はCQ10〜12で「経口ステロイドの特定用法は提案しない」「入院患者全員への投与を推奨する強い根拠はない」「ICS増量は提案しない」としている可能性がある。本ワークフロー4章の具体的数値(PSL 1〜2mg/kg/日、最大60mg/日等)はJPGL2017由来の参考値であり、2023版での位置づけ(強い推奨/弱い提案/エビデンス不十分のいずれか)を書籍原本(第8章CQ9〜CQ12)で確認し、注記の書きぶりを確定してほしい。
- 喘鳴発作として治療する前提そのものの妥当性(安全性・最優先): 喘息の診断が未確定な急性喘鳴(初回喘鳴・突然発症・食事中/摂食直後の急な咳き込み、蕁麻疹・口唇腫脹随伴等)について、気道異物・アナフィラキシー・RSウイルス等の鑑別を同時に進める旨を1章・0章に追記した。社内での鑑別の運用(誰がいつ判断するか)は要確認。
- 家庭での救急車(119番)要請の明記: レッドフラグ出現時・治療反応「不良」時に「自家用車ではなく救急車を呼ぶ」ことを明記に追加した。社内の保護者指導文書・パンフレットの表現と整合するか確認してほしい。
- 硫酸マグネシウムの記載欠落: JPGL2017/2023系の資料体系には硫酸マグネシウムの記載が見当たらないが、国際標準(GINA等)では重症・治療抵抗例のアジュバントとして使われることがある。社内プロトコルとして採用するかは医師判断(書籍原本に記載があるかも要確認)。
- 入院閾値のリスク因子への「ICU入院・人工呼吸管理歴」明記: 5章のリスク因子列挙に「過去の重症発作でのICU入院・人工呼吸管理歴(near-fatal asthma)」を追加した。社内での運用(この既往がある場合に具体的にどう閾値を下げるか)は要確認。
0. 一目でわかるフロー
受診(主訴:喘鳴・呼吸困難・咳嗽増悪・啼泣時のゼーゼー等)
→ ⚠喘息の診断が未確定な場合は、発作強度に応じた治療と並行して
気道異物・アナフィラキシー・RSウイルス等の鑑別も同時に進める(1章参照)
→ レッドフラグ評価(silent chest・チアノーゼ・意識低下・SpO2持続低下・会話困難
→ 該当あれば発作強度に関わらず「大発作・呼吸不全」として直ちに酸素投与+上位対応
+自家用車を待たず救急車〈119番〉要請)
→ 発作強度判定(小発作/中発作/大発作/呼吸不全)
主要所見=意識・会話・起坐呼吸・喘鳴・陥没呼吸・チアノーゼ・SpO2(room air)
→ 検査(SpO2モニタリング必須。中発作以上で聴診・呼吸数実測、必要時血液ガス)
→ 治療(β2刺激薬吸入を反復 → 反応評価 → 不十分なら酸素+全身性ステロイド追加)
→ 反応評価(良好/不十分/不変・悪化)に基づき 帰宅 or 入院 の判断
→ 発作後:長期管理(吸入ステロイド薬等)の見直しと個別対応プランの説明
1. レッドフラグ(見逃し厳禁)
⚠要医師確認 喘鳴=喘息発作と決めつけない: 本ワークフローは喘息の診断が既についていることを前提に組んである。しかし小児では喘息の診断が未確定な急性喘鳴で受診することも少なくない。その場合は発作強度に応じた治療を行いながら、気道異物、アナフィラキシー、RSウイルス感染症など他の急性喘鳴をきたす疾患の鑑別を同時に進める(手塚2019 p.913「医療機関での対応」冒頭)。特に以下は喘息発作以外を積極的に疑うトリガーとして意識する。
- 突然の激しい咳き込みで発症(既往症状なし・食事中/摂食直後)→ 気道異物を疑う。
- 蕁麻疹・口唇/眼瞼腫脹の随伴、食物摂取直後の発症→ アナフィラキシーを疑う(エピネフリン投与を含む上位対応を優先)。
- 小発作への治療で十分に改善しない場合は、中発作への治療に移行するのと並行して他疾患の鑑別も考慮する(JPGL2023 web版)。
以下は「大発作」「呼吸不全」相当、または急速に呼吸不全へ進行しうるサイン。1つでも該当すれば発作強度の形式判定を待たずに酸素投与・上位対応(入院/救急搬送)を検討する。自家用車での来院を待たず救急車(119番)を要請する。
- 喘鳴の急激な減弱・消失(silent chest): 気流そのものが乏しくなっているサインで、「ゼーゼーが増えた」ときより「急に静かになった」ときの方が危険。JPGLの発作強度判定表でも呼吸不全の所見は喘鳴「減少または消失」とされる。
- チアノーゼ(口唇・爪床の色が白っぽい〜青〜紫色): 大発作以降で出現する所見。
- 意識レベルの低下・錯乱(ぼーっとしている、呼びかけに反応が乏しい)、または逆に過度の興奮・暴れる(大発作=興奮、呼吸不全=錯乱・低下、いずれも危険域)。
- 会話・啼泣が「一語区切り〜不能」または発語不能(文で話せる→句で区切る→一語区切り〜不能→不能、の順に重症化)。
- SpO2の持続低下(room airで≦91%は大発作相当の目安。酸素投与下でも95%以上を維持できない・低下し続ける場合はさらに重症)。ただし肺炎など他の低酸素化疾患の合併がないか常に確認する。
- 高度な陥没呼吸・シーソー呼吸・鼻翼呼吸、前かがみでないと呼吸できない(起坐呼吸の増悪)。
- 乳幼児では「強い喘息発作のサイン」14項目(激しい咳嗽・著明な喘鳴/時に減弱・胸骨上窩・鎖骨上窩・肋間の陥没・頻呼吸・鼻翼呼吸・シーソー呼吸・起坐呼吸・不眠・チアノーゼ・呻吟・頻脈・不機嫌・興奮して泣き叫ぶ・意識レベル低下)のいずれかがあれば、保護者にも「直ちに受診(自家用車ではなく救急車=119番を要請)」を指導する対象。
- 呼吸数や脈拍の「不定」化(頻呼吸→減少・不規則、頻脈→徐脈への転換)は呼吸停止に近い危険信号として見逃さない。
2. 重症度・病型の判定
JPGLの発作強度判定は、主要所見(意識状態・努力呼吸を評価する症状・身体所見・SpO2)のうち最も重度のもので判定する。参考所見(呼気延長・呼吸数・PEF・PaCO2)は補助的に用いる。
| 項目 |
小発作 |
中発作 |
大発作 |
呼吸不全 |
| 興奮状況 |
平静 |
平静 |
興奮 |
錯乱 |
| 意識 |
清明 |
清明 |
やや低下 |
低下 |
| 会話 |
文で話す |
句で区切る |
一語区切り〜不能 |
不能 |
| 起坐呼吸 |
横になれる |
座位を好む |
前かがみになる |
(記載なし) |
| 喘鳴 |
軽度 |
軽度 |
著明 |
減少または消失 |
| 陥没呼吸 |
なし〜軽度 |
なし〜軽度 |
著明 |
(記載なし) |
| チアノーゼ |
なし |
なし |
あり |
(記載なし) |
| SpO2(room air) |
≧96% |
92〜95% |
≦91% |
(記載なし・実測困難なことが多い) |
| 呼気延長 |
吸気の2倍未満 |
吸気の2倍未満 |
吸気の2倍以上 |
吸気の2倍以上 |
| 呼吸数(年齢別標準との比較) |
正常〜軽度増加 |
正常〜軽度増加 |
増加 |
不定 |
| PEF(吸入前) |
>60% |
30〜60% |
<30% |
測定不能 |
| PEF(吸入後) |
>80% |
50〜80% |
<50% |
測定不能 |
| PaCO2 |
<41mmHg |
<41mmHg |
41〜60mmHg |
>60mmHg |
年齢別標準呼吸数の目安(回/分): 0〜1歳 30〜60/1〜3歳 20〜40/3〜6歳 20〜30/6〜15歳 15〜30/15歳〜 10〜30。
補足:
- SpO2はJPGLでも「非侵襲的・リアルタイム・連続測定可能」な点で発作強度判定に有用とされる一方、血液中の二酸化炭素は評価できないことに注意。PaCO2は大発作以降で急激に上昇するため、呼吸不全を疑う場合は動脈血液ガス分析が必須。小児では動脈穿刺が容易でないため、比較的軽度と考えられる場合は静脈血液ガスをスクリーニングとして用い、CO2高値ならば動脈血液ガスで確認する。
- 表中「(記載なし)」とした呼吸不全列のセルは、引用元の表でも空欄(大発作と同一またはその時点では実測評価が困難なため未設定と考えられる)。この解釈が正しいかはJPGL2023原本(第8章 表8-1)で要確認。
3. 検査
- 必要:
- SpO2モニタリング(パルスオキシメーター)— 全例で発作強度判定の主要所見として必須。
- 中発作以上で呼吸数の実測・聴診(喘鳴の程度、呼吸音減弱=silent chestの有無)。
- 大発作以上、または呼吸不全を疑う場合の動脈血液ガス分析(PaO2・PaCO2の評価。特にPaCO2は大発作以降で急上昇するため必須)。
- 発作が比較的軽度と考えられる場合の静脈血液ガス分析(スクリーニング。CO2高値なら動脈血液ガスで確認)。
- 不要・過剰になりがち:
- 軽症(小発作)でのルーチン胸部X線・血算・CRP(他疾患鑑別が必要な場合を除き不要)。
- 軽症例への動脈血液ガス分析のルーチン実施(侵襲的で小児では容易でない)。
- PEF測定は一般に5歳以上が対象。乳幼児で無理に測定を試みるより、身体所見とSpO2で判定する。
4. 治療
- 第一選択(β2刺激薬吸入・反復吸入を含む。※用量は年齢帯による一般的な考え方。個別処方量は書かない):
- 短時間作用性β2刺激薬(SABA、サルブタモールまたはプロカテロールなど)の吸入量は、JPGL2017改訂以降体重によらず年齢帯(乳幼児/学童以上)で一定量とする考え方。ネブライザー吸入液の考え方は乳幼児0.3mL、学童以上0.3〜0.5mL(サルブタモールとして生理食塩水またはDSCG1アンプルに希釈)、pMDIは1〜2puff(スペーサー使用推奨)で同等に有効とされる。⚠要確認: サルブタモール吸入液(ベネトリン吸入液0.5%等)の添付文書上の小児用量は1回0.1〜0.3mLであり、学童以上で0.3mLを超える量(〜0.5mL)は適応外使用となり得る。社内採用製剤の添付文書を確認し使用可否を判断する。
- 治療への反応は吸入後15〜30分程度で評価。改善が不十分・不変〜悪化の場合は20〜30分ごとに反復(目安として最大3回程度まで)。
- 中発作ではSpO2を測定し、95%未満であれば酸素投与を考慮(目標はSpO2 95%以上の維持)。
- 第二選択・無効時:
- 中発作でβ2刺激薬の反復吸入のみでは反応不十分な場合、または大発作以上では全身性ステロイド薬を追加する。
- ⚠要医師確認(JPGL2023での位置づけ): 以下の数値はJPGL2017(手塚2019逐語引用)由来の参考値。二次情報によればJPGL2023はCQ形式に再構成されており、CQ10「入院患者全般への全身性ステロイド投与を推奨する強い根拠はない(漫然投与せず必要十分な期間で使用、と提案)」、CQ11「急性増悪時の特定の経口ステロイド使用法(種類・用量・期間)は提案されない」としている可能性がある。数値そのものは臨床的な目安として有用だが、JPGL2023の正式な推奨強度(強い推奨か弱い提案かエビデンス不十分か)は書籍原本での確認が必要(医師確認事項1)。
- 考え方の目安: プレドニゾロン換算で概ね1〜2mg/kg/日(経口、分1〜3)を目安とし、最大投与量はPSL換算60mg/日。静脈内投与の場合はヒドロコルチゾン(初回・定期とも5mg/kg、6〜8時間ごと)またはプレドニゾロン/メチルプレドニゾロン(初回・定期とも0.5〜1mg/kg、6〜12時間ごと)という考え方。静脈投与と経口投与で効果に差はないとされ、内服可能なら経口を優先してよい。嘔吐等により経口摂取・保持が困難な場合は静脈内投与に切り替える。
- 静脈内投与の注意点: ヒドロコルチゾンはミネラルコルチコイド作用も有するため数日以内の使用にとどめる。静脈内投与では稀に即時型アレルギー反応が誘発されることがあるため投与時は観察を怠らない。
- 投与期間は3〜5日間を目安とし漫然と継続しない。投与期間が7日以内であれば中止にあたって漸減の必要はない。
- 大発作・呼吸不全(意識障害を伴う場合は人工呼吸管理を含む)は原則入院対応。イソプロテレノール持続吸入療法・アミノフィリン持続点滴は、血中濃度モニタリングと小児喘息治療に精通した医師の管理下(入院設備)が前提であり、外来完結の対象ではない(詳細は入院後・上位施設のプロトコルに委ねる)。⚠要確認: JPGL2017/2023系の資料体系には静注硫酸マグネシウムの記載が見当たらないが、国際標準(GINA等)では重症・治療抵抗例へのアジュバントとして用いられることがある。社内プロトコルとして採用するかは医師判断(書籍原本〈第8章〉に記載があるかも要確認、医師確認事項4)。
- やってはいけない/非推奨:
- 発作時に吸入ステロイド薬を増量するだけで全身性ステロイド投与の代替とすること(システマティックレビューで、予定外受診・緊急入院・全身性ステロイド投与の回避といった有効性は示されていない)。
- アミノフィリンの安易な使用(2歳未満、痙攣既往・中枢神経系疾患合併例、アミノフィリン/テオフィリン徐放製剤による副作用既往がある患者には推奨しない)。
- 反応不良・不変にもかかわらず外来での反復吸入のみで様子を見続け、入院適応の判断を先送りすること。
- 「強い喘息発作のサイン」(レッドフラグ、1章参照)がある状態での自宅経過観察の継続指導。
- 全身性ステロイドの外来使用が1か月に3日間程度・年間数回程度を超える場合に、専門医紹介なくそのまま自院で反復投与し続けること。
5. 再診・帰宅指導・保護者説明
- 再受診すべきサイン(保護者に伝える):
- 乳幼児の「強い喘息発作のサイン」(チアノーゼ、呻吟、意識レベル低下、頻脈、シーソー呼吸など)が出現したら直ちに受診(自家用車ではなく救急車=119番を要請する)。
- 自宅での吸入・内服治療で軽快しない場合、発作を繰り返す場合は早めに受診。
- 治療反応が「不十分」(症状は改善するが残存、PEFが改善するが80%未満)の場合は、軽快しなければ受診。「不良」(症状不変・悪化、PEF不変・低下)の場合は直ちに救急車を要請する。
- 経過の見通し:
- 良好な反応の目安: 喘鳴・努力呼吸の消失、身体所見の正常化、SpO2≧97%かつ%PEF≧80%。これを満たせば帰宅可とし、自宅でβ2刺激薬吸入の反復と患者指導を行う。
- 紹介・入院の閾値:
- 大発作以上は原則入院(治療は外来であっても迅速に開始したうえで入院への移行を進める)。
- 中発作でも初期治療(β2刺激薬反復・酸素投与)への反応が不十分な場合は、2〜3時間程度を目安に治療しつつ、その間に入院の適応を考慮する。
- 乳幼児、重症化の既往、フォローアップが困難な家庭背景、過去にICU入院・人工呼吸管理を要した重症発作の既往(near-fatal asthma)などのリスク因子がある場合は、現在の発作強度によらずより早期からの入院・上位医への相談閾値を下げることを検討する(早期入院を要する具体的な状況一覧=JPGL原典の該当表があるが本ドラフトでは未入手。詳細基準は書籍原本で要確認、医師確認事項5)。
- 発作後の長期管理導入(退院時・発作後指導の型):
- 喘息の病態(気道の慢性炎症性疾患であること)の説明。
- 今回の発作強度と現在の重症度(真の重症度:間欠型/軽症持続型/中等症持続型/重症持続型/最重症)の確認。
- 今回の発作対応が適切だったか、改善すべき点があるかの振り返り。
- 予防的治療(長期管理)と発作治療の違いの再確認。
- 喘息発作強度の判断方法と発作時の家庭対応(強い喘息発作のサイン、頓用薬の使い方と受診タイミング)の説明。
- 5歳以上ではPEFモニタリングの活用方法の説明。
- 家庭に発作時用のβ2刺激薬(吸入薬・内服薬)がなければ処方し、使用法を説明。
- 上記を踏まえた喘息個別対応プランの作成。
- 発作誘因(アレルゲン・感染・運動・喫煙曝露など)の検索と対策。
- 長期管理薬(吸入ステロイド薬など)の見直し・吸入手技の再指導。
- 帰宅後の悪化時対応と、悪化がない場合の次回受診日の設定。
6. 社内ローカルルール(各施設での運用)
- 要確認(以下、埋まるまで全て要確認)
- 社内採用のSABAネブライザー吸入液・pMDI製剤、スペーサーの備品状況。
- 社内採用の全身性ステロイド製剤(経口/静注)と剤形。
- 酸素投与の運用(設備・流量・モニタリング体制)。
- 中発作以上での小児科当直医/上位医師への連絡・コンサルトのフロー。
- 入院適応の社内での閾値、入院先(小児科病棟/NICU・ICU)の判断基準。
- 大発作・呼吸不全時の上位医療機関(三次救急・小児集中治療)への紹介先・搬送手順。
- 長期管理薬(吸入ステロイド薬等)導入時の社内処方フロー、退院時指導のテンプレート有無。
7. 出典
- 一般社団法人日本小児アレルギー学会.小児気管支喘息治療・管理ガイドライン(JPGL)2023発刊のご案内.2023-11-09公開.
https://www.jspaci.jp/news/both/20231109-4381/
(2023年11月18日発刊、株式会社協和企画、編集:日本小児アレルギー学会・気管支喘息委員会。前版=JPGL2020からの改訂点として「ICS/LABA配合剤が低年齢から使用可能」「新たな生物学的製剤」「長期管理でのICS/LABAの用い方の変更」「章立ての刷新」が挙げられている。急性増悪〈発作〉対応の記述は変わらず第8章)
- 一般社団法人日本小児アレルギー学会.小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2023(web版:補足図表).
https://www.jspaci.jp/journal/asthma2023/ / PDF: https://www.jspaci.jp/assets/documents/jpgl2023_web.pdf
(2026-07-29確認。第8章「急性増悪(発作)への対応」に表8-4「小児の喘息発作強度とのSpO2」〈Mochizuki H, et al. Am J Respir Crit Care Med. 1995;152:906-910. のデータを引用〉、図8-2、表8-2・表8-5・表8-6等の参照あり。書籍本体の主要表〈表8-1=発作強度判定表〉自体はこのweb版には収録されておらず未確認)
- 一般社団法人日本小児アレルギー学会.小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2023.Mindsガイドラインライブラリ.
https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00825/
- 手塚純一郎.ガイドラインのワンポイント解説 小児気管支喘息治療管理ガイドライン2017―急性増悪(発作)への対応―.アレルギー.2019;68(8):912-918.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/arerugi/68/8/68_912/_pdf
(2026-07-29確認・原著PDFを画像化して図表を目視確認。本ドラフトの表2〈発作強度判定表〉・図1〈家庭での対応〉・表1〈乳幼児の強い喘息発作のサイン〉・図3〈医療機関での対応〉・表3〈薬物療法プラン〉・表5〈全身性ステロイド薬の投与方法〉は全てこの論文が原典であるJPGL2017から逐語引用している箇所を、本ワークフローの記述に再構成したもの。原典:日本小児アレルギー学会.急性増悪〈発作〉への対応.小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2017.東京:協和企画;2017.p.142-162)
- 岐阜県医師会.喘息ガイドライン(小児用).
https://www.gifu.med.or.jp/doctor/asthma/guidelines-child/
(JPGL2020準拠と明記。発作強度判定基準を「JPGL2020 表8-1を引用」としており、第8章・表8-1という章立てがJPGL2020時点でも同一であったことの傍証として参照)
- つだ小児科クリニック.小児気管支喘息診療・管理ガイドライン2023のCQ.
https://tsudashonika.com/disease-cat/allergies/child-bronchial-asthma-guideline/
(2026-07-30確認・二次情報。CQ10〈入院患者への全身性ステロイド投与を推奨する強い根拠はない〉、CQ11〈急性増悪時の特定の経口ステロイド使用法は提案されない〉、CQ12〈急性増悪時のICS増量は提案されない〉の要約あり。書籍原本〈第8章CQ9〜CQ12〉での一次確認が必要)
- 日本製薬(グラクソ・スミスクライン).ベネトリン吸入液0.5%添付文書.
https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00056440.pdf
(2026-07-30確認。小児用量は1回0.1〜0.3mL〈サルブタモールとして0.5〜1.5mg〉、年齢・症状により適宜増減、と明記)
※ 点数・GLは改定される。運用前に最新版を確認。特に2. の発作強度判定表(表8-1相当)と5. の入院閾値の詳細、および4. の全身性ステロイド用量は、JPGL2017からの引用に基づく再構成であり、JPGL2023書籍本体で数値・文言・推奨の強さに変更がないか医師本人が原本で確認すること(医師確認事項1参照)。
検証・修正ログ(2026-07-30)
敵対的検証(safety/doseレンズ)の所見9件を反映した。状態は引き続き「下書き(要・本人確認)」。
反映した主な変更:
- 【最重要・要医師確認】喘息の診断が未確定な急性喘鳴について、気道異物・アナフィラキシー・RSウイルス等の鑑別を発作治療と同時に進める旨を0章・1章に追記(原典が明記する安全弁がドラフトから脱落していたため)。
- レッドフラグ出現時・治療反応「不良」時の行動指示を「受診」から「救急車(119番)を要請する」へ明確化(1章・0章・5章)。
- SABAネブライザー吸入液の具体的容量(乳幼児0.3mL、学童以上0.3〜0.5mL)と、学童以上0.3mL超は添付文書上の小児用量(0.1〜0.3mL)を超える適応外使用となり得る旨を明記(ベネトリン添付文書で確認済み)。
- 全身性ステロイド静注の安全性注記(ヒドロコルチゾンのミネラルコルチコイド作用・稀な即時型アレルギー反応)、嘔吐時の静注切替を追記。
- 【要医師確認】JPGL2023がCQ形式に再構成され、経口ステロイドの特定用法・入院患者全員への投与を「提案しない/強い根拠はない」としている可能性を二次情報で確認し、冒頭注記と4章に反映。数値自体は参考値として維持。
- 硫酸マグネシウムの記載欠落、ICU入院・人工呼吸管理歴というリスク因子の欠落を明記(いずれも要医師確認)。
- 乳幼児の陥没呼吸部位に「鎖骨上窩」を追加(原典3部位との整合)。
残る要確認点(詳細は冒頭「医師確認事項」節):
- JPGL2023書籍原本(第8章CQ9〜CQ12)でのステロイド推奨強度の一次確認。
- 発作強度判定表(表8-1)・入院閾値詳細の書籍原本での照合(従来からの既知の残課題)。
- 硫酸マグネシウムを社内プロトコルに含めるかの医師判断。
- 鑑別診断運用(誰がいつ判断するか)の社内フロー化。
08
小児急性胃腸炎(ウイルス性中心)と脱水評価 外来ワークフロー
- 区分: 外来編/疾患別ワークフロー
- 記録日: 2026-07-30
- 状態: 下書き(要・本人確認)
- 対象: 小児外来(AMPL)
⚠ 本ファイルはAIが文献ベースで起草した下書き。最終的な臨床判断は医師(岡本)が確認して確定する。用量は体重換算の「考え方」のみ記載し、個別患者値は書かない。
医師確認事項(要・岡本判断)
敵対的検証で指摘され、AIが機械的に確定できない・臨床判断が必要な論点を集約。本文中は該当箇所に「⚠要医師確認」を付した。
- DKA(糖尿病性ケトアシドーシス)のレッドフラグ追加(1節): 新規発症1型糖尿病が胃腸炎様症状(嘔吐・腹痛・脱水)で発症し得る。追加した所見・検査閾値の妥当性を確認。
- 細菌性髄膜炎のレッドフラグ追加(1節): 乳児では消化器症状のみで発症し得る点への注意喚起の文言・閾値を確認。
- 精巣捻転のレッドフラグ追加(1節): 男児腹痛での陰嚢診察の運用(誰が・いつ行うか)を確認。
- サルモネラ腸炎の抗菌薬選択の修正(4節): JAID/JSC 2015のAMPC・FOM・NFLX(乳児には投与しない)・重症例CTRXへの記載修正案の医学的妥当性、および実際の処方判断は医師マター。
- オンダンセトロンの扱い(4節): 国内適応外使用である事実の記載に加え、電解質異常合併時のQT延長リスク、および「原則使用しない」等の運用方針を確定するか。
- 重度脱水時の高張性脱水・急速補正回避の注意喚起(4節): 追記内容と、6節の社内輸液プロトコル確定までの暫定運用でよいか。
- 低血糖・ケトン性低血糖のスクリーニング追加(3節): 簡易血糖測定を行う対象・閾値の妥当性。
- 生後3か月未満・免疫不全児の入院閾値(5節): 脱水所見が軽度でも閾値を下げる独立項目化の妥当性。
- 痙攣を再受診サインに明記(5節): 表現・優先度の確認。
- 「小児消化管感染症診療ガイドライン2024」の内容確認(4節・6節): 制吐薬CQ1-4を含む9つのCQを書籍原本で確認し、本稿の該当箇所(特に制吐薬節)を更新する必要がある。現状は紹介記事のみで原文未確認。
0. 一目でわかるフロー
受診(嘔吐・下痢・腹痛)
→ レッドフラグ評価(該当あれば即・精査/外科コンサルト/上位施設紹介)
→ 脱水重症度・病型(ウイルス性/細菌性)の判定
→ 検査(要る/要らない)
→ 治療(ORT第一選択、必要時のみ輸液・薬物)
→ 再診・帰宅指導・紹介/入院基準
1. レッドフラグ(見逃し厳禁)
- 胆汁性(緑〜黄色)嘔吐・噴出性嘔吐: 腸回転異常症・中腸軸捻転、腸閉鎖など外科的疾患を疑う。中腸軸捻転は進行すると腸管の大量壊死に至る緊急疾患 [6]。
- 血性嘔吐
- 間欠的な激しい啼泣(疝痛発作)を周期的に繰り返す+イチゴゼリー様血便: 腸重積症を疑う。血便は腹痛出現より遅れて(発症から半日以上経って)出現することが多く、血便の出現を待たずに、間欠的啼泣の時点で疑って精査する [7]。腸重積症は生後6〜10か月の乳児に好発するが、年長児では家族性ポリポーシス等が背景にあることもあり油断しない [4]。
- 腹膜刺激徴候(筋性防御・Blumberg徴候)/持続性で部位が限局した腹痛: 腹膜炎・虫垂炎など外科的疾患を示唆。ただし小児は啼泣時に筋性防御を正確に取ることが難しく、また汎発性腹膜炎ではかえって痛みが腹部全体に及んで限局せず、より重症でありながら見逃されやすい点に注意 [4]。
- 腸蠕動音の消失: 汎発性腹膜炎など外科的緊急性の高い病態を示唆 [4]。
- 重度脱水・ショック/プレショック徴候(意識レベル低下、末梢循環不全=毛細血管再充満時間(CRT)延長、体重減少9%超): 経静脈輸液・入院適応 [1][2]。
- 持続する嘔吐で経口摂取が全く不可能、尿量の著明な減少、眼窩の陥凹、意識レベルの低下: 経静脈輸液を要する危険性が高い所見 [2]。
- 全身状態の急な変化(ぐったりする、顔色が悪い、四肢が冷たい): 腸内細菌による菌血症・敗血症への移行を示唆 [4]。
- 血便・粘血便(特に腸管出血性大腸菌(EHEC)疑い): 発症後3〜14日で溶血性尿毒症症候群(HUS)を合併することがあり、特に5歳未満で高頻度 [3]。
- 2日を超えて発熱が持続する場合: 典型的なウイルス性下痢症の経過から外れるため、他疾患の合併を考慮 [2]。
- 生後3か月未満の乳児、免疫不全・基礎疾患(炎症性腸疾患、血液透析、ヘモグロビン異常症等)のある児: 重症化リスクが高く、抗菌薬適応の閾値も個別に下がる [2][3]。
- ⚠要医師確認|多尿・多飲の病歴(体重減少を伴う)、呼気アセトン臭、頻呼吸・クスマウル呼吸、意識障害を伴う嘔吐・腹痛: 新規発症1型糖尿病・糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)を疑う。DKAは急性胃腸炎と酷似した嘔吐・腹痛・脱水で発症し、多尿・多飲の病歴を取らずに「ウイルス性胃腸炎」として経口補水/輸液のみで帰宅させると数時間〜1日でケトアシドーシスが進行し致死的となりうる。国内データでは新規発症1型糖尿病(17歳以下)335例中54例(16.1%)が初診時に胃腸炎/感冒等と誤診され、うち61.1%が診断確定までにDKAを発症、54.5%が重症DKAだったと報告されている。疑う場合は血糖値・尿ケトン(可能なら血液ガス)を確認する [13][14][15]。
- ⚠要医師確認|下痢を伴わない嘔吐(特に持続性・噴出性)、症状に比して強い活気不良・機嫌不良、大泉門膨隆・項部硬直、頭痛を伴う嘔吐、痙攣: 細菌性髄膜炎など中枢神経感染症を疑う。乳児では髄膜炎の初発症状が下痢・嘔吐など消化器症状のみのことがあり、重篤な徴候(項部硬直・大泉門膨隆)は遅れて出現し月齢が低いほど所見の陽性率自体が下がる(大泉門膨隆は新生児で約25〜50%程度)。「嘔吐=胃腸炎」と決め打ちせず、乳児では所見が乏しくても全身状態と病歴(発熱パターン・活気)を優先する [16]。
- ⚠要医師確認|男児の急性腹痛・嘔吐: 精巣捻転の除外のため陰嚢の視診・触診を必ず行う。年少児は痛みの部位をうまく訴えられず「お腹が痛い」としか言わないことがあり、陰嚢を診察しなければ完全に見逃される。発症6〜8時間以内の血流再開が救済の目安とされる器質的緊急疾患。陰嚢腫脹・疼痛・挙睾筋反射消失があれば泌尿器科/外科へ即紹介する [17][18]。
2. 重症度・病型の判定
病型(ウイルス性 vs 細菌性)
- 小児急性胃腸炎の大部分はウイルス性(ロタウイルス、ノロウイルス、腸管アデノウイルス、アストロウイルス、アイチウイルス等)[3]。
- 細菌性を疑う所見: 高熱、強い腹痛、血便・粘血便、テネスムス。腹部エコーでは細菌性は回盲部末端から上行結腸にかけての浮腫性壁肥厚・リンパ節腫脹が手がかりとなり、ウイルス性は小腸・大腸の腸液貯留を認めることが多い [3]。
脱水重症度
- 体重減少率による目安(成書上の一般的分類): 年長児では軽症3〜5%、中等症6〜9%、重症10%以上。乳児は基準が異なり(軽症5%・中等症10%・重症15%目安)、年長児の基準をそのまま当てはめると過小評価する危険がある [5]。
- 日本小児救急医学会「小児急性胃腸炎診療ガイドライン2017」: 臨床所見スコアにより軽度脱水(1〜4点)/中等症〜重症脱水(5〜8点)に分類 [1]。これは国際的なClinical Dehydration Scale (CDS)(①general appearance ②eyes ③mucous membranes ④tearsの4項目、0〜8点)に相当すると考えられる [8]。
- 簡易評価(厚生労働省 抗微生物薬適正使用の手引き): ①CRT 2秒以上 ②粘膜の乾燥 ③流涙なし ④全身状態の変化、の4項目のうち2項目該当で体重の5%以上の脱水が示唆される [2]。
- 体重減少率9%超、またはショック/プレショック徴候がある場合は「重度脱水」として経静脈輸液を優先する(詳細は4節) [1]。
3. 検査
- 必要:
- 重度脱水・ショック疑いの場合の電解質・腎機能等の血液検査
- 血便を伴う・激しい腹痛がある・EHEC/HUS疑い・免疫不全者では便培養検査 [2][3]
- 腸重積・虫垂炎など外科的疾患を疑う所見があれば腹部エコー・外科コンサルト(腹部単純X線・超音波が第一段階、深部病変や汎発性腹膜炎が疑われる場合はCTも選択肢)[4]
- ⚠要医師確認|意識レベル低下・傾眠・痙攣を伴う例、または長時間の摂食不良が続く乳幼児では簡易血糖測定(+尿ケトン)を考慮。小児は肝グリコーゲン予備能が少なく、嘔吐・摂食不良が続くと低血糖・ケトン性低血糖(自家中毒)を来しやすく、意識障害や痙攣の原因となりうる [19][20]。
- ⚠要医師確認|多尿・多飲歴、脱水の割に元気がない・呼吸が速い等でDKAを疑う場合は血糖値・尿ケトン(可能なら血液ガス)を確認する(1節参照)[13][14][15]。
- 不要・過剰になりがち:
- 典型的な軽症〜中等症のウイルス性下痢症全例への便培養検査(自然軽快するため原因微生物特定の意義が乏しい)[2]
- ノロウイルス迅速抗原検査のルーチン施行(保険適用は3歳未満・65歳以上・悪性腫瘍確定例・臓器移植後・免疫抑制剤投与中に限定。それ以外は保険適用外であり、また流行期の典型例では検査陰性でもノロウイルス感染症を否定できず意義が低い)[2]
- 経口摂取可能で軽症〜中等症の児への画像検査・血液検査のルーチン施行
4. 治療
- 第一選択: 脱水なし〜中等症では経口補水療法(ORT)が経静脈輸液より優先される [1][2][3]。
- 具体的プロトコル(GLの一般論。個別処方量は診察時に算出): 脱水症状出現からできるだけ早期(3〜4時間以内)に、経口補水液(ORS)を少量(ティースプーン1杯程度)から開始し徐々に増量しながら、脱水量相当分(軽症〜中等症なら体重あたり概ね50〜100mL/kg)を2〜4時間かけて補正する [2]。
- 嘔吐が強い場合の少量頻回投与の考え方: 5mL程度を5分おきに与え、嘔吐なく経過すれば漸増するという方法が一般臨床で用いられている。この具体的な間隔・量(5mL/5分)は厚労省手引き第三版・JAID/JSC 2015のいずれにも記載が確認できず、国内一次GLでの直接記載は確認できていない(海外の実践プロトコル由来の可能性がある)。
- 脱水が補正されたら年齢相応の食事を制限なく再開し、下痢が続いていても母乳・人工乳は継続する。ミルクの希釈やラクトース制限は通常不要 [3]。
- 経口補水療法と経静脈輸液を比較したメタ解析では、ORTで効果がなく経静脈輸液を要した例はわずか3.6%で、治療後の低Na血症・高Na血症の頻度にも差はなかった [3]。
- 乳酸菌製剤等の整腸剤は排便量・下痢持続の軽減効果が報告されている(JAID/JSC 2015, BII)[3]。
- ⚠要医師確認|重度脱水で経静脈輸液を行う際: 高張性脱水(高Na血症)を急速補正すると脳細胞内へ水が移動し脳浮腫・痙攣を来す危険がある。可能なら電解質(特にNa)を確認し、高張性脱水が疑われる場合は急速補正を避け緩徐に是正する(フェーズを分けた補正)。皮膚が「こねた生地様」に触れる、脱水の見た目の割に機嫌が悪い・興奮性が高い等は高張性脱水を示唆する所見。6節の社内輸液プロトコル確定までの暫定注意 [21][22]。
- 制吐薬(オンダンセトロン等)の位置づけ:
- 厚生労働省の手引きでは、嘔吐に対する制吐薬は科学的根拠に乏しく推奨されていない [2]。
- JAID/JSCの小児ウイルス性腸炎ガイドラインでは、制吐薬は嘔吐軽減に有効な場合もあるとしつつ、ドンペリドン・メトクロプラミドについては錐体外路症状や呼吸抑制など他の薬理作用への注意を促している(推奨度BII) [3]。
- ⚠要医師確認|オンダンセトロン: 海外の救急外来RCTでは、プラセボと比べ嘔吐の頻度低下・経口補水量の増加・経静脈輸液を要する割合の低下が報告されている [9][10]。一方、日本国内でのオンダンセトロンの効能・効果は「抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状」および「術後の消化器症状」(2022年2月に小児へも適応追加)の2つのみであり、感染性胃腸炎・急性下痢症に伴う嘔吐への適応は存在しない=完全な適応外(オフレーベル)使用である [11][23]。加えて、急性胃腸炎自体が低カリウム血症など電解質異常を伴いやすく、これがQT延長リスクをさらに増強させる [11]。適応外・QT延長リスク(特に電解質異常合併時)を踏まえ、社内では原則使用しない方針とするか、使用する場合の個別評価基準を定めるかは医師判断とする。
- ⚠要医師確認|「小児消化管感染症診療ガイドライン2024」(文献12)はCQ1-4で制吐薬(メトクロプラミド・ドンペリドン・五苓散・生姜等)の推奨可否を扱っている可能性が高いが原本未確認。運用前に原本で確認し本節を更新する(6節タスク参照)。
- 第二選択・無効時:
- 経口摂取が全く不可能、体重減少9%超の重度脱水、またはショック/プレショック徴候がある場合は経静脈輸液を優先し、意識・全身状態が改善したら速やかにORTへ移行する [1][3]。
- 抗菌薬: 原則不要。大部分がウイルス性であり、細菌性が疑われる場合でも多くは自然軽快するため、抗菌薬は無効であるばかりか腸内細菌叢を乱し(菌交代現象)、非チフス性サルモネラでは排菌期間をかえって延長させる可能性が指摘されている [2][3]。
- 抗菌薬投与を検討する例外(軽症では投与しないことが大前提。以下は重症化リスクが高い場合に限る):
- 生後3か月未満の乳児
- ステロイド・免疫抑制剤投与中、HIV感染症等の細胞性免疫障害
- 炎症性腸疾患、血液透析、ヘモグロビン異常症(鎌状赤血球症等)、腹部大動脈瘤、心臓人工弁置換術後などの基礎疾患
- 菌血症・膿瘍などの腸管外病変を合併
- 全身状態が不良な重症カンピロバクター腸炎・サルモネラ腸炎 [2][3]
- ⚠要医師確認|上記に該当し抗菌薬投与を検討する場合の薬剤クラス(GL上の一般論。個別処方値は診察時に算出): カンピロバクター腸炎はマクロライド系(クラリスロマイシン等)。非チフス性サルモネラ腸炎はJAID/JSC 2015(V章、p.48)ではアモキシシリン(AMPC)経口・ホスホマイシン(FOM)経口・ノルフロキサシン(NFLX)経口(乳児には投与しない)が選択肢として並列で挙げられ、重症例(菌血症疑い等)に限りセフトリアキソン(CTRX)静注/点滴静注が選択肢となる。生後3か月未満の乳児は本ワークフローが抗菌薬適応の閾値を下げるとしているまさにその対象であり、ニューキノロン系(NFLX)は乳児には使用しない点に特に注意 [3]。
- EHEC(腸管出血性大腸菌)腸炎: 抗菌薬投与とHUS発症リスクの関係については結論が統一されていない。海外の統合解析では明確な関連は否定的な報告がある一方、より厳密なHUS定義に限定すると抗菌薬投与とHUS発症増加の関連を示す解析もある。日本の小児を中心にした研究では発症早期(発症後3日以内)のホスホマイシン内服でHUS発症率が低かったとの報告もあり、JAID/JSCも「現時点で抗菌薬治療に対しての推奨は統一されていない」としている [3]。
- やってはいけない/非推奨:
- 止痢薬(ロペラミド等の腸管蠕動抑制薬): 明らかな効果を示すデータはなく、EHEC腸炎ではHUS発症の危険性を高める懸念があるため使用しない [2][3]。
- 軽症例への一律の抗菌薬投与
- 適応を個別評価せず全例に出す一律の制吐薬投与
5. 再診・帰宅指導・保護者説明
- 再受診すべきサイン(保護者に伝える):
- 嘔吐が続いて少量頻回のORTも続けられない、水分がほとんど摂れない
- 半日以上尿が出ない、ぐったりして反応が悪い
- 便に血液や強い粘液が混じる
- 38℃以上の発熱が2日以上続く、またはいったん良くなりかけて悪化する
- 数十分おきに激しく泣く様子を繰り返す、嘔吐物が緑色・黄色になった
- お腹を痛がって触らせない、お腹が硬く張っている
- ⚠要医師確認|けいれんを起こした、意識がはっきりしない(「ぐったりして反応が悪い」だけでは痙攣という具体的な訴えを引き出せないため独立項目化)[16][19]
- 経過の見通し:
- 大部分はウイルス性で自然軽快する。ノロウイルスは嘔吐がほぼ1日で軽快し、下痢は多くの場合2〜3日(長引く例で7〜10日)続くことがある。発熱は伴わないか、あっても2日以内のことが多い [3]。
- 2日を超えて発熱が続く場合は、単なるウイルス性下痢症以外の可能性を考える [2]。
- 紹介・入院の閾値:
- 体重減少9%超の重度脱水、またはショック/プレショック徴候
- 経口摂取が全く不可能でORTが継続できない
- 1節のレッドフラグ(腸重積・虫垂炎疑い、腹膜刺激徴候、意識障害等)に該当
- 血便を伴いHUS合併が懸念されるEHEC疑い
- 養育者が家庭でORTを実施できない、フォローが困難な社会的背景がある
- ⚠要医師確認|生後3か月未満、または免疫不全・重症化リスクのある基礎疾患を持つ児: 脱水所見が軽度でも急速に代償不全に陥りうるため、脱水度とは別に入院・上位医療機関相談の閾値を個別に下げる(独立項目) [2][3]
6. 社内ローカルルール(各施設での運用)
- 要確認(社内採用のORS製品、輸液プロトコル、便培養提出基準、腸重積疑い時の外科・エコー連携動線、当直帯での対応など)
- ⚠要医師確認|「小児消化管感染症診療ガイドライン2024」(文献12)の該当CQ確認タスク: 制吐薬CQ1-4を含む9つのCQを書籍原本で確認し、本稿の該当箇所(特に4節制吐薬節・2節脱水スコア)を更新する。確認済みになるまで本稿の制吐薬・脱水判定の記述は暫定扱い(1節冒頭の警告参照)。
7. 出典
- 日本小児救急医学会「エビデンスに基づいた子どもの腹部救急診療ガイドライン2017 第Ⅰ部 小児急性胃腸炎診療ガイドライン」2017年6月23日発行(Mindsガイドラインライブラリ掲載頁)https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00577/
- 厚生労働省健康・生活衛生局感染症対策部感染症対策課「抗微生物薬適正使用の手引き 第三版」2023年11月16日公表、急性下痢症(一般外来編p.35-42、乳幼児編p.86-91)https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001168459.pdf (旧版=第一版(案)から2026-07-30改訂。内容面(脱水5%示唆の4項目中2項目基準・ORS 50-100mL/kgを2-4時間補正等)は第三版でも一致を確認済み)
- 日本感染症学会・日本化学療法学会「JAID/JSC感染症治療ガイドライン2015 ―腸管感染症―」感染症学雑誌 第90巻第1号 平成28年1月20日、V.小児の細菌性腸炎(p.47-49)、VI.小児のウイルス性腸炎(p.50-51)https://www.kansensho.or.jp/uploads/files/guidelines/guideline_JAID-JSC_2015_intestinal-tract.pdf
- 黒田達夫「小児急性腹症診察のコツ」日本腹部救急医学会雑誌 29(1):35-38, 2009(国立成育医療センター外科)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jaem/29/1/29_1_35/_pdf
- MSDマニュアル プロフェッショナル版「小児における脱水」https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/19-小児科/小児における脱水および輸液療法/小児における脱水
- MSDマニュアル プロフェッショナル版「乳児および小児における悪心・嘔吐」https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/19-小児科/乳児および小児の症状/乳児および小児における悪心-嘔吐
- MSDマニュアル家庭版「腸重積」https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/23-小児の健康上の問題/小児における消化器系の病気/腸重積
- Friedman JN, Goldman RD, Srivastava R, Parkin PC. Development of a clinical dehydration scale for use in children between 1 and 36 months of age. J Pediatr. 2004(Clinical Dehydration Scale、4項目・0〜8点)https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0022347604004317
- NEJM日本国内版アブストラクト「小児救急部における胃腸炎に対する経口オンダンセトロン」(Freedman SB, et al. N Engl J Med 2006;354:1698-1704)https://www.nejm.jp/abstract/vol354.p1698
- NEJM日本国内版アブストラクト「胃腸炎の小児に対する救急部受診後のオンダンセトロンの複数回投与」https://www.nejm.jp/abstract/vol393.p255
- オンダンセトロン インタビューフォーム(2022年9月改訂 第6版、QT延長に関する記載)https://pins.japic.or.jp/pdf/medical_interview/IF00003932.pdf
- 日本小児感染症学会・日本小児消化管感染症・免疫アレルギー研究会「小児消化管感染症診療ガイドライン2024」紹介記事(日経メディカル、2024年12月)https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/202412/586937.html ※原文は書籍のため全文は今回未確認
- 医学界新聞2023「ピットフォールにハマらないER診療の勘どころ(16)高血糖緊急症 診断編」https://www.igaku-shoin.co.jp/paper/archive/y2023/3532_04
- 日本糖尿病学会誌 65(10):536, 2022「小児1型糖尿病患者における重症DKAを予防するには」https://www.jstage.jst.go.jp/article/tonyobyo/65/10/65_536/_pdf
- 日経メディカル「腹痛、悪心・嘔吐では必ずDKAの鑑別を」https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/iwaoka3/201710/553198.html
- MSDマニュアル プロフェッショナル版「新生児細菌性髄膜炎」「生後3カ月以上の乳児における細菌性髄膜炎」https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/19-小児科/新生児における感染症/新生児細菌性髄膜炎
- 日本小児泌尿器科学会「小児の急性陰嚢症」https://jspu.jp/ippan_021.html
- 獨協医科大学埼玉医療センター小児外科「急性陰のう症:精巣捻転」https://dept.dokkyomed.ac.jp/dep-k/ped_surg/acutescrotum.html
- 日本小児・思春期糖尿病学会「低血糖」https://jspad.jp/ofs/patient/life/08.html
- MSDマニュアル「低血糖」https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/10-内分泌疾患と代謝性疾患/糖尿病と糖代謝異常/低血糖
- MSDマニュアル プロフェッショナル版「小児における脱水」(高張性脱水の急速補正リスクに関する記載箇所)https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/19-小児科/小児における脱水および輸液療法/小児における脱水
- 日本小児科学会雑誌「小児の脱水症に対する輸液療法—生理学的根拠にもとづく考え方—」https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpn/38/0/38_rv.24-034/_article/-char/ja/
- オンダンセトロン製剤 各社インタビューフォーム 効能・効果欄(例: https://pins.japic.or.jp/pdf/medical_interview/IF00003932.pdf)/日本小児麻酔学会・小児治験ネットワークによる術後適応追加承認(2022年2月25日)※2026-07-30 WebSearchで効能・効果を再確認、感染性胃腸炎への適応がないこと(適応外使用)を確定
※ 点数・GLは改定される。運用前に最新版を確認。本稿が主軸とした2017年版GL(文献1)の後継として、2024年11月に「小児消化管感染症診療ガイドライン2024」(文献12、日本小児感染症学会・日本小児消化管感染症免疫アレルギー研究会)が刊行されている。同書には制吐薬に関するCQ(CQ1-4)を含む9つのCQが収載されているが、書籍のため全文は今回未確認。運用前に2024年版での該当CQの推奨内容を直接確認することを強く推奨する。
検証・修正ログ(2026-07-30)
敵対的検証(16件の所見)を反映。状態は引き続き「下書き(要・本人確認)」。
反映した主な変更
- レッドフラグ(1節)に3系統を追加: DKA(新規発症1型糖尿病)、細菌性髄膜炎、精巣捻転。いずれも「胃腸炎に化ける」致死的・器質的鑑別で見逃し重大度が高いため安全側で追記
- 検査(3節)に低血糖・尿ケトンのスクリーニング条件を追加
- 治療(4節): ①サルモネラ腸炎の抗菌薬選択をJAID/JSC 2015原文(AMPC・FOM・NFLX〈乳児には投与しない〉・重症例CTRX)に一本化し、乳児へのニューキノロン誤投与リスクを是正、②オンダンセトロンが国内では感染性胃腸炎に適応のない完全な適応外使用であることをWebSearchで確認し確定記載に変更、③高張性脱水の急速補正回避の注意喚起を新規追加、④整腸剤(乳酸菌製剤)の記載を追加、⑤EHECの抗菌薬開始タイミングを「発症後3日以内」と具体化、⑥5mL/5分プロトコルは一次GLで裏付けが取れず「出典不明の実践プロトコル」と明記
- 再診・入院基準(5節): 痙攣を再受診サインに独立項目化。生後3か月未満・免疫不全児を入院閾値の独立項目として追加
- 出典(7節): 文献2を厚労省手引き第一版(案)→第三版(2023年11月16日公表)に差し替え。内容面はWebSearchで第三版記載との一致を確認済み。新規参照13〜23を追加
残る要確認点(医師確認事項の詳細は冒頭節を参照)
- 「小児消化管感染症診療ガイドライン2024」(文献12)は紹介記事のみでCQ1-4を含む原本未確認。原本確認後に4節制吐薬節・2節脱水スコアの再更新が必須
- 6節(社内ローカルルール)は依然「要確認」が主体。社内輸液プロトコル・ORS製品・便培養提出基準は本稿の暫定注意(高張性脱水回避等)を包含する形で確定させる必要がある
- サルモネラ腸炎の抗菌薬修正案・DKA/髄膜炎/精巣捻転のレッドフラグ文言・オンダンセトロンの運用方針は、いずれも一次資料の再照合はしたが最終的な臨床判断・社内運用としての採否は医師(岡本)確認待ち
09
熱性けいれん 外来ワークフロー
- 区分: 外来編/疾患別ワークフロー
- 記録日: 2026-07-30
- 状態: 下書き(要・本人確認)
- 対象: 小児外来(AMPL)
⚠ 本ファイルはAIが文献ベースで起草した下書き。最終的な臨床判断は医師(岡本)が確認して確定する。用量は体重換算の「考え方」のみ記載し、個別患者値は書かない。
医師確認事項(要・岡本判断)
敵対的検証(2026-07-30)で「勝手に確定させてはいけない」と判定された論点。ここだけ見て判断できるようにまとめる。
- ジアゼパム坐剤の1回最大量(10mg): 添付文書に「1回最大10mg」という明記の文言は確認できず(PMDA添付文書は「1日1mg/kgを超えない」という日量上限のみ)。ただし坐剤の市販規格が4/6/10mgで最大が10mgであること、二次資料(つだ小児科クリニックのCQ4-2要約)が「1回0.4〜0.5mg/kg(最大10mg)」と明記していることから、本ファイルには安全側の注記として追記した。原著(診断と治療社刊)でのCQ4-2逐語確認、および社内採用坐剤の規格確認を推奨。
- 予防投与の適応基準(CQ4-1)の6項目+「2回以上」要件: 二次資料(つだ小児科クリニック)で確認した内容に修正したが、原著CQ4-1本文の逐語確認はできていない。適応判断に直結するため、実際の患者に適用する前に原著確認を。
- ブコラム(ミダゾラム口腔用液)の位置づけ: 添付文書上の効能・効果は「てんかん重積状態」であり、学会追加情報が「熱性けいれんというだけの理由で安易に処方すべきではない」と明記(PMDA RMP・学会追加情報で確認済み)。AMPLでの実際の処方運用方針(家庭常備の可否・対象患者の線引き)は医師判断。
- 重積時のベンゾジアゼピン不応時エスカレーション基準: 二次治療薬(ホスフェニトイン・フェノバルビタール・レベチラセタム等)への移行、搬送先は施設依存。AMPLでの実際の搬送先・社内採用薬は要確認(6.社内ローカルルールと合わせて確定)。
- 出典の逐語性: 出典の大半が二次資料(開業医サイト等)で、原著(ISBN 9784787825643)との逐語照合は未実施。数値・基準を臨床適用する前に原著確認を推奨。
準拠GL: 「熱性けいれん(熱性発作)診療ガイドライン2023」(日本小児神経学会、熱性けいれん診療ガイドライン改訂ワーキンググループ編、診断と治療社、2023年1月刊)。Minds ガイドラインライブラリ収載(2023年3月6日選定)。2015年版からの改訂版であり、本ワークフローは2023年版のCQ(クリニカルクエスチョン)に基づく。
0. 一目でわかるフロー
受診(発熱+けいれん様エピソード)
→ まず定義に合うか確認(6か月〜60か月・38℃以上・中枢神経感染症/代謝異常/てんかん既往なし)
→ レッドフラグ評価(髄膜刺激徴候・意識回復不良・けいれん遷延など該当あれば即・上位/紹介)
→ 単純型/複雑型/熱性けいれん重積状態の判定
→ 検査(要る/要らない)
→ 治療(発作時対応・必要なら予防投与の適応判断)
→ 再診・帰宅指導・紹介基準
1. レッドフラグ(見逃し厳禁)
- 髄膜刺激徴候: 項部硬直、Kernig徴候・Brudzinski徴候、乳児では大泉門膨隆
- ⚠ 乳児・低年齢児では髄膜刺激徴候が乏しい/欠如することが多く、陰性であっても細菌性髄膜炎の除外根拠にはならない。全身状態(活気・哺乳・機嫌・意識の質)を優先して評価する(小児髄膜炎における身体所見の限界に関する一般的知見)
- 意識回復不良: 発作後も呼びかけに反応しない・視線が合わない・もうろう状態が遷延 → 髄膜脳炎など中枢神経感染症を疑い救急対応
- けいれん遷延・けいれん重積状態: 5分以上発作が持続 → 薬物治療(頓挫)の開始を考慮すべき重積状態。30分以上持続、または意識が戻らないまま発作を反復する場合は長期後遺症のリスクにも注意が必要な重積状態
- 複雑型熱性けいれん(詳細は2.): 焦点性所見(左右非対称、意識障害のみ等)、15分以上の発作、24時間以内の複数回反復
- 初発が低月齢: 生後6か月未満での初発発作は定義上の熱性けいれんに当てはまらず、髄膜炎・代謝異常・てんかん等の除外診断を優先
- 発作後の麻痺症状(Todd麻痺)・左右差
- 繰り返す嘔吐、点状出血・紫斑(髄膜炎菌血症等の敗血症徴候を示唆)
- てんかんの既往、先天性代謝異常の既往(これらがあれば定義上「熱性けいれん」から除外し別途精査)
2. 重症度・病型の判定
熱性けいれんの定義(GL2023): 主として生後6か月〜60か月(5歳)までに起こる、通常38℃以上の発熱に伴う発作性疾患で、髄膜炎などの中枢神経感染症、先天性代謝異常、その他の明らかな発作の原因がなく、てんかんの既往がないもの。
- 単純型熱性けいれん: 発作様式がけいれん性(全身性)、15分以内に自然頓挫、24時間以内に発作は1回のみ
- 複雑型熱性けいれん: 以下のいずれかを満たす場合
- 発作様式がけいれん以外(焦点性所見、意識障害のみ等、左右非対称)
- 15分以上持続する発作
- 24時間以内に複数回発作を反復
- 熱性けいれん重積状態: 発作が5分以上持続 → 治療介入(頓挫)を考慮すべき状態。30分以上持続、あるいは意識が回復しないまま反復する場合は長期予後にも留意すべき状態として区別
3. 検査
- 必要:
- 髄膜刺激徴候(項部硬直・大泉門膨隆等)や意識障害遷延など細菌性髄膜炎・脳炎を積極的に疑う所見がある場合の髄液検査・血液検査(CQ1-1, 1-2)
- 焦点性所見や遷延性発作を伴う場合の頭部画像検査(CT/MRI)の考慮(CQ1-3)
- 複雑型で脳波検査を考慮する場合は発作後7日以降の実施が望ましい(発作直後は非特異的異常が出やすく予測精度が落ちるため、CQ3-3)
- ⚠ 5分以上遷延する発作、特にベンゾジアゼピン反応不良例では血糖測定(簡易測定可)を必須項目とする。低血糖はそれ自体が痙攣の原因・増悪因子となりうる可逆的病態であり、見落とすと薬物治療を重ねても発作が止まらない事態になりかねない(小児けいれん重積状態の初期対応における一般原則)
- 不要・過剰になりがち:
- 単純型で意識清明に回復した初回発作に対する、ルーチンの髄液検査・血液検査・頭部画像検査(CQ1-1, 1-2, 1-3)
- 熱性けいれん既往児へのルーチン脳波検査(てんかん発症やけいれん再発の予測能は不確実、CQ3-1)
4. 治療
- 第一選択:
- 発作時対応: 気道確保・体位(側臥位)確保・発作時間の計測を最優先。多くは5分以内に自然頓挫する
- 5分以上発作が持続する場合は治療介入(頓挫)を考慮。病院外ではミダゾラム口腔用液(ブコラム等)、医療機関では静注薬(ジアゼパム・ミダゾラム・ロラゼパムのいずれか)で発作を止める、あるいは静注が可能な施設へ搬送する
- ⚠ ベンゾジアゼピン系薬剤(坐剤・口腔用液・静注薬いずれも)投与時・投与後はSpO2・呼吸状態を持続的にモニタリングし、酸素・吸引・バッグバルブマスクなど気道管理の準備を整えた上で投与する。院外投与(ブコラム等)後に社内でさらに投与する場合は呼吸抑制の累積リスクに特に注意する(重積状態管理の一般原則)
- ⚠ ブコラム(ミダゾラム口腔用液)の位置づけに関する留保: 添付文書上の効能・効果は「てんかん重積状態」であり、日本小児神経学会の追加情報は「発作予防効果を期待する薬剤ではなく、てんかんや熱性けいれんというだけの理由で本剤を安易に処方すべきではない」と明記している。個々の患者で重積発作を繰り返す等、処方の必要性を専門医・主治医が個別に判断した上で家庭常備する場合にのみ選択肢となる(PMDA添付文書・学会追加情報「小児けいれん重積治療ガイドライン2017追加情報:ミダゾラム口腔用液(ブコラム®)について」で確認)
- 予防投与(発熱時ジアゼパム坐剤)の適応: 単純型へのルーチン投与はGL上推奨されない。適応となるのは、①15分以上の遷延性発作の既往がある、または②次の6項目(i. 焦点発作または24時間以内の反復発作、ii. 熱性けいれん前からの神経学的異常・発達遅滞、iii. 熱性けいれん/てんかんの家族歴、iv. 初回発作が生後12か月未満、v. 発熱後1時間未満での発作、vi. 発作時体温38℃未満)のうち2つ以上を満たす熱性けいれんが2回以上発生している場合(CQ4-1)。※単純な「再発予測因子(家族歴・1歳未満発症・発熱後1時間以内・発作時体温39℃以下)」は5.再診セクションの再発率説明用の一般論であり、予防投与適応の判定基準としては用いない
- 用量の考え方(一般論・体重換算): ジアゼパム坐剤 0.4〜0.5mg/kg/回(1回最大10mg)を目安に、発熱(目安37.5℃前後)に気づいた時点で速やかに1回目を挿入し、38℃以上の発熱が8時間後も続く場合に限り2回目を追加して終了する、という二相性投与が一般的な考え方。1日総量は1mg/kgを超えない(添付文書上の日量上限)。※個別の処方量・回数は添付文書・社内採用規格・診察所見に基づき医師が決定。本ファイルには患者個別値は記載しない
- 第二選択・無効時:
- 遷延性発作を繰り返す例、ジアゼパム坐剤による予防でもコントロール困難な例では、抗てんかん薬の内服は原則として推奨されないが、頻回の重積を繰り返す等の特殊例では専門医判断のもとで考慮されうる(CQ5-1)
- ⚠ 急性期エスカレーション基準: ベンゾジアゼピン系薬剤を規定回数(施設プロトコルに従い通常1〜2回)投与しても発作が終息しない場合は、直ちに二次治療薬(ホスフェニトイン・フェノバルビタール・レベチラセタム等の静注抗てんかん薬)投与が可能な高次医療機関へ搬送する。AMPLでの実際の搬送先・社内採用薬・二次治療薬の可否は6.社内ローカルルールの確認と合わせて確定する
- 上記に該当する場合、または診断・治療方針に迷う場合は小児神経専門医への紹介を検討
- やってはいけない/非推奨:
- 単純型に対するルーチンのジアゼパム坐剤予防投与(過鎮静・傾眠により、髄膜炎・脳炎による意識障害の遷延を見逃すリスクがあるため)
- 解熱薬をけいれん再発の予防目的で投与すること(発作予防効果・発作頻度増加のいずれについても医学的根拠なし、CQ6-1)。ただし発熱による苦痛緩和目的での解熱薬使用自体は問題ない
5. 再診・帰宅指導・保護者説明
- 再受診すべきサイン(保護者に伝える):
- けいれんが5分以上続く、または止まらない → ためらわず救急要請(119番)
- けいれんが止まった後も呼びかけに反応しない・視線が合わない・ぐったりしている(意識回復不良)
- 24時間以内にけいれんを繰り返す
- 首が硬い、大泉門が膨らんでいる、繰り返す嘔吐
- 発作後に手足の動きに左右差・麻痺が残る
- 発作中にやってはいけないこと(保護者に伝える):
- 口の中に指や物(箸・タオル等)を入れない、無理に体を押さえつけない
- 意識がはっきり戻るまで飲食物や薬(解熱薬含む)を与えない
- 側臥位を保ち、周囲の危険物を除け、発作の様子と持続時間を記録する
- 経過の見通し:
- 多くは5分以内に自然に治まり、その後もうろうとした状態を経て徐々に意識が清明に回復する
- 再発率: 全体ではおよそ3人に1人(約30%程度)が再発する。再発予測因子(家族歴・1歳未満発症・発熱後1時間以内の発作・発作時体温39℃以下)がない場合は約15%程度とより低い
- てんかん移行: 熱性けいれんを経験した児の9割以上はてんかんを発症しない
- 予防接種: 熱性けいれんの既往があっても、十分な説明と同意のもとですべての予防接種を接種してよい(CQ8-1)。接種後発熱時の対応(ジアゼパム予防投与中であれば継続方針)は個別に説明
- 紹介・入院の閾値:
- 複雑型熱性けいれん、熱性けいれん重積状態(特に30分以上/意識回復不良を伴う反復)
- 髄膜炎・脳炎を疑う所見がある場合(即日紹介・搬送)
- 初発が生後6か月未満などの非典型例
- 短期間に重積を繰り返す例、抗てんかん薬導入の判断が必要な例
- 保護者の不安が強く外来管理が困難な場合
6. 社内ローカルルール(各施設での運用)
- (要確認: 社内採用のジアゼパム坐剤・ミダゾラム口腔用液の有無、当直帯での重積対応プロトコル、小児神経専門医への紹介先・連携フロー、予防投与処方の運用基準)
7. 出典
- 日本小児神経学会・熱性けいれん診療ガイドライン改訂ワーキンググループ編『熱性けいれん(熱性発作)診療ガイドライン2023』診断と治療社, 2023年1月刊
- Mindsガイドラインライブラリ 収載ページ(2023年3月6日選定): https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00763/
- 日本小児神経学会 公式ページ(発刊案内): https://www.childneuro.jp/about/6442/
- 日本小児神経学会『熱性けいれん(熱性発作)診療ガイドライン2023』序文(目次・CQ構成)PDF: https://www.childneuro.jp/uploads/files/about/FS2023GL/02fs2023_introduction.pdf
- つだ小児科クリニック「熱性痙攣(熱性発作)診療ガイドライン2023のCQ」(CQ番号別の推奨内容まとめ): https://tsudashonika.com/disease-cat/nerve/febrile-convulsions-guideline/
- 医療法人社団かけはし「熱性けいれん:熱性けいれん(熱性発作)診療ガイドライン2023に基づいて解説」: https://kakehashi-mc.jp/fs2023/
- ジアゼパム坐剤(ダイアップ坐剤等)添付文書情報: https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00005151.pdf
- ダイアップ坐剤 添付文書(PMDA、2026-07-30検証時に一次情報として確認): https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1124701J1022_2_06/1124701J1022_2_06?view=body&lang=ja
- ブコラム口腔用液 添付文書・RMP(PMDA、2026-07-30検証時に一次情報として確認): https://www.pmda.go.jp/RMP/www/850372/78db86e5-bb70-437b-9399-706952ef34b4/850372_1139700Q1029_01_001RMPm.pdf
- 日本小児神経学会「小児けいれん重積治療ガイドライン2017 追加情報:ミダゾラム口腔用液(ブコラム®)について」: https://www.childneuro.jp/uploads/files/about/SE2017GL/20210127info.pdf
⚠ 上記のうちCQ4-1(予防投与適応の6項目・2回以上要件)・CQ4-2(用量0.4〜0.5mg/kg・最大10mg)は二次資料(つだ小児科クリニックのCQ要約)経由の確認にとどまり、診断と治療社刊行の原著(ISBN 9784787825643)での逐語確認は未実施。臨床適用前に原著確認を推奨。
※ 点数・GLは改定される。運用前に最新版を確認。
検証・修正ログ(2026-07-30)
敵対的検証(11件の所見)を反映。状態は引き続き「下書き(要・本人確認)」。
反映した主な変更:
- ジアゼパム坐剤の予防投与量を「0.3〜0.5mg/kg/回」→「0.4〜0.5mg/kg/回(1回最大10mg、1日総量1mg/kgを超えない)」に修正。PMDA添付文書(一次情報)・二次資料の双方で確認済み
- 予防投与の適応基準を、無関係な「再発予測因子リスト」から、GL2023 CQ4-1が定める本来の6項目+「2つ以上×2回以上」要件に修正
- ブコラム(ミダゾラム口腔用液)について、添付文書上の効能・効果は「てんかん重積状態」であり熱性けいれんへの安易な処方を学会が明示的に戒めている旨の留保を追加(PMDA RMP・学会追加情報で確認済み)
- レッドフラグ評価に「乳児・低年齢児では髄膜刺激徴候が乏しい」旨、検査に「遷延発作での血糖測定」、治療に「ベンゾジアゼピン投与時の呼吸抑制モニタリング」「ベンゾジアゼピン不応時のエスカレーション基準」、保護者説明に「発作中にやってはいけないこと」を追記(いずれも安全側の追加)
- 出典に一次情報(PMDA添付文書・RMP・学会追加情報)を追加し、二次資料依存箇所を明示
残る要確認点(冒頭「医師確認事項」参照):
- CQ4-1・CQ4-2の原著(診断と治療社刊)での逐語確認
- 社内採用坐剤・搬送先・二次治療薬などAMPLローカルルールの確定(6.セクション)
- ブコラムの社内処方運用方針の確定
10
蕁麻疹とアナフィラキシー外来ワークフロー
- 区分: 外来編/疾患別ワークフロー
- 記録日: 2026-07-30
- 状態: 下書き(要・本人確認)
- 対象: 小児外来(AMPL)
⚠ 本ファイルはAIが文献ベースで起草した下書き。最終的な臨床判断は医師(岡本)が確認して確定する。用量は体重換算の「考え方」のみ記載し、個別患者値は書かない。
医師確認事項(要・岡本判断)
敵対的検証で指摘された論点のうち、AIが一方的に確定させず岡本の判断・実地確認を要するもの。
- HAE等ブラジキニン起因性血管性浮腫はアドレナリン・抗ヒスタミン薬・ステロイドいずれにも反応しない(1章・4章に追記)。蕁麻疹・掻痒を伴わない孤発性の喉頭浮腫でアドレナリンに反応しない場合にC1-INH製剤・専門医へエスカレーションする一文を加えたが、AMPLでのC1-INH製剤の採用・社内在庫・実際の紹介ルートは未確認。検証者指摘(critical): この一文が無いと、反応しない喉頭浮腫を「反復投与すればよい」通常症例として扱ってしまい窒息死につながりうる。
- 乳児の非典型的アナフィラキシー像(1章に追記): 哺乳不良・持続啼泣・活気低下・嗜眠・蒼白のみで発症する乳児例をレッドフラグに加えたが、この文言・閾値が各施設の実診療・トリアージ運用にそのまま馴染むかは要確認。検証者指摘(medium): 既存の記述は自ら症状を訴えられる年齢層の表現に偏っており、乳児の非典型像が見逃されるリスクがある。
0. 一目でわかるフロー
受診(蕁麻疹・皮疹+その他の訴え)
→ レッドフラグ評価(アナフィラキシー診断基準に該当 → 即アドレナリン筋注、様子見しない)
→ 重症度・病型の判定(アナフィラキシーのグレード分類 / 蕁麻疹の病型分類)
→ 検査(急性期は臨床所見で診断、誘因確定検査は後日)
→ 治療(アナフィラキシー=アドレナリン第一選択/蕁麻疹単独=抗ヒスタミン薬第一選択)
→ 二相性反応を想定した社内観察(4〜6時間、リスクありなら最大24時間)
→ 再診・帰宅指導・エピペン処方・食物アレルギー精査への橋渡し
1. レッドフラグ(見逃し厳禁)
- 「2. 重症度・病型の判定」の診断基準1・2のいずれかを満たす時点でアナフィラキシーとして扱い、即アドレナリン筋注。蕁麻疹(皮膚症状)の見た目の軽さで判断しない。
- 呼吸器症状: 呼吸困難、呼気性喘鳴・気管支攣縮、吸気性喘鳴、嗄声、犬吠様の咳、嚥下痛、SpO2低下。
- 循環器症状: 血圧低下、頻脈または徐脈、筋緊張低下(虚脱)、失神、蒼白、失禁、意識レベル低下。
- 喉頭浮腫を示唆する所見(嗄声・嚥下痛・吸気性喘鳴)は気道閉塞に直結するため最優先で評価する。
- 皮膚症状を伴わない(蕁麻疹が出ていない)まま血圧低下・気管支攣縮・喉頭症状だけが急速に進行するケースがある。既知アレルゲンへの曝露歴があれば皮疹なしでもアナフィラキシーとして対応する。
- 抗ヒスタミン薬・ステロイドを先に投与して反応を「様子見る」対応はしない。医療事故調査・支援センターの社内調査では、アナフィラキシーによる死亡12例全例で、抗ヒスタミン薬・ステロイドを先行してアドレナリン投与が遅れたことが背景にあったと報告されている(出典7)。
- 二相性反応(後述)のリスクがあるため、初期対応で症状が消えても社内観察を打ち切らない。
- 気管支喘息(特にコントロール不良)の既往がある場合は重症化・致死のリスクが高い。軽度の皮膚症状に見えても閾値を低くしてアドレナリン投与・入院を検討する(出典8)。
- 乳児は呼吸困難・血圧低下を自ら訴えられない。哺乳不良・持続的な啼泣・活気低下・嗜眠・蒼白のみで発症することがあり、既知アレルゲン曝露歴があればこれらの非典型像もアナフィラキシーとして評価する。⚠要医師確認(出典1)
- 蕁麻疹・掻痒を伴わない孤発性の血管性浮腫(特に家族歴あり・ACE阻害薬内服歴あり)で喉頭浮腫がありアドレナリン筋注に反応しない場合は、HAE等ブラジキニン起因性を疑う。アドレナリン・抗ヒスタミン薬・ステロイドはいずれも無効なため、反復投与で様子を見ず、C1-INH製剤・専門医(アレルギー科/小児科上位施設)へ速やかにエスカレーションする。⚠要医師確認(出典9・10)
2. 重症度・病型の判定
アナフィラキシーの診断基準(アナフィラキシーガイドライン2022、2023年3月修正版)
以下の2つの基準のいずれかを満たす場合、アナフィラキシーである可能性が非常に高い。
基準1: 皮膚、粘膜、またはその両方の症状(全身性の蕁麻疹、瘙痒または紅潮、口唇・舌・口蓋垂の腫脹など)が急速に(数分〜数時間で)発症し、さらに少なくとも次の1つを伴う場合。
- A. 気道/呼吸: 重度の呼吸器症状(呼吸困難、呼気性喘鳴・気管支攣縮、吸気性喘鳴、PEF低下、低酸素血症など)
- B. 循環器: 血圧低下または臓器不全に伴う症状(筋緊張低下[虚脱]、失神、失禁など)
- C. その他: 重度の消化器症状(重度の痙攣性腹痛、反復性嘔吐など[特に食物以外のアレルゲンへの曝露後])
基準2: 典型的な皮膚症状を伴わなくても、当該患者にとって既知のアレルゲンまたはアレルゲンの可能性がきわめて高いものに曝露された後、血圧低下または気管支攣縮または喉頭症状(吸気性喘鳴、変声、嚥下痛など)が急速に(数分〜数時間で)発症した場合。
- 血圧低下の定義: 乳児・10歳以下の小児は収縮期血圧が「70+(2×年齢[歳])」mmHg未満、成人は収縮期血圧90mmHg未満、いずれもベースライン値に比べて30%を超える収縮期血圧の低下があれば該当。
(出典1、修正2023年3月1日版で基準1のAが「呼吸不全」から「重度の呼吸器症状」に文言修正されている)
アナフィラキシーの重症度分類(グレード)
器官症状の重症度分類(アナフィラキシーガイドライン2022 表11、Yanagida N et al. Int Arch Allergy Immunol. 2017;172:173-82 に基づく)を参考に、最も高い重症度を示す器官の重症度で判定する。
| 症状領域 |
グレード1(軽症) |
グレード2(中等症) |
グレード3(重症) |
| 皮膚・粘膜 |
部分的な紅斑・蕁麻疹・膨疹、軽い瘙痒(自制内) |
全身性の紅斑・蕁麻疹、瘙痒(自制外)、顔全体の腫れ |
同左(グレード2以上) |
| 消化器 |
弱い腹痛、嘔気・単回の嘔吐/下痢 |
強い腹痛(自制内)、複数回の嘔吐/下痢 |
持続する強い腹痛、繰り返す嘔吐・便失禁 |
| 呼吸器 |
間欠的な咳嗽・鼻汁・鼻閉 |
断続的な咳嗽、聴診上の喘鳴・軽い息苦しさ |
明らかな喘鳴、呼吸困難、チアノーゼ、SpO2≦92%、嗄声、嚥下困難 |
| 循環器 |
なし |
頻脈(+15回/分)、血圧軽度低下、蒼白 |
不整脈、血圧低下、重度徐脈、心停止 |
| 神経 |
元気がない |
眠気、軽度頭痛、恐怖感 |
ぐったり、不穏、失禁、意識消失 |
(出典1)
蕁麻疹の病型分類(蕁麻疹診療ガイドライン2026・第4版、表2を外来向けに簡略化)
| 大分類 |
主な病型 |
| 特発性の蕁麻疹 |
急性特発性蕁麻疹(発症後6週間以内)/慢性特発性蕁麻疹(6週間超) |
| 刺激誘発型(アレルギー性) |
食物・薬剤・虫刺傷等によるI型アレルギー性蕁麻疹(食物依存性運動誘発アナフィラキシー[FDEIA]を含む) |
| 刺激誘発型(非アレルギー性) |
NSAID誘発蕁麻疹、物理性蕁麻疹(機械性・寒冷・日光・温熱・遅延性圧・水)、コリン性蕁麻疹、接触蕁麻疹 |
| 血管性浮腫 |
マスト細胞起因性(蕁麻疹合併しやすい)/非マスト細胞起因性(ブラジキニン起因性・遺伝性血管性浮腫など) |
急性蕁麻疹単独か、アナフィラキシー(診断基準1・2)を満たすかを最初に切り分けることが、外来対応の分岐点になる(出典2)。
3. 検査
- 必要:
- 診断は臨床所見のみで可能。アナフィラキシー診断基準・蕁麻疹の病型分類とも臨床所見ベースであり、検査は必須ではない。
- アナフィラキシー疑いで全身状態が不安定な場合、初期対応と並行して全身状態把握のための検査(血算、血液ガス分析、CRP、一般生化学検査など)を行う(出典1 図5・12)。
- 誘因(アレルゲン)確定のための検査は急性期の検査ではなく、アレルギー専門医への経過観察受診時(発症後3〜4週間が目安)に血清アレルゲン特異的IgE抗体・皮膚テストで行う(出典1)。
- 蕁麻疹で細菌・ウイルス感染の合併が疑われる場合は、一般的な生化学検査を行ってもよい(出典2)。
- 可能な施設では総トリプターゼ値を測定してもよい(発症15分後から3時間以内の値とベースライン値を比較)。ただし正常値でもアナフィラキシーを否定できない(出典1)。
- 不要・過剰になりがち:
- 典型的な蕁麻疹以外に身体症状がなく治療への反応性もよい場合、I型アレルギーのルーチン検査を行う意義は認められない(蕁麻疹診療ガイドライン2026 CQ1: 推奨なし、エビデンスレベルB)。
- 蕁麻疹症例に対して一般的な生化学検査等をルーチンで行うべきではない(同CQ2・CQ3: 推奨なし、エビデンスレベルC〜B)。詳細な病歴からI型アレルギーが強く疑われる場合のみ、個々の事例に適した検査を選択する(出典2)。
4. 治療
第一選択
- アナフィラキシー(診断基準1・2のいずれかを満たす、または強く疑う場合): アドレナリン筋肉注射が第一選択。大腿部中央の前外側に0.1%アドレナリン(1:1,000、1mg/mL)0.01mg/kgを直ちに筋注する(最大量は成人0.5mg、小児0.3mg)。体重換算の考え方は「体重1kgあたり0.01mg、最大総投与量0.5mg」であり、体重区分ごとの目安(10kg以下の乳幼児・1〜5歳・6〜12歳・13歳以上)がガイドラインの推奨用量表に示されている(出典1 表13・14)。アドレナリン使用に絶対禁忌は存在しない(心疾患・高齢者・妊婦を含む)。血中濃度は筋注後10分程度で最高、40分程度で半減するため、効果が不十分・症状が治療抵抗性を示す場合は5〜15分毎に反復投与する(ほとんどの患者は1〜2回の投与で効果が得られる)。体位は原則仰臥位(呼吸困難があれば座位、意識消失なら回復体位、妊娠中なら左側臥位)とし、急に立位・坐位をとらせない(empty vena cava/empty ventricle syndromeで数秒〜数分で急変しうる)。血圧低下が明らかでなくてもトレンデレンブルグ体位が望ましく、著明な血圧低下がある場合は下肢挙上が短時間でも血圧上昇に効果がある(出典1 p.20)。必要に応じて酸素投与(6〜8L/分)、静脈路確保・輸液(血圧低下時、細胞外液を成人5〜10mL/kg・小児10mL/kgで急速投与)を行う(出典1)。蕁麻疹・掻痒を伴わないHAE等ブラジキニン起因性の血管性浮腫はアドレナリンに反応しないため、反復投与しても喉頭浮腫が改善しない場合は反復を漫然と続けず、C1-INH製剤・専門医へのエスカレーションに切り替える(1章参照)。⚠要医師確認(出典9・10)
- 蕁麻疹単独(アナフィラキシーの徴候がない場合): 非鎮静性第2世代抗ヒスタミン薬の内服が第一選択。急性特発性蕁麻疹では診断確定後に数日〜1週間程度内服を継続し、症状消失を確認できれば内服中止する(「漸減」というステップは慢性特発性蕁麻疹〈発症後6週間超〉のフローにのみ規定されており、急性例では用いない。蕁麻疹診療ガイドライン2026 図3)。小児の蕁麻疹治療では、副作用リスクの高い第1世代抗ヒスタミン薬・経口ステロイド・それらの合剤の使用は可能な限り避ける(蕁麻疹診療ガイドライン2026 行動指針4.2)。
第二選択・無効時
- 蕁麻疹単独: 症状が重篤で抗ヒスタミン薬単独での制御が困難な場合に限り、有害事象に注意しながら、できる限り短期間(3〜7日程度)ステロイドを併用してもよい(CQ7: 推奨なし、エビデンスレベルC。抗ヒスタミン薬単独と差がなかったとする報告もあり、長期的有用性は確立していない)。抗ヒスタミン薬に抵抗し、感冒症状を伴う細菌感染症の併発が疑われる場合は抗菌薬の併用を試みてもよい(CQ8: 推奨なし、エビデンスレベルC)(出典2)。
- アナフィラキシー: H1およびH2抗ヒスタミン薬は皮膚・粘膜症状を緩和するが、他の症状(呼吸器・循環器症状)への効果は確認されておらず、単独では救命効果がない(推奨度C)。グルココルチコイドは作用発現に数時間を要し、遷延性・二相性のアナフィラキシーの防止・緩和に使用されるが、その効果は立証されていない。アドレナリンに反応しない患者、特にβブロッカー投与中の患者にはグルカゴンが有効な可能性がある(1〜5mg、小児20〜30μg/kg、最大1mgを5分以上かけて静注)(出典1 p.21「アドレナリン使用における注意」)。
やってはいけない/非推奨
- 抗ヒスタミン薬・ステロイドをアドレナリンの代わりに先行投与し、様子を見る対応(第二選択薬であり、投与の遅れが死亡リスクに直結する。医療事故調査データでも指摘されている)。
- H1およびH2抗ヒスタミン薬の急速静注(血圧低下を引き起こす可能性がある)。
- グルココルチコイドの急速静注(喘息発作等の過敏症状発現の可能性があり好ましくない)。
- 症状出現時に急に立位・坐位をとらせる(体位変換をきっかけに急変するリスク)。
- 蕁麻疹単独例へのI型アレルギー検査・一般生化学検査のルーチン実施(3章参照)。
- HAE等ブラジキニン起因性の血管性浮腫に対してアドレナリンを漫然と反復投与し、C1-INH製剤・専門医紹介のタイミングを逃す(1章・本章「第一選択」参照)。⚠要医師確認(出典9・10)
(出典1・2)
5. 再診・帰宅指導・保護者説明
- 緊急受診(救急要請)のサイン(保護者に伝える): 呼吸が苦しそう・声がかすれる・犬が吠えるような咳、ゼーゼーする呼吸・息がしにくい、繰り返し吐く・我慢できない強い腹痛、唇や爪が青白い、脈が触れにくい・不規則、意識がもうろうとしている・ぐったりしている、尿や便を漏らす。これらの症状が一つでもあれば、外来再受診を待たず直ちに119番通報し、エピペン処方があれば救急要請と並行して使用する。 これらは「一般向けエピペンの適応」基準(後述)と同一の項目であり、保護者説明とエピペン使用基準を揃えることで実務上の一貫性を保てる(出典1)。
- 経過の見通し(二相性反応): 二相性反応は成人の最大23%、小児の最大11%のアナフィラキシーに発生し、その約半数は最初の反応後6〜12時間以内に出現する。アドレナリン投与の遅れ(発症から30分以上)は二相性反応の出現に関連する。遅延反応でアドレナリン投与を要したのは9.2%(中央値1.7時間、14分〜30時間)で、76%は4時間以内だが7.4%は4〜10時間のうちに重篤な反応を来している(出典1)。このため、症状消失後も4〜6時間の社内観察を目安とし、心血管疾患の合併・重症だった場合・医療アクセスの悪い遠方への帰宅など二相性反応のリスクが高い場合は最大6〜24時間の観察を検討する。
- 紹介・入院の閾値: グレード3(重症)、二相性反応リスクが高い症例(重症だった・心血管疾患合併・気管支喘息〈特にコントロール不良〉合併・βブロッカー内服中・遠方在住等)は入院または経過観察の延長を検討する。基本的な初期対応で反応が乏しい場合は、救急医療・救命救急・麻酔科蘇生専門チームの治療に迅速に委ねる(出典1・8)。
- エピペン処方と保護者・学校への指導: アナフィラキシー既往のある患者には、退院時にアドレナリン自己注射薬(エピペン)の処方・使用方法の指導、アナフィラキシーへの対応マニュアル、アレルギーを他人に伝えるカード(財布に入れる等)を準備する。重症化リスクが高い患者(喘息合併、重篤な既往、遠方居住等)には、初回投与後5〜15分で症状が改善しない場合に備え、エピペン2本の処方・携帯(外出用と学校・自宅据置用)を検討し、改善なければ2本目を同手順で使用するよう説明する(出典12)。
- 一般向けエピペンの適応(日本小児アレルギー学会、アナフィラキシー対応ワーキンググループ策定): エピペンが処方されている患者でアナフィラキシーショックを疑う場合、次の症状が一つでもあれば使用すべきである。消化器症状(繰り返し吐き続ける、持続する強い[我慢できない]腹痛)、呼吸器症状(のどや胸が締めつけられる、声がかすれる、犬が吠えるような咳、持続する強い咳込み、ゼーゼーする呼吸、息がしにくい)、全身の症状(唇や爪が青白い、脈を触れにくい・不規則、意識がもうろうとしている、ぐったりしている、尿や便を漏らす)(出典1 表20)。
- 使用方法: 太腿の前外側に垂直に先端を「カチッ」と音がするまで強く押しつけ、太ももに押し付けたまま数秒間待ってから抜き取る(衣服の上からでも可)。添付文書(患者向医薬品ガイド)は具体的な秒数を規定せず「数秒間待ち」とのみ記載しており、「5秒間」という特定の秒数は一次資料に基づかないため削除した(出典13)。注射後はカバーの状態を確認し、救急車を呼んで医療機関を受診する(出典1)。
- 学校での対応: 児童生徒本人が自ら注射できない状況にある場合、その場に居合わせた教職員が代わりに注射することは、医行為を反復継続する意図がないと認められるため医師法違反にはならないとされる(出典11。旧版は出典5〈日本小児アレルギー学会「一般向けエピペンの適応」〉を引用していたが、当該ページに医師法・法的根拠の記載はなく引用元の取り違えだったため文部科学省ガイドラインに差し替えた)。緊急時の教職員の役割分担(観察・管理監督・連絡・準備・救急車の誘導)を園・学校側とあらかじめ決めておくよう保護者・学校双方に伝える。
- 食物アレルギー精査への橋渡し: 原因アレルゲンを確定するため、発症後3〜4週間を目安にアレルギー専門医へ紹介し、血清アレルゲン特異的IgE抗体・皮膚テストを実施する。検査項目(個別選択13項目までかセット検査か)の選び方は「食物アレルギー検査の選び方」(同フォルダ内、外来編)を参照。
- FDEIA(食物依存性運動誘発アナフィラキシー)の生活指導: FDEIAの診断・疑いがある患者には、原因食物摂取後2〜4時間は運動を避けること、NSAIDs内服・飲酒・睡眠不足・体調不良時に原因食物摂取と運動を重ねないことを保護者・本人に説明する(促進因子: 運動・NSAIDs・アルコール・感染・情動ストレス等)(出典1)。
6. 社内ローカルルール(各施設での運用)
- (要確認)AMPLでのエピペン採用状況・社内在庫・保管場所。
- (要確認)アナフィラキシー対応の社内緊急時プロトコル(文書化・定期実地訓練)の有無。
- (要確認)アレルギー専門医(誘因確定検査・食物経口負荷試験)への社内・院外紹介ルート。
- (要確認)当直・時間外でのアナフィラキシー対応体制、上位施設(救命救急)への搬送基準。
- (要確認)生活管理指導表(アレルギー疾患用)の学校・保育所提出フローの社内運用。
7. 出典
- 一般社団法人日本アレルギー学会「アナフィラキシーガイドライン2022」(2022年8月31日発行、2023年3月1日修正第2刷)
- 発行案内: https://www.jsaweb.jp/modules/news_topics/index.php?content_id=688
- 修正内容: https://www.jsaweb.jp/uploads/files/shusei_Ana2022_1MAR23.pdf
- 本文PDF: https://www.jsaweb.jp/uploads/files/Web_AnaGL_2022_0914.pdf
- 啓発サイト: https://anaphylaxis-guideline.jp/
- 蕁麻疹診療ガイドライン策定委員会「蕁麻疹診療ガイドライン2026(第4版)」日本皮膚科学会雑誌 136(4): 375-493, 2026(令和8)
- 学会掲載ページ: https://www.dermatol.or.jp/medical/guideline/4742/
- 本文PDF: https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/2013/08/jinmashin2026ver2.pdf
- J-STAGE書誌情報: https://www.jstage.jst.go.jp/article/dermatol/136/4/136_375/_article/-char/ja
- (2018年版「蕁麻疹診療ガイドライン2018」日本皮膚科学会雑誌 128(12), 2018を全面改訂したもの。CQ番号は2026年版に基づく)
- World Allergy Organization anaphylaxis guidance 2020(アナフィラキシーガイドライン2022の診断基準はWAO 2020改訂に準拠、3項目から2項目へ集約)
- 参考: https://www.jstage.jst.go.jp/article/arerugi/70/9/70_1211/_article/-char/ja/
- Yanagida N, et al. Int Arch Allergy Immunol. 2017;172:173-82(アナフィラキシー重症度分類の出典、アナフィラキシーガイドライン2022 表11に引用)
- 一般社団法人日本小児アレルギー学会「一般向けエピペン®の適応」
- https://www.jspaci.jp/gcontents/epipen/
- エピペン使用ガイドブック(相模原病院監修): https://www.epipen.jp/download/EPI_guidebook_j.pdf
- 学校での食物アレルギー・アナフィラキシー対応(学校保健ポータルサイト)
- https://www.gakkohoken.jp/special/archives/150
- 平成30年1月 医療事故調査・支援センター/一般社団法人日本医療安全調査機構「医療事故の再発防止に向けた提言 第3号」(アナフィラキシーに係る死亡事例の分析、アナフィラキシーガイドライン2022内に引用)
- 医学界新聞「ピットフォールにハマらないER診療の勘どころ(6)」(気管支喘息合併がアナフィラキシー重症化・致死のリスク因子である旨の解説)
- https://www.igaku-shoin.co.jp/paper/archive/y2022/3493_04
- 国立成育医療研究センター「血管性浮腫・遺伝性血管性浮腫(HAE)」(HAEがアドレナリン等の通常治療に反応しないことの解説)
- https://www.ncchd.go.jp/hospital/sickness/children/allergy/hae.html
- 一般社団法人日本補体学会「遺伝性血管性浮腫(HAE)診療ガイドライン改訂2023年版」
- http://square.umin.ac.jp/compl/common/images/disease-information/hae/HAEGuideline2023.pdf
- 文部科学省・公益財団法人日本学校保健会「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」(平成20年3月作成、令和元年度改訂。教職員による代理注射が医師法違反にならない旨の法的整理の一次出典)
- 文科省: https://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/hoken/1353630.htm
- ガイドライン本体(学校保健ポータルサイト): https://www.gakkohoken.jp/books/archives/226
- 一般社団法人日本アレルギー学会「エピペン」一般向け解説(重症化リスクが高い患者への2本携帯の推奨)
- https://www.jsa-pr.jp/sp/html/sickness/sickness11.html
- エピペン患者向医薬品ガイド(2024年7月改訂、製造販売元: ヴィアトリス製薬合同会社。PMDA掲載)。「太ももに押し付けたまま数秒間待ち」とのみ記載され、具体的な秒数(5秒・10秒等)は規定されていないことを本ファイル執筆時にWebFetchで確認した。
- PMDA医薬品情報ページ: https://www.pmda.go.jp/safety/info-services/drugs/0001.html
※ 点数・GLは改定される。運用前に最新版を確認。特に蕁麻疹診療ガイドラインは2026年4月に第4版へ全面改訂されたばかりであり、CQ番号・推奨度は今後の正誤表・改訂に注意する。
検証・修正ログ(2026-07-30)
敵対的検証(10.json、11件の所見)を反映。反映数=11、うち医師確認事項として明示=2。
安全側に追記した項目(1・4・5章):
- HAE等ブラジキニン起因性血管性浮腫はアドレナリン・抗ヒスタミン薬・ステロイドいずれにも反応しないため、反応しない喉頭浮腫でC1-INH製剤・専門医へエスカレーションする一文を追加(⚠要医師確認・critical)。
- 気管支喘息(特にコントロール不良)合併を重症化リスク因子として1章・5章に追加。
- 乳児の非典型的アナフィラキシー像(哺乳不良・啼泣・活気低下・嗜眠・蒼白のみ)を1章に追加(⚠要医師確認)。
- エピペン2本携帯(外出用・据置用)の検討を5章に追加。
- 「再受診すべきサイン」の見出しを「緊急受診(救急要請)のサイン」に改め、119番通報の明文を追加。
- FDEIA患者向けの運動制限・増強因子回避の生活指導を5章に追加。
- 体位にトレンデレンブルグ体位・下肢挙上の考慮を4章に追加。
一次資料を再確認して修正した項目(dose/factual):
- エピペン使用時の保持秒数: 「5秒間」という記載を削除し、添付文書(患者向医薬品ガイド2024年7月改訂)の「数秒間待ち」に一本化。WebFetchで一次資料を確認した結果、検証者が提案した「10秒」という具体的秒数も一次資料には見当たらず、原文の表現「数秒間」に忠実な記載へ修正した(本文中に注記済み)。
- グルカゴンの出典表示を「出典1 表15」から「出典1 p.21(アドレナリン使用における注意)」に修正。
- 急性特発性蕁麻疹の内服終了手順を「漸減中止」から「内服中止」に修正し、「漸減」は慢性特発性蕁麻疹のみに限定。
- 教職員のエピペン代理注射が医師法違反にならないことの出典を、記載内容のない出典5から文部科学省ガイドライン(出典11)に差し替え。
残る要確認点(医師確認事項に集約済み・再掲):
1. HAE疑い時のエスカレーション先(C1-INH製剤の社内採用・紹介ルート)はAMPLの実運用が未確認。
2. 乳児の非典型的アナフィラキシー像の文言・トリアージへの落とし込み方が実診療に合うか要確認。
検証していない/未反映の残課題:
- 6章「社内ローカルルール」の(要確認)項目群は本ラウンドでは変更せず、既存のまま。
- 本ファイルは引き続き「下書き(要・本人確認)」。上記2点の医師確認事項を含め、公開・運用前に岡本の確認を要する。